企業概要
サイバーエージェントは、インターネット広告･スマートフォンゲーム･ネットメディアを主力とするIT企業。1998年に藤田晋らが設立され、創業当時からインターネット広告事業に取り組んできた歴史を持つ。スマートフォン黎明期からスマートフォン向けの広告に着目、早期シフトを図ったことで日系IT企業として国内トップシェアを確保することに成功した。事業多角化･新規事業にも熱心であり、AbemaTV･Cygames･マクアケ･WinTicketなどの優良子会社を多数擁する。
１．インターネット広告で国内首位級のメガベンチャー
２．売上高は右肩上がりで増加、ゲーム事業のヒット作により業績急伸
３．平均年収800万円程度、新卒初任給42万円への引き上げが話題に
業績動向
✔売上高と経常利益
サイバーエージェントの売上高は右肩上がりの成長トレンドにあり、過去8年間で約2.8倍に急増*1。営業利益は2020年までは300億円規模で安定していたが、2021年からは急増傾向。
*1：2021年に売上高が急増したのは、主にCygamesの新作「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットによるもの。ゲーム事業の売上高は1,558億円（2020年）から2,627億円（2021年）へと1,000億円以上の増加。他事業もCOVID-19感染一服からの回復で売上高が伸びた。
✔セグメント別の状況
サイバーエージェントはメディア事業（ABEMA、WINTICKET、Amebaなど）、インターネット広告事業（広告、AI･DX事業など）、ゲーム事業（スマートフォン向けゲーム）、投資育成事業（ベンチャーキャピタル運営）、その他事業（クラウドファンディング･スポーツ事業など）の5事業を有する。
サイバーエージェントは祖業のネット広告から事業多角化に成功しており、現在ではネット広告事業は売上高の38%に留まる。とりわけゲーム事業は利益率が高い事業となっており、利益の約69％をゲーム事業が稼ぎだしている。
✔最終利益と利益率
サイバーエージェントの純利益は年度による好不調が大きくムラが大きく、2017年から2020年にかけては不調が目立った。2021年以降はゲーム事業に牽引され純利益も急増している。
✔自己資本比率と純資産
サイバーエージェントの自己資本比率は直近で37.6%とやや低めの水準だが、高い利益率を加味すれば特段心配になる水準ではない。2017年までは50%前後の高水準で推移してきたが、2018年に急落して30%台となった*2。
*2：サイバーエージェントは2018年に総額400億円のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行。AbemaTVに関わる新規投資･M&Aへの資金調達を行ったために自己資本比率が低下した経緯がある。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
サイバーエージェントの平均年収は直近で817万円とメガベンチャーとしては標準的な給与水準。平均年齢は直近でも34歳ほどであり、若いうちから大手メーカー並みの給与水準を得られる点は魅力。2023年入社の新卒から初任給を42万円に上げたことで話題となった。
✔従業員数と勤続年数
サイバーエージェントの従業員数は右肩上がりで増加しており、直近では6,337人に到達している。平均勤続年数は6年前後と極めて短いが、平均年齢34歳の若い組織であることを考えれば悲観する様な水準ではない。ただし、安定した終身雇用をも期待できるかは企業年齢が若いため不透明。
総合評価
企業格付け：BBB
メガベンチャーの代表格ともいえる企業だが、売上高や営業利益などの指標から言えば立派な大企業。祖業はインターネット広告だが、CygamesやAbemaTVなど様々な分野に積極的に進出して事業を育て上げており、事業運営は巧み。今ではベンチャーキャピタルを事業として持ち、シード･アーリーステージのスタートアップへ投資、新たなビジネスチャンスを伺っている。業績は右肩上がりで増加しており成長企業。強いて言えば、直近の業績はゲーム事業のヒット作に支えられており一過性の要素もある点には注意。
就職格付け：BBB
有名企業のため世間体も良く、給与水準も良いため隙がない。2023年から新卒初任給は年棒制504万円（月給42万円）とコンサル会社並みの給与体系となった。固定残業制80時間/月（職種によっては46時間/月）のため、ほぼ残業代コミコミの年収だが、それでも高い。平均年収は800万円台のため、入社時からの昇給幅は限られると推定され、概ね5~7年ほどで大手メーカー新卒に給与面では追いつかれるか。就職偏差値は雇用安定性と企業存続を重要指標とするため、創業年数に乏しい同社の就職偏差値は低く見られがちだが、非常に勢いがある優良企業である。