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富士通の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

富士通は、1935年に富士電機から独立して設立された総合ITベンダ―・電機メーカー。設立から暫くは電話通信機器を製造していたが、1960年代にIBM互換のFACOMメインフレームを発売して企業規模を拡大した。現在は総合ITベンダーとしてソフトウェア開発を主力事業とするが、歴史的にハードウェアが発祥の企業であることからスーパーコンピューター・サーバー・通信機器・携帯電話なども幅広く手掛ける。

POINT

・総合電機メーカーからITベンダーへと構造転換、直近の業績は安定的
・デジタル化推進の社会ニーズを捉え、事業環境は当面安定か
・平均年収は878万円だが、過去には苛烈なリストラ・事業売却も経験

業績動向

✔売上高と営業利益

富士通の売上高は2001年に5.4兆円を誇ったが、業績悪化によろ事業売却を繰り返したことで売上高3兆円規模*1にまで縮小。営業利益は回復傾向にあり、2022年には過去最高となる2,663億円を記録*2。
*1:2000年代後半以降、リース事業・マイコン事業・半導体生産・システムLSI事業・スキャナー事業・ディスプレイ事業・携帯電話販売事業・HDDメディア事業・コンデンサ事業・パソコン事業などを分社化・売却。
*2:COVID-19感染拡大によってリモートワーク需要と業務デジタル化需要が急伸。文部科学省のGAGAスクール構想などのデジタル投資特需もあり、業績が急改善した。

✔セグメント別の状況

富士通はテクノロジーソリューション事業(システム開発・クラウド・アウトソーシング・データセンター・通信インフラ)、ユビキタスソリューション事業(クライアントコンピューティング)、デバイスソリューション事業(半導体パッケージ・電池・電子部品)の3事業を有する。
売上高の約85%をテクノロジーソリューション事業が稼いでおり、花形部門となっている。利益面ではデバイスソリューション事業が約23%を占めており、一定の存在感がある。同事業は子会社の富士通コンポーネント・新光電気工業・FDKが担っており、富士通の屋台骨を支える一角となっている。

✔最終利益と利益率

富士通の純利益は、長期的に回復傾向が継続。2023年には過去最高となる純利益2,544億円を確保しており、売上高の全盛期であった2001年を超える利益規模に到達。営業利益率も改善が進んでいるものの、直近でも5.41%どまり。ITベンダーとしては利益率は低め。

✔自己資本比率と純資産

富士通の自己資本比率は直近で49.9%とかなり高めの水準、昨今の業績が安定していることも加味すれば当面の備えは十分。純資産は右肩上がりでの増加が続いている*3。
*3:2020年から純資産が急増したのは、業績好調による利益剰余金の蓄積に加えて、上場子会社の新光電気工業の株価上昇が主要因。同社は株価が7倍以上となり純資産拡大に貢献。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

富士通の平均年収は直近で878万円ほどであり、大手システムインテグレータの給与水準と遜色ない水準。総合職であれば30歳頃に650万~750万円に到達し、課長レベルになると1,100万~1,250万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

富士通の単体従業員数は3万人規模での横ばいが続いている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は12.4万人ほど。2000年代後半以降の不採算事業売却で人員数は減少したが、最近はリストラも少なくなった。平均勤続年数は19年前後で推移しており、従業員の定着は良い。

総合評価

企業格付け:BB

■業界ポジション
世界上位級のITベンダーであり、ライバルはNTTデータ・NEC・日立製作所など。かつて日系大手電機メーカーの一翼を担っていたが、2000年代の業績悪化を経てITベンダーへと転身。出自・業績いずれも類似する同業のNEC(日本電気)と比べられることが多い。

■業績動向
改善傾向。売上高は全盛期の5兆円レベルからは激減したが、構造改革によって利益体質は大きく改善。2022年には過去最高益となる純利益3,356億円に到達して復活を印象づけた。が、営業利益率は依然として10%以下であり、生粋のIT企業と比べると利益率の低さはまだまだ否めない。

■財務体質
良い。一時は自己資本比率20%未満に後退していたが、直近の自己資本比率は49.9%と高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質。地道に利益を積み重ねて負債依存度を低減してきた成果であろう。

■ビジネス動向
2022年に60年以上の歴史を持つメインフレーム事業からの将来的撤退を宣言。同時に、クラウド上でメインフレーム同等のコンピューティングを提供するサービスを発表(Fujitsu Computing as a Service)。ハードからソフトへの転換を不退転の決意として、更なるDX深耕を模索。

就職格付け:BBB

■給与水準
給与水準は大手メーカーを上回っており、平均年収は859万円とかなり高め。総合職であれば30歳頃に650万~750万円に到達し、課長レベルになると1,100万~1,250万円に到達する。給与制度においてはIT業界をベンチマークとしているため、給与水準は高めである。2023年には人事制度改定を行い、月額賃金10%の上積みを更に断行。

■福利厚生
企業規模なり。家賃補助制度では30歳まで最大3万円/月とやや金額が少ない。COVID-19感染拡大後はオフィスをドラスティックに削減して在宅勤務を主力にしており、働き方にはかなり柔軟。2000年代に業績不振に陥った時期には思い切ったリストラを断行、事業売却を繰り返した過去があるため、長く働き続ける観点では一抹の不安も残る。

■キャリア
採用職種は研究職・技術開発職・SE職・コンサルタント職・生産職・法務/経理職・人事/総務職/営業職など多岐に渡る。本人が望まない限りは入社後の職種で職務経験を積み重ねていくため、市場価値の高いスペシャリスト人材になりやすい。新卒採用であっても内定時に採用職種•配属先を確約するため、いわゆる配属ガチャがないのは安心感。

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