企業概要
ノリタケカンパニーリミテドは、研削材･半導体材料･回路基板･窯業材料･高級陶磁器などを製造する陶磁器･砥石メーカー。1904年に高級洋食器を生産する日本陶器として創業、戦前から欧米では高く評価され人気を博した。戦後には陶器製造で培った技術を活かして、砥石･研削機械･電子材料へと進出。世界最大級のセラミックス企業グループである森村グループの源流企業であり、日本ガイシ･TOTO･日本特殊陶業など数多くの大手メーカーを分社化した名門企業である。
１．高級食器メーカーとして有名だが、現在の主力は工業建材･電子材料など
２．売上高･利益はほぼ横ばいだが、財務体質は超優良･実質無借金経営
３．平均年収636万円と中堅メーカーの標準的な水準、福利厚生も普通
業績動向
✔売上高と営業利益
ノリタケカンパニーリミテドの売上高は概ね1,000億円規模で安定推移してきたが、2022年は売上高1,395億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は赤字転落こそないものの、全盛期からは落ち込んで100億円未満の推移が続いている*2。
*1：ノリタケカンパニーリミテドは海外売上高比率が40%ほどを占めており、2022年は為替レートの円安推移が追い風に。工業機材･セラミック材料･食器などの売上高が増加。
*2：ノリタケカンパニーリミテドが過去最高の営業利益を記録したのは1990年の営業利益119億円。
✔セグメント別の状況
ノリタケカンパニーリミテドは工業建材事業（砥石･ダイヤモンド工具･CBN工具･研削油剤など）、セラミック･マテリアル事業（電子ペースト･回路基板･セラミックコア･電子部品材料など）、エンジニアリング事業（焼成炉･乾燥炉･混合攪拌装置など）、食器事業（陶磁器･美術品など）、の4事業を有する。
ノリタケカンパニーリミテドは高級食器･陶磁器メーカーのイメージが先行するが、売上高に占める食器事業の割合は10%未満。現在の主力事業は工業建材事業とセラミック･マテリアル事業であり、特にセラミック･マテリアル事業は利益の約52%を占める稼ぎ頭。
✔最終利益と利益率
ノリタケカンパニーリミテドの純利益は20億~130億のレンジで推移。2017年の純利益137億円が過去最高益*3。営業利益率は好調時なら7%程度に達するが、概ね4~5%程度の水準。
*3：2017年の純利益137億円はノリタケカンパニーリミテドが愛知県名古屋市西区に所有していた旧工場跡地を売却したことによる特別利益約150億円が加算されている。
✔自己資本比率と純資産
ノリタケカンパニーリミテドの自己資本比率は70%前後の水準で推移しており、中堅メーカーとしては非常に高い水準。手元の現預金残高が借入金残高を上回る実質無借金経営。純資産は増加傾向が続いており、2022年には1,290億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ノリタケカンパニーリミテドの平均年収は概ね630~670万円前後の水準で推移しており、中堅メーカーとしては標準的な水準。大卒総合職なら35歳前後で年収550~650万円ほどが目安。
✔従業員数と勤続年数
ノリタケカンパニーリミテドの従業員数は5,000人規模で安定。平均勤続年数は20年前後の高水準が定着しており、大手企業と比較しても非常に長い勤続年数を誇る。従業員の定着が良いホワイト企業である可能性が大。
総合評価
企業格付け：CC
陶磁器メーカーとしては数少ない上場企業であるが、現在では工業建材･電子材料が主力製品の素材メーカーと呼称する方が実態には近い。業績は売上高･利益いずれも普通。売上高は1,000億円規模と中堅メーカーの標準的水準、純利益も100億円に満たない粘度が多くこちらも普通。営業利益率も2~7%と高くもなく低くもない。称賛するポイントは財務体質であろう。自己資本比率70%以上で実質無借金経営、規模がそこまで大きくない中堅メーカーが着実に生き残るための財務戦略を地で行く。創業120周年が間近の老舗メーカーならではの生存戦略を感じさせる。
就職格付け：CC
名古屋圏ではよく知られた地元の有名･名門企業であり、ブランドイメージは抜群に良い。給与水準は平均年収630万円台とそこまで低くないが高くもない。中堅メーカーによくある年功序列を重視した賃金テーブルであり、昇給までは一定期間の忍耐は必要。ただし、独身寮が整備されており月5,000円程度の負担で入居できるため、最も生活コストを圧迫する住宅費が極限まで抑制できるサポートはしっかり。社員食堂は定食500円ほどだが、社員食堂の食器類がノリタケブランドで統一されている点は流石。地元における知名度の割には意外と社員数が少ない企業であるため、新卒採用人数は20人程度と狭き門である。