企業概要
DMG森精機は、マシニングセンタ･ターニングセンタ･複合加工機･5軸加工機などを主力とする工作機械メーカー。1948年に繊維機械メーカーとして創業とし、1968年に数値制御式旋盤に進出。2016年に独ギルデマイスターと経営統合、日独二大拠点を有するグローバル工作機械メーカーへ躍進。昨今ではIoT･インダストリー4.0といったトレンドに機敏に反応、主力の伊賀事業所をスマートファクトリーとして再構築。ヤマザキマザック･オークマ･ジェイテクトと共に日系四大工作機械メーカーを形成。
１．海外売上高比率85%のグローバルな工作機械メーカー
２．売上高･利益は成長基調、財務も自己資本比率30%程度で高くない
３．平均年収は好調時なら830万円ほど、福利厚生が手厚いホワイト企業
業績動向
✔売上高と営業利益
DMG森精機の売上高は概ね3,000億~5,000億円レベルで推移しており年度により好不調が分かれる*1。営業利益も年度により好不調が分かれるが、2011年以降は一貫して営業黒字を維持。
*1：工作機械メーカーは売上高をメーカーの設備投資に依存するが、大手メーカーの多くは景気動向により業績が左右される為、年度によって設備投資欲が変化する。こうした事情によりDMG森精機の売上高は年度により好不調が分かれやすい事情がある。
✔セグメント別の状況
DMG森精機はマシンツール事業（マシニングセンタ･ターニングセンタ･複合加工機･5軸加工機などの工作機械の製造販売）、インダストリアルサービス事業（工作機械に関連するサービス･ソリューション）、の2事業を有する。
DMG森精機は売上高の約75％をマシンツール事業の工作機器販売で稼ぐが、利益はインダストリアルサービス事業が約55%を占める事業構造となっている。工作機械の販売自体では大きく利益を得ず、使用継続に伴ってのアフターサービスで儲ける構造は工作機械業界では普通。
✔最終利益と利益率
DMG森精機の純利益は2016年を除けば*2純利益100億~250億円ほどのレンジで推移。営業利益率は好調時は10%に迫る水準である反面、不調時は1%未満にまで低下する。
*2：2016年のDMG森精機は事業自体は好調であったが、独ギルデマイスターとの経営統合の最終フェーズにあり、重複資産･事業･ノンコア資産の整理に伴う一時費用を計上したことで純損失に転落。
✔自己資本比率と純資産
DMG森精機の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いているが、直近でも36%とそこまで高くない水準*3。純資産は2016年から右肩上がりで増加して直近では2,504億円に到達。
*3：2016年に独ギルデマイスターと経営統合する以前のDMG森精機は自己資本比率50%を優に上回る財務体質であったが、経営統合後は同社の資産･負債が連結対象となったことで自己資本比率が急変。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
DMG森精機の平均年収は業績による上下変動が激しいが、概ね750~830万円前後で推移している。大手メーカーに劣らない給与水準であり、工作機械メーカーとしては最上位級。社員の平均年齢は42.7歳とこちらも大手企業としては標準的な水準。
✔従業員数と勤続年数
DMG森精機の従業員数は概ね1.2万人レベルで推移しており安定的な推移。平均勤続年数は16.9年とそこそこ長めの勤続年数を誇る。
総合評価
企業格付け：BB
日本を代表する工作機械メーカーであり、独ギルデマイスターとの経営統合を決断したことで工作機械業界でグローバル上位級にまで大躍進した企業。経営統合以前は売上高1,000億円規模と業界中位級であったが、今や売上高5,000億円の達成も視野。売上高の約50%が欧州市場であり、インダストリー4.0の発信地であるドイツに地盤があることで、日系工作機械メーカーとは異なる視点もある。財務体質は経営統合による副作用からの回復途上にあり、自己資本比率は30%台にまで戻ってきた状況。昨今は業績好調が続くため、このまま業績･財務を大きく伸ばし続けられるかが焦点。
就職格付け：BBB
大手工作機械メーカーであり、海外売上高比率は85%程度で社員の国籍も40ヶ国以上というグローバル企業。社員の待遇もグローバル標準を意識しているのか、ホワイト企業。給与水準は工作機械業界では最上位級。業績好調であれば年収800万円を超え、不調時であっても年収700万円前後はキープ。手当が極めて充実しており、時間外手当･子女手当･住宅手当･資格手当･技能手当･昼食手当まで幅広い。ワークライフバランスも重視しており、有給休暇は計画的にキッチリ消化可能。社内レンタカー制度があり、従業員がスポーツカーや大型SUVなどを自由に利用できる。工作機械業界やグローバル企業に関心があるなら、かなりの優良企業である。主力拠点が三重県･奈良県に集中している点には注意。