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電力

【勝ち組?】JERAの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

JERAは、関東~中部地方において火力発電を運営する大手電力会社。2010年代から関東進出を目論んでいた中部電力が、東京電力と提携することで2015年に設立。2019年には東京電力中部電力の火力発電所がすべて当社に移管され、火力発電所25拠点以上を保有する巨大電力会社として再編。現在では発電電力量で2,350億kWhにも達しており、国内発電電力量で断トツ首位かつ国内シェア30%を保有。海外でもアメリカ・オーストラリア・タイなどで発電事業を運営している。

POINT

・東京電力・中部電力の火力発電部門を統合して誕生、発電電力量で業界トップ
・売上高・利益いずれも不安定だが、財務体質は業界上位級
・平均年収878万円で福利厚生もかなり良好、採用活動を開始

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:70(最上位)

サラリーマンとしては最上位クラスの勝ち組。親会社の東京電力・中部力に一般知名度こそ及ばないが、平均年収では一歩リードしており評価を高めている。業績好調も追い風。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

2022年から当社独自での採用活動がスタート。総合職の採用数は毎年90名~120名ほど、うち70%ほどが技術系採用枠。歴史がまだ浅いために知名度は低いが、ハイレベル大学出身者からの採用が多い。
採用大学:【国公立】一橋大学・大阪大学・名古屋大学・北海道大学・筑波大学・千葉大学・電気通信大学・東京農工大学・長岡技術科学大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

JERAの売上高は年度による上下変動が大きいが、2022年には過去最高となる4.73兆円まで急拡大*1。営業利益も年度による上下変動が極めて大きいが、2023年には過去最高となる5,634億円まで急拡大。いずれも燃料価格の動向に左右されやすい。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。

✔セグメント別の状況

JERAは、燃料事業(燃料上流事業への投資、燃料輸送・燃料トレーディング)、海外・再エネ発電事業(海外における発電、国内外における再生可能エネルギー発電)、国内火力・ガス事業(国内における電力・ガスの販売)、の3事業を有する。
当社は売上高の約98%を国内火力・ガス事業が占める。当社は東京電力・中部電力の火力発電事業を承継したことで、火力発電能力・LNG輸入量において世界トップクラスの規模へと躍進。規模を活かしてコスト競争力を向上させてきた経緯がある(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

JERAの純利益は年度による上下変動が大きいが、2023年には過去最高となる3,996億円まで急増*2。営業利益率は1%〜15%で推移しており安定性はない。
*2:2023年に利益急増した理由は、燃料価格の下落による燃料費調整の期ずれ影響(参考リンク)が主要因。この期ずれ影響による増益効果は2,509億円と巨額であり、これが利益を大きく押し上げている。

✔自己資本比率と純資産

JERAの自己資本比率は20%~38%ほどで推移しており、電力業界としては高めの水準を維持している*1。純資産も2019年から増加傾向にあり、2023年は2.65兆円に到達。
*3:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、当社の自己資本比率はこれを下回る推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

JERAの平均年収は直近では878万円と業界上位級であり、親会社にあたる東京電力・中部電力よりも高くなっている。大卒総合職は30歳で年収550万〜680万円ほど、課長職レベルで1,100万〜1,200万円ほどと推定。若手社員の給与レンジは低めだが、勤続を重ねることで給与が大きく伸びる傾向。

✔従業員数と勤続年数

JERAの単体従業員数は微増傾向にあり、直近では4,167名となっている。2019年の会社設立時に東京電力・中部電力から転籍した社員が大多数を占めるが、2022年からはプロパー採用を開始している。平均勤続年数は下落傾向にあるが、直近でも19.1年と高水準を維持している。

総合評価

企業格付け:AA

東京電力・中部電力という業界大手の火力発電部門が統合することで誕生した企業。当社が設立された目的は、①世界トップクラスの会社規模に拡大することによる燃料調達・発電における競争力拡大、②燃料貯蔵~発電所運営における創業合理化による運用コストダウン、など(参考リンク)。今や当社の発電電力量(2,350億kWh)は、業界2位の関西電力の発電電力量(894億kWh)の2倍以上と圧倒的な首位である。業績においては売上高・利益いずれも安定性がまったくないが、これは(火力発電に特化したビジネスモデルゆえに)燃料費の上下変動に業績を左右されやすいが為。実際には燃料費調整制度(参考リンク)によって燃料価格の高騰分は顧客に転嫁できるとはいえ、業績の安定性は(世間一般における電力会社=安定のイメージに反して)ない点は理解しておきたい。最大の課題は、将来的なCO2ゼロエミッションであり、火力発電に事業を依存する当社にとっては難問。当社は「2050年CO2排出ゼロ」を目標にするJERAゼロエミッション2050を掲げており、①非効率な石炭火力発電所の全台停止、②洋上風力を中心とした再生可能エネルギー開発、③水素・アンモニアの利用拡大、などを目指している。2024年には英・BP社と洋上浮力事業の統合を発表、これにより世界4位の洋上風力発電会社へと躍進する見込み(参考リンク)。

就職格付け:A

2019年に誕生した歴史が浅い電力会社であるが、実は日本国内の発電電力量において国内シェア30%にも達している業界最大手。歴史が浅いがゆえに一般知名度は今なお低いが、電力業界においては今やトップ企業の一角として君臨している。給与水準も業界上位に食い込んでおり、直近では平均年収878万円と親会社2社を抜いている状況。大卒総合職であれば30歳で年収550万〜680万円ほどだが、課長職レベルで1,100万〜1,200万円ほどに達する。当社は2019年の設立時に東京電力・中部電力から転籍した社員が大多数を占めるため、給与テーブルが元会社に見劣りしないように調整されている事情もある。福利厚生もかなり恵まれており、20代のうちは独身寮を利用できる他、結婚後も利用できる家族寮は45歳まで居住できる(ただし実家から通勤90分以内は圏外となる)。電力会社にありがちな原子力発電所に対する世間の風当たりについても、当社は火力発電所のみに特化しているために無縁である。強いて課題を挙げるとすれば、当社の主力拠点が「東は福島県・新潟県~西は愛知県・三重県」にまで分散している点であろう。転勤範囲の狭さ(地元に根付いて生活できる)を重視する場合には、地方電力会社に軍配が上がる。

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出典:株式会社JERA(有価証券報告書)