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外食会社

王将フードサービスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

王将フードサービスは、世界6ヵ国で中華料理レストラン「餃子の王将」を展開する大手外食会社。1967年に京都・四条大宮で創業、1969年に暖簾分けによって大阪王将を誕生させた。1985年には商標を巡って大阪王将と訴訟となり、袂を分かった(現在でも資本関係は一切ない)。現在では国内外に732店舗を展開しており、中華分野における店舗数は首位級。1990年代からアサヒビールと親密な関係、2008年からは同社が筆頭株主になっている。。

POINT

・中華分野において店舗数首位かつ利益率が高い、アサヒビールが筆頭株主
・売上高は成長基調で利益安定、財務体質は大いに優良
・平均年収532万円だが学歴不問で叩き上げ可能、体育会系の企業文化

業績動向

✔売上高と営業利益

王将フードサービスの売上高は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には過去最高となる売上高930億円を達成*1。営業利益は60億円~80億円ほどのレンジで安定的。
*1:売上高が増加した理由は、①2017年にテイクアウトを強化していたことで偶然にもウィズコロナ環境に対応できた点、②社員教育を繰り返し開催して料理品質を磨き上げた点、③原材料高を受けた値上げ対応にレシピ改良を進めた点、に起因。

✔セグメント別の状況

王将フードサービスは中華事業(餃子の王将の直営店運営・フランチャイジーなど)のみの単一事業会社である。
王将フードサービスが展開する「餃子の王将」は、直営店542店舗・フランチャイズ店190店舗の体制となっており、直営店比率は約75%と高め。売上高の約28%をテイクアウトが占めており、意外と持ち帰り需要も高いことが伺える。

✔最終利益と利益率

王将フードサービスの純利益は長期的に40億円~60億円ほどで安定的。2021年のみ純利益88億円まで急増させた。営業利益率は長年に渡って7%∼9%で安定しており、外食業界ではトップクラスの利益率。

✔自己資本比率と純資産

王将フードサービスの自己資本比率は2019年まで70%前後の高水準で推移してきたが、2020年には58.1%まで低下*3。同年以降は回復傾向にあり、直近の2022年は自己資本比率74.6%と大いに健全な水準まで戻っている。純資産は増加傾向が続いており、直近では純資産628億円ほど。
*3:2020年のみ長期借入金を一時的に増加させたことで自己資本比率が低下。詳細は不明だが、COVID-19感染拡大による業績悪化に備えて借入金を増やした可能性が高い。同年以降は速やかに返済を進めたため、自己資本比率は早々に回復した。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

王将フードサービスの平均年収は長期的に480万~530万円ほどの水準で安定的。総合職で入社すると、早ければ30歳前後で店長クラスに昇格して600万円~700万円ほどに達する。店舗オペレーションの最前線で叩き上げれば、学歴不問・前職不問で年収600万~700万を稼げるのは強味。

✔従業員数と勤続年数

王将フードサービスの単体従業員数は2,100人前後の水準で安定的。直営店舗数が多いために、従業員数はかなり多めである。平均勤続年数は直近で11.3年となっており、イメージの割には従業員の定着は悪くない。

総合評価

企業格付け:DD

■業績動向
大いに好調。売上高は過去最高を更新して絶好調でありつつ、原材料費・人件費高騰を跳ね返して利益も緩やかに増やしている。もともと営業利益率が外食業界ではトップクラスであるうえ、中華分野では競合他社を大きく引き離している点も強い。

■財務体質
優良。自己資本比率70%前後を長期的に維持しており、外食業界ではトップクラスの財務体質。外食業界においてこのレベルの自己資本比率を実現している大手企業は他に日本マクドナルドHDくらいしかない。手元の現預金も320億円を確保しており潤沢。

■ビジネス動向
首都圏・関西圏を出店攻勢地域と定めており、店舗空白エリアへの新規出店を加速。直営店を増やすだけでなく、既存社員をフランチャイズオーナーとして独立開業させる取り組みも並行させることで店舗数を拡大する。新業態「餃子の王将ジョイナーホ」店舗も増やす。

就職格付け:DD

■給与水準
平均年収は532万円と業界中堅クラス。業界トップ企業群には敵わないが、これは直営店舗の従業員も含めての平均年収である点が重要。中途入社や高卒入社であっても現場で叩き上げて店長クラスになれば、学歴不問で年収600万円以上を稼げるのは意外と悪くない。エリアマネージャーまで出世すれば年収800万~990万円にも達する。

■福利厚生
外食業界ではそこそこ上位。住宅補助は1万円/月ほどだが、一部の事業所には独身寮が備わっており月額1.5万円で入寮可能。転勤に伴う引越費用は会社負担。年1回の社員旅行では自分の好きな行先を選択できる。前社長からの伝統で従業員の誕生日にはプレゼント(書籍)が贈られる他、従業員の配偶者の誕生日には花が贈られる。

■キャリア
入社後は店舗配属が基本であり、調理・店舗運営の基礎を学ぶ。その後は店長を目指す場合と本社部署勤務に分かれており、誰しもが店長を経由しなければならないわけではない。優秀であれば3年ほどで店長に抜擢されるケースも。店長からフランチャイズオーナーとして独立する社員もいる。

■ブラック企業からの転換
かつてブラック企業ランキングにランクインするなど世間を騒がせたが、最近は大きく方針転換。飲食業界の人手不足もあって従業員を大切にする企業に変わりつつある。高利益体質を生かして従業員への還元も少しずつ進めており、世間で言われるほどのブラック企業ではもはやなくなりつつある。

■独特の企業文化
ザ・体育会系の企業文化。各種媒体では独特の店長会壮絶な社内研修の動画を見ることができる。賛否両論あるものの、必死に努力する体育会系文化が好きであれば楽園である。前社長は人情派としても知られ、①社長室の壁に従業員の顔写真を貼って名前を覚える、②誰より早く出社して社内を掃除する、などのエピソードに事欠かない

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