企業概要
ロート製薬は、胃腸薬･目薬･健康食品･スキンケア製品などを製造販売する製薬メーカー。1899年に信天堂山田安民薬房として創業、戦後の1949年にロート製薬に社名変更。1975年に米企業からメンソレータムの製造･販売権を取得したことで、スキンケア製品での事業展開を加速。現在では売上高の約60%を皮膚薬･日焼け止め･ニキビケアなどのスキンケア分野で稼いでいる。目薬･洗顔薬などのアイケア分野にも強く、近年は高級目薬シリーズ”Vロートプレミアム”などを積極展開。
１．スキンケア･目薬に強い中堅製薬メーカー、一般用医薬品に特化
２．売上高･利益は成長基調、財務体質も自己資本比率60%以上かつ実質無借金経営
３．平均年収756万円だが7%賃上げ宣言、平均年収800万円へ道筋
業績動向
✔売上高と営業利益
ロート製薬の売上高は2020年まで1,500億~1,800億円レベルで推移していたが、2021年以降は成長ペースが加速*1。営業利益は綺麗な右肩上がりで成長*2。
*1：2020年はヒット商品の肌ラボ・メラノCCロートV5粒が販売好調かつCOVID-19抗原検査キットが販売を支えた。2021年にもヒット商品群が販売を牽引した他、アメリカ・ヨーロッパ・中国で大幅増収。為替レートの円安推移も追い風に。
*2：近年のロート製薬はブランド価値が高いヒット商品の連発により利益率が向上。2020年以降には高額目薬の販売も好調で利益率を押し上げ。2022年は世界的な原材料・物流費の高騰に見舞われたが増益幅が勝った。
✔セグメント別の状況
ロート製薬は日本事業（日本国内における目薬･スキンケア製品･サプリメント･胃腸薬の製造･販売）、アメリカ事業（米国における事業展開）、ヨーロッパ事業（欧州における事業展開）、アジア事業（アジアにおける事業展開）その他事業、の5事業を有する。
ロート製薬は売上高の約60%を日本国内で稼いでおり、残り40%を海外で稼ぐ。海外市場ではアジア圏を得意としており、アメリカ事業やヨーロッパ事業は補完的な存在に留まる。なお、製品別の売上高構成はスキンケア製品61%･アイケア製品23%･内服薬13%･その他3%となっている。
✔最終利益と利益率
ロート製薬の純利益は2019年から急速な増加傾向が続いており、直近の2022年には純利益264億円に到達*3。営業利益率は長年に渡って10%以上の水準を維持し続けている。製薬メーカーとしては標準的な水準。
※3：ロート製薬は2019年頃から高額目薬･スキンケア製品の販売が拡大。高利益率商品の拡販による利益増加が続いている。
✔自己資本比率と純資産
ロート製薬の自己資本比率は長期的に60%前後の水準で推移しており、十分に健全な水準を維持できている。実質無借金経営。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、2022年には純資産264億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ロート製薬の平均年収は700万円前後の水準が定着。2016年までは平均年収650万円ほどであったが業績好調により賃上げ。2022年には年収ベースで全社員の給与を7%引き上げると宣言しており、平均年収800万円に迫ると想定される（参考リンク）。平均年齢は直近で41.5歳と標準的な水準である。
✔従業員数と勤続年数
ロート製薬の従業員数は長年にわたって6,000人規模で安定的。平均勤続年数は緩やかな増加傾向が続いているが、直近の2022年でも13.6年と普通ないしやや短めの水準に留まる。
総合評価
企業格付け：BBB
医療用医薬品には意図的に進出せず一般用医薬品に焦点を絞っている製薬メーカー、高付加価値な一般用医薬品の展開に注力。業績は成長基調が続いており、2015年以降は営業利益･純利益が右肩上がりで増加し続けている。高付加価値製品のブランド戦略に長けており、高価格帯の目薬や日焼け止めが販売好調ゆえに利益率が拡大している状況。財務体質も自己資本比率65%以上かつ実質無借金経営と健全そのもの。アジア圏でもブランドを確立しているためインバウンド需要が追い風となる企業、COVID-19終息に伴う外国人観光客の増加が更なる業績拡大の追い風となるか期待される。
就職格付け：BBB
目薬や皮膚薬で著名な一般用医薬品メーカーであり、在阪中堅製薬メーカーの1社。給与水準はかつて製薬メーカーとしては下位級であったが、近年は賃上げに積極的。直近では平均年収756蔓延に到達しているうえ、2022年には全社員の給与を7%引き上げると宣言したことで平均年収800万円の達成にも道筋。健康経営にも熱心な企業であり、50年以上に渡って社員の健康を重視した取り組みを展開（参考リンク）。長年に渡る禁煙活動によって社員の非喫煙家率を99.9%に到達させている点も特徴的。