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TOTOの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

TOTOは、温水洗浄便座・ユニットバス・システムキッチン・洗面台などを製造する大手衛生陶器メーカー。1917年に日本陶器(現・ノリタケカンパニーリミテド)から衛生陶器部門が分離独立した企業であり、戦前から日本の衛生陶器市場を牽引してきたリーディングカンパニー。国内では衛生陶器のシェアが60%を上回り断トツ首位、海外展開も進んでおり中国市場では大きなブランド力を有する。世界最大級のセラミックス企業グループである森村グループの企業であり、ノリタケカンパニーリミテド日本ガイシ日本特殊陶業と源流を同じくする。

POINT

1.森村グループの衛生陶器メーカー、日系首位のシェアを誇り世界展開も著名
2.売上高利益いずれも安定性が強い、財務体質も大いに優良
3.大卒総合職で30歳550万円が目安、就職人気ランキング上位常連

業績動向

✔売上高と営業利益

TOTOの売上高は概ね5,500~5,900億円で安定推移してきたが、2021年からは増加傾向に転換して過去最高を更新*1。営業利益は36億~500億円ほどの水準で極めて安定的。
*1:2021年以降の増収の理由は、①主力の国内市場におけるリフォーム需要の堅調な推移、②新領域事業における半導体製造装置向けセラミック製品の販売好調、が主要因。

✔セグメント別の状況

TOTOは、国内事業(国内向け衛生陶器・温水洗浄便座・ユニットバスルーム・水洗金具・システムキッチン・化粧台など)、中国大陸事業、アジア・オセアニア事業、米州事業、欧州事業、新領域事業(半導体製造装置向け静電チャック・大型セラミック製品など)、その他事業、の7事業を有する。
TOTOは世界17ヶ国に事業展開するが、依然として売上高の半分以上は日本国内。米州・欧州では売上・利益はそこまで出ておらず、日本・中国がコア市場。新領域事業の半導体製造装置向けセラミック製品の利益貢献が大きい点にも注目したい。

✔最終利益と利益率

TOTOの純利益は230億~360億円ほどの水準で極めて安定*2。2008年に純損失263億円を計上したが、同年以降は純利益を着実に計上し続けている。営業利益率は6~8%ほどの水準であり、大手メーカーの標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

TOTOの自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近では62%に到達。安定的な利益体質と堅牢な財務体質を両立している。純資産も増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産4,611億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

TOTOの平均年収は706万円と大手メーカーとしてはやや低め。2021年までは平均年収600万円台に留まっており、業績・財務体質の割に給与水準が物足りなかった。年功序列職が強い企業であり、大卒総合職は30歳で550万~600万円、課長職レベルで年収800万~900万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

TOTOの単体従業員数は2019年以降は8,000人規模で横這い。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.41万人ほど。平均勤続年数は直近で18.1年とやや長め。

総合評価

企業格付け:BBB

日本を代表する衛生陶器メーカーであり、温水洗浄便座では日本・中国地域では絶大なブランド力を有する。中国市場に1979年と早い時期から参入するなど海外展開にも意欲的であり、アメリカ・ヨーロッパにも事業展開。生活必需品が主力商品であることから業績は非常に安定的であり、景気後退局面にも売上高・利益が安定している点が強み。2021年以降には国内市場のリフォーム需要が活況となったことで売上高が過去最高を更新するなど、業績も好調である。財務体質も極めて堅実であり、毎年着実に利益を蓄えてきたことで自己資本比率60%以上にまで高まっている。人類の営みが続く限り衛生陶器のニーズが消えることはないため、事業内容の観点からも安定企業といえるだろう。

就職格付け:B

日本人ならば日常的にお世話になっているだろう著名メーカーであり、就職人気ランキングでも例年上位に顔をだすことで著名。知名度の高さもさることながら、先進的・高品質なモノづくりやグローバル展開からくる企業イメージの高さが人気の秘訣。が、人気ゆえに待遇面がずば抜けているかと言えばそうでもない。平均年収は700万円を2021年にやっと僅かに上回った位であり、大手メーカーとしては物足りない印象が拭えない。福利厚生は充実しており、家賃補助制度では家賃の最大70%を補助する温情ぶり。基本給与の低さを福利厚生でカバーする制度設計であるが、この家賃補助制度は「実家からの通勤距離が2時間以内」の場合には支給されない。この場合には高倍率な採用試験を突破した割には高給取りでもない状態に陥る為に注意が必要。倒産リスクとは程遠くブランドイメージが良い優良企業であっても、社員がリッチとは限らない好例かもしれない。

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