カテゴリー
IT会社

NECの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

NEC(正式表記:日本電気)は、1899年に岩垂邦彦と米ウェスタンエレクトリックが設立した日本初の外資系合弁会社。戦前から通信機器の製造を始め、1932年に住友グループ入りを果たした。戦後には家電・半導体・パソコンを製造。半導体では世界市場を席捲し、PC-9800シリーズは日本市場をほぼ独占した。リーマンショック後には業績悪化で不採算事業を整理、現在はITサービスを主力事業とする総合電機メーカーへと転換。

POINT

1.かつては半導体とパソコンで世界市場を席巻した名門企業
2.現在はITベンダーへと構造転換済、直近の業績は安定的
3.平均年収842万円、新卒年収1,000万円の新制度を開始

業績動向

✔売上高と営業利益

NECの売上高は2001年に5.4兆円を誇ったが、業績悪化後のリストラにより売上高が減少*1。が、2016年以降は売上高も回復傾向にあり、2023年には売上高3.48兆円まで伸長。営業利益も回復傾向にあり、2016年以降は右肩上がりで増加中。
*1:2000年代後半以降、携帯電話事業・パソコン事業・DRAM事業・車載リチウムイオン電池事業・液晶ディスプレイ事業・有機ELディスプレイ事業などを分社化・売却。

✔セグメント別の状況

NECは社会公共事業(公共・医療・地域産業向けシステム開発・サポート・機器)、社会基盤事業(官公庁・メディア向けシステム開発・サポート・機器)、エンタープライズ事業(製造・流通・サービス業向けシステム開発・サポート・機器)、ネットワークサービス事業(国内通信市場向けネットワークシステム)、グローバル事業(海外向けデジタル機器・システム)の5事業を有する。
売上高・利益いずれも5事業のシェアが概ね均衡しており、特定事業に依存しない事業構造となっている。強いて言えば、社会基盤事業が利益の約30%を占める重要事業である。

✔最終利益と利益率

NECの純利益は2016年頃から回復傾向にあり、直近では1,495億円まで回復*2。営業利益率も右肩上がりで改善が進んでいるものの、直近でも5.41%どまり。ITベンダーとしては利益率は低め。
*2:2019年頃からCOVID-19感染拡大を経てリモートワーク需要と業務デジタル化需要が急伸。文部科学省のGAGAスクール構想に代表されるデジタル投資特需も追い風となり、業績が急改善。

✔自己資本比率と純資産

NECの自己資本比率は2019年頃から増加傾向、直近では45.3%まで上昇。構造改革を進捗させつつ、財務体質の改善も果たしているのは特筆すべき。純資産は右肩上がりで急増が続いている*2。
*2:2020年から純資産が急増したのは、NECが保有する有価証券の評価額上昇が主要因。上場子会社のNECネッツエスアイは株価が3倍以上になっており、評価額が上昇している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NECの平均年収は直近で842万円と日系システムインテグレータとしては上位級。総合職であれば30歳前後に主任に昇格して700万~820万のレンジに乗る。課長職レベルになると950万~1,200万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

NECの単体従業員数は長期的に2万人レベルで横ばい。子会社・関連会社を含めた連結従業員は11.8万人を超える大所帯である。平均勤続年数は18年以上で安定的に推移しており、勤続年数は長めである。

総合評価

企業格付け:BB

■業界ポジション
かつて世界トップクラスの半導体・パソコンメーカーとして君臨した名門企業であるが、日米半導体交渉とその後の紆余曲折を経て世界シェアを喪失して普通の一企業に成り下がってしまった悲劇の企業。まさに米国・日本の国家的利害対立の犠牲となってしまった。2000年代後半には業績悪化でリストラや本社ビル売却など苦しい時期が続いたが、現在はSIerとしてシステムソリューションを主力事業へと構造転換を果たして再出発。

■業績動向
改善傾向が継続。売上高は全盛期の5兆円レベルからは激減したが、構造改革で利益体質は大きく改善。2016年頃までは売上高・利益が低迷したが、同年以降はITベンダーとしての業態転換に成功したことで業績回復。世界的なデジタル投資の活況を追い風に、ITベンダーとしての再飛躍を目指すか。

■財務体質
良い。一時は自己資本比率30%未満に後退していたが、直近の自己資本比率は45.3%と高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質である。有利子負債は5.486億円に及ぶが、手元の現預金だけでも4,764億円を確保できており余裕が大きい。

■ビジネス動向
2025年までに営業利益率8.6%を目指す中期経営計画を策定。デジタルトランスフォーメーション・社会インフラ・グローバル5G基地局などを成長ドライバーとして業績拡大を図りつつ、その他の事業についても低採算事業の利益率底上げに向けたモニタリングを開始。ヘルスケア・カーボンニュートラル分野での勢力拡大も目指すが、現時点ではまだ目に見える成果には乏しいか。

就職格付け:BB

■給与水準
平均年収は直近で842万円と大手メーカー上位級の水準。大卒総合職なら30歳前後で主任に昇格すると年収700万~820万円程に達する。30歳中盤以降に課長職レベルへと昇格すれば、年収1,000万円は超える。外資系IT会社には劣るものの、安定した雇用を提供する日系企業ならではの良さは評価できよう。

■福利厚生
企業規模なり。若手社員向けに独身寮・家賃補助制度が用意されているが、結婚もしくは30歳を境になくなる。かつては大手メーカーとして多数の独身寮を整備していたが、IT会社への転進を境に廃止傾向。IT分野へ注力しているだけにテレワークの推進力は大きく、リモート勤務がしやすい。主力事業所・研究所は殆どが東京都・神奈川県の市街部に所在しているため、関東地域で勤務したい場合には大きな強み。

■キャリア
職種別採用。採用職種は研究職・技術開発職・SE職・コンサルタント職・生産職・法務/経理職・人事/総務職/営業職など多岐に渡る。2024年から「ジョブ型人材マネジメント」を導入しており、従来のゼネラリスト型育成からプロフェッショナル型育成へと大きく方針転換。入社時の職種で一貫したキャリアを蓄積することで転職市場価値を高めやすいが、入社時の職種で適性がなかった場合にはやや辛い(職種転換は可能)。

■新卒初任給1,000万円制度
2019年には研究職の新卒人材に初任給1,000万円以上をオファーする制度を策定。新聞記事を賑わせたが、新制度による採用実績については語られないため詳細不明。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!