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三菱電機の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱電機は、エレベーター・パワー半導体・PLC・人工衛星など幅広い電気製品を製造販売する大手総合電機メーカー。1921年に三菱造船電機製作所が分社化して独立、100年以上に渡って変圧器・電動機をはじめとする重電・軽電機器を製造してきた。多種多様な製品でニッチに稼ぐ戦略を得意としており、特定製品に依存することなく手堅く利益を確保する事業構造。エレベーター・エスカレーターで国内シェア首位、鉄道車両電装品・エンジン電装品・パワー半導体モジュール・エアコンなどでシェア上位。

POINT

1.BtoB領域で強さを発揮する三菱グループの総合電機メーカー
2.売上高・利益は極めて安定的、財務堅実で自己資本比率60%に迫る
3.平均年収806万円だが、労災自殺・不正検査問題などが頻発

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱電機の売上高は4兆円レベルで安定推移してきたが、2022年に売上高5兆円を突破*1。営業利益は2,300億~3,200億円ほどで安定的に推移している。
*1:三菱電機は2025年までの売上高5兆円達成を目指していたが、2022年は売上高が急伸。成長要因は、①円安による為替効果、②欧米向けの空調機器の需要拡大、③脱炭素関連投資の活況による自動車電動化製品の拡販、④ビルシステム商品のアジア・国内における需要好調、など。

✔セグメント別の状況

三菱電機は重電システム事業(タービン・遮断器・原子力機器・エレベータ・エスカレータ・ビル管理システムなど)、産業メカトロニクス事業(PLC・インバータ・電動機・車載装置など)、情報通信システム事業(放送機器・人工衛星・ネットワークシステムなど)、電子デバイス事業(パワーモジュール・高周波素子など)、家庭機器事業(エアコン・冷蔵庫・空気清浄機など)、その他事業の6事業を有する。
三菱電機は大手電機メーカーの中でもトップクラスに幅広い事業領域を有している点が特徴。エアコンやテレビなどBtoC製品のイメージが強いが、家庭機器事業が売上高に占める割合は約20%に過ぎず、稼ぎ頭はBtoB製品の重電システム・産業メカトロニクス分野。

✔最終利益と利益率

三菱電機の純利益は2,000億円台で極めて安定的に推移しているが、過去最高益である2017年の2,558億円を越えられない状況が続く*2。営業利益率は5%以上の水準で安定推移、大手メーカーとしては高くも低くもない水準。
*2:三菱電機は2021年6月に組織的な検査・品質の不正問題が発覚。あらゆる事業領域で不正が横行する企業体質が暴露されたが、業績影響は軽微であった。ただし、莫大な社内リソースが不正問題の鎮火に投じられたことで業績は停滞。

✔自己資本比率と純資産

三菱電機の自己資本比率は概ね50%台で推移しており、大手電機メーカーとしては優良な水準*3。直近では自己資本比率58.3%に到達しており、60%台入りも目前か。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では3.36兆円に到達。
*3:日系大手電機メーカーの中でも三菱電機の自己資本比率はトップクラス。日立製作所・ソニー・パナソニック・キヤノン・富士通・NECのいずれよりも高い水準にある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱電機の平均年収は800万円前後で推移しており、大手電機メーカー並みの給与が得られる。大卒総合職ならば35歳頃に年収850~950万円、課長職になれば1,000万円を越える。平均年齢は41.1歳と大手メーカーとしては標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱電機の従業員数は14万人規模で安定的、源流である三菱重工を遥かに上回る大所帯である。平均勤続年数は16.9年と大手企業の標準的水準に留まるが、2022年に発覚した組織的な検査・品質の不正問題による影響が今後表面化する可能性も。

総合評価

企業格付け:A

三菱グループの大手電機メーカー、他電機大手と比べるといまいち地味で目立たないが売上高5兆円規模の大手。日系大手電機メーカーの中ではBtoC分野で競争力が高く、中韓系電機メーカーの躍進で没落した他電機メーカーと比べると依然として高い競争力を有している。あらゆる分野で一定以上の競争力を有しており、世界的シェアを握るニッチ分野は枚挙に暇がない。特定事業に依存しないバランスの取れた事業構造により、特定分野が傾いたとしても企業存続に支障は全くない。業績は成長性こそ感じないが安定感は抜群であり、景気動向などに左右されることなく利益を着実に確保する手腕は卓越。財務体質においても他大手電機メーカーを上回る財務健全性を維持しており、手堅い。

就職格付け:B

電機メーカーとしては超優良企業。業績・財務は極めて堅実でこれといった隙は無く、世界的シェアを掌握するニッチ製品で手堅く稼ぐ手腕と自己資本比率60%に迫る堅実な財務ゆえ、当面は倒産危機とは無縁。給与水準も大手電機メーカー上位級であり、平均年収800万円以上を確保している。福利厚生も大手メーカーなりの制度が整っており、家賃補助制度では入社後8年間に渡って家賃額の半分までが補助されるため有難い。総じて優良企業ではあるが、三菱電機の抱える最大の課題は企業文化。2012年から2020年までの8年間で労災認定者・自殺者が何度も発生、2022年には新入社員の自殺者との和解が成立するも、新入社員の自殺者遺族に対して3年間に渡って裁判を続けていた。2021年には組織的な検査・品質の不正問題が発覚。

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