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パナソニックの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

パナソニックホールディングスは、白物家電・照明器具・バッテリー・BtoBソリューションなどを展開する総合電機メーカー。1918年に松下幸之助が創業した松下電気器具製作所を源流とし、2011年には業績不振に陥った三洋電機を傘下に収めた。現在では家電・空調・照明・電子部品・FAデバイス・自動車用バッテリーなどを幅広く展開。日本を代表する総合電機メーカーの1社。大手電機メーカー8社の中では白物家電が占める割合が特に高く、一般消費者にも広く親しまれる企業でもある。

POINT

・ 電機業界3位だが売上高の成長は頭打ち、財務体質は改善傾向が続く
・ 直近ではパナソニックコネクトを設立、ビジネスモデル転換を急ぐ
・ 持株会社は平均年収908万円・平均勤続年数18.3年のホワイト企業

業績動向

✔売上高と経常利益

パナソニックホールディングスの売上高は7兆~8兆円レベルで推移している。大手電機メーカーとしては最上位級の事業規模を誇るが、成長性がない横ばいの推移である*1。営業利益は概ね2,300億~4,100億円のレンジで推移している。
*1:パナソニックは1990年代から売上高7~8兆円レベルで推移しており、売上高の停滞が約30年に渡って続いている。事業ポートフォリオは時代と共に変わっているが、全体としての成長が頭打ち。

✔セグメント別の状況

パナソニックホールディングスはくらし事業(家電・空調・照明・業務用機器など)、オートモーティブ事業(車載システム・車載エレクトロニクスなど)、コネクト事業(BtoBソリューションなど)、インダストリー事業(電子部品・FAデバイス・電子材料など)、エナジー事業(一次電池・二次電池・車載用電池など)の2事業を有する。
パナソニックホールディングスは売上高の約半分を白物家電を中心とするくらし事業で稼いでいるが、利益はBtoB事業が60%以上を占めており稼ぎ頭。2024年にはオートモーティブ事業を牽引してきたパナソニックオートモーティブ社の売却を決定しており、自動車分野への事業展開は将来的に控える方針。

✔最終利益と利益率

パナソニックホールディングスの純利益は1,500億~2,800億円のレンジで推移しており、2018年は過去最高益となる2,841億円を記録。営業利益率は長期的に3~5%ほどの水準に留まっており、利益率はかなり低め*2。
*2:最主力事業である家電分野の営業利益率が一声3%前後と高くないうえ、BtoB分野を牽引すると期待されてきたコネクト事業の営業利益率も2%前後に留まる。インダストリー事業は営業利益率6%以上を誇るが、事業規模が小さいという課題がある。

✔自己資本比率と純資産

パナソニックホールディングスの自己資本比率は2017年頃まで25%前後で停滞していたが、同年以降は増加傾向。直近では44.9%まで改善しており、大手メーカーの標準的な水準まで改善した。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では3.79兆円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

パナソニックホールディングスの平均年収は直近で908万円まで増加したが、これは持株会社の組織変更が主要因*3。大卒総合職は30歳で600万~750万円、課長職レベルで1,000万円ほどが目安。平均年齢は45歳を上回っており、社員の年齢構成はかなり高め。
*3:2022年に持株会社制へと移行。従業員の大半が事業会社の所属となっており、持株会社には経営・管理などの本社機能に携わる社員のみが残っている。これにより平均年収が本社機能を担う従業員のみで算出されるようになったことで、平均年収が上昇した。

✔従業員数と勤続年数

パナソニックホールディングスの従業員数は5万~6万人のレンジで推移しているが、2018年をピークにやや減少傾向。2022年には持株会社制への移行により、持株会社の従業員数は1,300人規模まで激減した。平均勤続年数は持株会社制に移行後も18.3年と長めであり、従業員の定着が良い。

総合評価

企業格付け:BBB

■業績動向
事業規模では電気メーカー上位3社に数えられる巨大企業ではあるが、業績は横ばい傾向が続く。売上高・利益いずれも過去8年間に渡って同一レンジ内で推移しており、成長性は希薄。1990年代に売上高7兆円に到達してから30年以上に渡って横ばいが続いている状態。

■財務体質
堅実。2010年代前半には業績不振によって自己資本比率25%前後まで低落したが、その後は徐々に財務体質の改善が進んでいる。直近では自己資本比率40%以上まで回復し、大手メーカーの標準的な水準まで漕ぎつけた。手元の現預金は1兆円を優に上回っているが、有利子負債は直近でも2,500億円ほどに過ぎず、見た目の自己資本比率以上に保守的な財務規律を維持している。

■ビジネス動向
売上高ではソニーと日立製作所に続く第3位に位置するが、独自路線で成長軌道を維持する上位2社に対して、パナソニックは業績停滞が続く。最大の課題はコモディティ化した白物家電からの脱却と、次の収益源を見つけること。EVバッテリーでは2011年から米Tesla社と提携、同社の急成長を10年以上に渡って支えてきたが競合バッテリー会社の猛追が激しく形勢不利。2020年には約8,600億円もの巨額を投じて米BlueYonder社を買収して、パナソニックコネクト社を鳴り物入りで立ち上げた。米BlueYonder社は製造業・物流業向けソフトウェア会社であり、BtoB事業への業態転換の鍵となることを期待されている。多方面で収益性が悪いBtoC事業からの脱却を試行してはいるが、業績への貢献は道半ば。

就職格付け:BBB

■給与水準
大手電機メーカーとしては上位級の待遇。大卒総合職であれば30歳で年収600万~750万円程度に到達し、30代中盤で主務に昇格すれば800万円以上に。課長職レベルであれば年収1,000万円を超える。脱年功序列を掲げて人事制度を修正してはいるが、そもそも創業者たる松下幸之助が終身雇用を中心とした日本型雇用の推進者であったこともあり、年功序列色はなかなか払拭しきれない。

■福利厚生
電気メーカー上位級。入社後7年間は独身寮に家賃1万円/月で生活できるため、若手社員の間に貯金しやすい。転勤を経験していれば最大14年までは家賃の自己負担額30%で生活できるため、転居を伴う転勤であっても不公平感は薄い。持株会社制へ移行する以前の一般社員5万人の平均勤続年数は20年以上と従業員の定着が良いことは特筆に値する。

■キャリア
事務系・技術系・クリエイティブ系の3職種制。入社時の職種でローテーションを経ながら経験を蓄積するキャリアパスが基本。ただし、将来有望な幹部候補人材については持株会社での経営企画・事業企画などの経験を積ませることも。職種別採用を推進しており、新卒採用においても内定時に初期配属を確約するため「配属ガチャ」がない点は美点。

■知名度・社会的評判
関西圏では特筆して高い知名度と企業ブランドを有する。大阪府を代表する名門企業であり、一代で巨大企業グループを作り上げた創業者・松下幸之助は日本の経営史に刻まれる名経営者。日本人であれば誰もが知る超有名企業であり企業イメージもよいため、就職先として誇るには十分。

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