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日立製作所の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日立製作所は、ITソリューション・電力設備・産業機器・家電・鉄道・自動車部品などを主力とする総合電機メーカー。連結子会社770社を擁する日立グループの中核企業でもある。1910年に日立鉱山の機械製造・修理部門として創業、1920年に日立製作所として独立した。戦前からエレベータ・電気機関車・発電所・家電などを幅広く手掛け、戦後には原子力発電・情報システムなどにも進出。日立グループは日本最大級の企業グループとして発展し、総合電機メーカーとしては国内首位の売上高を誇る。最近ではIT領域に注力しており、2022年には米IT大手・グローバルロジックを買収。

POINT

1.日系最大手の総合電機メーカー、IT領域への注力を急ぐ
2.売上高は横這いだが利益体質は良好、財務体質は普通
3.平均年収915万円と電機メーカー上位級、福利厚生はそこそこ

業績動向

✔売上高と営業利益

日立製作所の売上高は長年に渡って8兆~10兆円ほどの規模で横ばいの推移が継続。2020年までは売上高の縮小傾向が続いていたが*1、2020年を底に増加傾向へ反転。営業利益は2019年までは4,950億~7,550億円で安定的。
*1:日立製作所の売上高が減少していたのは、2010年代にグループ再編を押し進めたことが主要因。日立製作所が2010年代以降に売却した事業は、日立物流・日立キャピタル・日立マクセル・日立化成・日立工機・日立国際電気・クラリオンなど数多い。

✔セグメント別の状況

日立製作所はデジタルシステム&サービス事業(システムインテグレーション・クラウドサービス・ストレージ・サーバー・ソフトウェアなど)、グリーンエナジー&モビリティ(パワーグリッド・原子力・再生可能エネルギー・鉄道システムなど)、コネクティブインダストリーズ事業(ビルシステム・家電・空調・医療機器・産業用機器など)、オートモーティブシステム事業(運転支援システム・パワートレイン・シャシーなど)、日立建機事業、日立金属、その他事業(光ディスク・不動産業など)の4事業を有する。
最近の日立製作所は特にデジタルシステム&サービス事業に注力しているが、同事業が売上高に占める割合は約20%ほど。伝統的に事業多角化が進んだ企業ゆえに主要4事業が売上高を分散的に支える事業構造となっている。。

✔最終利益と利益率

日立製作所の純利益は売上高・営業利益の安定性に反して、年度により好不調が明確に分かれている。ただし、2020年以降はLumadaをはじめとする積極投資が奏功して過去最高益を連続更新。営業利益率は概ね5~7%レベルで安定しており、大手メーカーとしては標準的な利益水準。

✔自己資本比率と純資産

日立製作所の自己資本比率は長期的には緩やかな増加傾向が継続。ただし直近でも自己資本比率39.5%と、大手メーカーとしては標準的なの自己資本比率である。純資産は長期的には横這いが続いており、直近の2022年でも7年前と同水準に留まる。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日立製作所の平均年収は長年に渡って850万~910万円の水準で安定的、大手総合電機メーカーとしてはトップレベルの給与水準にある。大卒総合職は30歳前後で年収680万~800万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,300万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

日立製作所の単体従業員数は長年に渡って減少傾向が続いており、過去8年間で約1万人近くの減少。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は32万人と日本企業トップレベルの組織規模を誇る。平均勤続年数は直近で19.3年と長く、ホワイト企業であることを伺わせる。

総合評価

企業格付け:AA

日系総合電機メーカー8社において最大級の企業規模・組織を誇る、日本を代表する総合電機メーカー。100年以上に渡って日本の電機業界を牽引してきた企業であり、事業領域はあまりにも広く、主力事業だけでも重電・家電・IT・鉄道・自動車部品・素材など広範に渡る。売上高は長年に渡って10兆円前後が続くが、利益体質は改善しており、2020年以降は過去最高益を連続更新。2009年には約7900億円の最終赤字を計上して自己資本比率10%台まで低下する経営危機に陥ったが、大胆な構造改革・事業転換によって大復活を遂げた。現在ではデジタルソリューション・AI・ビッグデータを組み合わせた”Lumada”ブランドに注力、デジタル企業へと転換しつつある状況。企業規模が巨大であるために重電・家電・鉄道・自動車部品などの事業は維持しつつ、”Lumada”を中核事業に据えることで安定的成長を志向。2022年には約1兆円を投じて米IT大手のグローバルロジックを買収、デジタル事業への更なるテコ入れを図っている。

就職格付け:A

総合電機メーカーを目指すのであれば真っ先に候補に入れたいトップ企業の1社であり、企業ブランドは相当に高い。平均年収は直近で900万円を上回っており、大手メーカーとしては高めの給与水準。福利厚生はそこそこ恵まれているものの大手メーカーとしては普通レベルであり、家賃補助制度は5~7万円/月ほど。家賃補助の支給期間は最長40歳とかなり長めではあるが、特段驚くほどのレベルではない。最大の問題は、あまりにも事業領域が広い企業である点。自らが望む事業領域に必ず配属されるわけではなく、配属部門が斜陽事業であった場合には将来的な出世にも期待を抱きにくい。また、過去10年間で非主力事業の売却・譲渡が続いており、配属部門ごと事業譲渡されたことで転籍となるケースも散見される。超大企業ゆえに企業としての存続性は堅いが、必ずしも社員の人生まで保証されるわけではない点は理解する必要がある。

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