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【勝ち組?】TOTOの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

TOTOは、温水洗浄便座・ユニットバス・キッチン・洗面台などを製造する大手衛生陶器メーカー。1917年に日本陶器(現・ノリタケカンパニーリミテド)から衛生陶器部門が分離独立した企業であり、戦前から日本の衛生陶器市場を牽引してきた。国内では衛生陶器のシェアが60%を上回り断トツ首位、海外展開も進んでおり中国市場では大きなブランド力を有する。世界最大級のセラミックス企業グループである森村グループの企業であり、ノリタケカンパニーリミテド日本ガイシ日本特殊陶業と源流を同じくする。

POINT

・森村グループの衛生陶器メーカー、国内シェア首位で世界展開も強い
・売上高・利益いずれも安定的、財務体質も大いに優良
・大卒総合職で30歳550万円が目安、就職人気ランキング上位常連

就職偏差値

65(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

TOTOの売上高は概ね5,500~5,900億円で安定推移してきたが、2021年からは増加傾向に転換。2023年には売上高7,022億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は36億~500億円ほどの水準で極めて安定的。
*1:2021年以降の増収の理由は、①主力の国内市場におけるリフォーム需要の堅調な推移、②新領域事業における半導体製造装置向けセラミック製品の販売好調、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

TOTOは、国内事業(国内向け衛生陶器・温水洗浄便座・ユニットバスルーム・水洗金具・システムキッチン・化粧台など)、中国大陸事業、アジア・オセアニア事業、米州事業、欧州事業、新領域事業(半導体製造装置向け静電チャック・大型セラミック製品など)、その他事業、の7事業を有する。
TOTOは世界17ヶ国に事業展開するが、依然として売上高の半分以上は日本国内。米州・欧州では売上・利益はそこまで出ておらず、日本・中国がコア市場。新領域事業の半導体製造装置向けセラミック製品の利益貢献が大きい点にも注目したい。

✔最終利益と利益率

TOTOの純利益は230億~360億円ほどの水準で極めて安定*2。2008年に純損失263億円を計上したが、同年以降は純利益を着実に計上し続けている。営業利益率は6~8%ほどの水準であり、大手メーカーの標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

TOTOの自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近では62%に到達。安定的な利益体質と堅牢な財務体質を両立している。純資産も増加傾向が続いており、直近の2023年には純資産5,106億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

TOTOの平均年収は670万~705万円で安定的。2021年までは平均年収600万円台に留まっており、業績・財務体質の割に給与水準が物足りなかった。年功序列職が強い企業であり、大卒総合職は30歳で550万~600万円、課長職レベルで年収800万~900万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

TOTOの単体従業員数は2019年以降は8,000人規模で横這い。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.41万人ほど。平均勤続年数は直近で18.1年とやや長め。

総合評価

企業格付け:BBB

■業界ポジション
日本を代表する衛生陶器メーカーであり、温水洗浄便座では日本・中国地域では絶大なブランド力を有する。中国市場に1979年と早い時期から参入するなど海外展開にも意欲的であり、アメリカ・ヨーロッパにも事業展開。同業他社にはLIXILがあり、売上高では約2倍もの大差で突き放される。が、利益では当社が依然として勝っており、良きライバル関係にある。

■業績動向
安定的。生活必需品を扱う事業内容もあってかCOVID-19感染拡大期も業績は安定。2021年以降には値上げ改定や為替レートの円安推移によって売上高は過去最高圏となる7,000億円超に到達。利益は原材料高や中国市場の景気後退に押されて微減傾向だが、大筋の問題はない。

■財務体質
良い。自己資本比率は直近で63.6%とすこぶる良好。無借金経営ではないが、有利子負債は600億円強(2023年)に過ぎず、企業規模を考えれば極めて少ない水準に留めている。積極的な事業拡大の強行よりも保守的な事業展開を重んじる社風が伺える。

就職格付け:B

■給与水準
直近の平均年収は706万円とまずまずの水準だが、2020年までは平均年収600万円台で長らく停滞していた。大卒総合職は30歳で550万~600万円、課長職レベルで年収800万~900万円ほどが目安。年功序列色が色濃く、若手同様の抜擢人事などは極めて稀。

■福利厚生
まずまず。家賃補助制度では家賃の最大70%までが補助され、基本給与の低さを福利厚生でカバーする制度設計。が、この家賃補助制度は「実家からの通勤距離が2時間以内」の場合には支給されない。持ち家になると補助がなくなるため全額の自己負担となる。

■キャリア
企画職・営業職・技術職・デザイン職・ショールームアドバイザーの5職種制。うち、企画職・営業職・技術職が事実上の総合職であり、将来の幹部候補として各部門をローテーションしながら経験を蓄積していくことになる。ショールームアドバイザーは全国のTOTOショールームでの接客対応のみの職種であるが、雇用形態は契約社員となる。

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出典:TOTO株式会社(有価証券報告書)