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野村総合研究所の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

野村総合研究所は、野村グループに属するコンサルティングファーム・システムインテグレータ。1988年に野村総合研究所と野村コンピュータシステムが合併して誕生。歴史的経緯から野村ホールディングスが筆頭株主ではあるが、現在では同社の持分法適用会社という関係に留まる。経営コンサル・シンクタンク事業も展開するが、実態としてはIT分野が売上高・利益の大半を占める。金融向けITソリューションに強みを持ち、証券・投資信託・保険・銀行向けの大規模システム開発を得意とする。

POINT

・野村Gのコンサル・IT企業、金融向けITに強く業績拡大が継続中
・過去20年以上に渡って赤字転落歴がない強固な業績基盤
・平均年収1,200万円以上で平均勤続年数14年以上、裁量労働制が大前提

業績動向

✔売上高と営業利益

野村総合研究所の売上高は右肩上がりの成長が長期的に続いており、2023年には売上高7,300億円を突破*1。営業利益も売上高に比例して成長傾向。
*1:2000年代は売上高2,000億~3,000億円レベルであったから、過去20年強で規模倍増を果たしている。昨今の旺盛なデジタル投資を追い風に、今なお成長フェーズにある。

✔セグメント別の状況

野村総合研究所はコンサルティング事業(戦略・政策・業務・システムへの変革提言)、金融ITソリューション事業(証券・保険・銀行向けシステム開発運用)、産業ITソリューション事業(流通・製造・公共向けシステム開発運用)、IT基盤事業(データセンター運営・ネットワーク構築など)の4事業を有する。
売上高と利益面いずれもITソリューション事業が主力、特に金融ITソリューションは利益の40%以上を占める。業績面ではITビジネスが中核となっている。

✔最終利益と利益率

野村総合研究所の純利益は、売上高ほどではないが増益傾向が長期的に継続。赤字転落は過去20年以上に渡って一度もない*2。営業利益率は13%~15%ほどで安定しており、高い利益率を確保しながら成長を両立している。
*2:今回の調査では1997年の決算資料まで遡ったが純損失計上は一度もなく、それ以前の決算資料は発見できなかった。

✔自己資本比率と純資産

野村総合研究所の自己資本比率は直近で43.3%と高め。2016年には70%を越えていた点を加味すれば低下傾向にあるが、財務健全性は大いに良好。純資産は2019年に一時急減*3したが、同年以降は回復傾向が続いている。
*3:純資産が2019年に急減したが、これは当社が保有していたリクルート株の売却によって純資産から有価証券評価差額金の計上が抜けた点に起因する。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

野村総合研究所の平均年収は、2018年頃から1,200万円以上で推移しており高水準。大卒総合職であれば、30歳で年収900万~1,050万円、課長職レベルで1,300万~1,450万円ほど。日系システムインテグレータとしては屈指の待遇。平均年齢は直近では40歳前後で安定的。

✔従業員数と勤続年数

野村総合研究所の単体従業員数は、緩やかな増加傾向が続いており、直近では6,780人ほどの規模感。平均勤続年数は14年前後で安定しており、従業員の定着も大いに良好であることが伺える。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
長期的な成長傾向が継続中。売上高・利益いずれも増加傾向が継続しており、創業50年以上に渡って規模拡大が続いている。金融業界向けITソリューションにおける高い利益率が強みであるが、昨今における旺盛なデジタル投資により非金融分野でも強みを発揮。

■財務体質
良好。自己資本比率は2016年頃をピークに下降傾向にあるが、それでも直近で40%以上をしっかりと確保。かつては無借金経営で知られたが、2010年頃から成長投資に向けて負債活用を進めており、直近では有利子負債2,985億円ほど。とはいえ、高利益率かつ業績成長が続いているため、問題はないだろう。

■事業構造
コンサルティングとシステムインテグレータの2分野に強みを持ち、日系5大シンクタンクの一角としても知られる。が、事業構造としては売上高・利益の90%前後をITソリューション事業が稼いでおり、システムインテグレーションが明らかな主力事業である。そのため、実態はシステムインテグレータと捉えるのが良いだろう。

就職格付け:コンサルタント=AAA/総合職=AA

■給与水準
日系コンサル・IT会社としてトップクラスの給与体系。大卒総合職であれば30歳で年収900万~1,050万円、35歳で年収1,200万円は超える。そこからの伸びしろは本人の能力次第ではあるが、まっとうに勤務していれば年収1,000万円を余裕で超えられるのは大きい。外資系コンサル・IT会社と比べるとトップラインの給与テーブルが少ないのは事実だが、雇用の安定性を考えれば不満はないだろう。

■福利厚生
薄い。入社5年目までは月額6万円までの家賃補助制度があるが、入社6年目以降は家賃補助はない。入社数年後には成果主義を前提とした裁量労働制に移行するため、残業代は支払われない。クライアントの要求に高水準で答えることが求められるため、自己研鑽し続けることも求められる。甘い環境では決してないが、そのぶん高い給与水準によって従業員に還元する方針である。

■キャリア
職種別採用であり、採用職種は経営コンサルタント・エンジニア・経理法務スペシャリスト・セキュリティスペシャリストなど。基本的には入社時の職種において専門性を高めつつ、その道のプロフェッショナルになることが求められる。いずれの職種も入社数年後から裁量労働制が前提であり、成果主義が徹底されている。現経営陣は当社プロパー入社組が殆どであり、野村證券からの天下り役員は一握りのみ。

■コンサルタント採用
コンサルタント採用のみ就職格付けはAAAランクとなる。新卒初任給は総合職採用と同一であるが、日系一流コンサルティングファームとしての位置づけは貴重。外資系コンサルティングファームよりも昇給スピードこそ緩やかであるが、日系企業ならではの安定雇用・降格リスクの少なさは大いなる魅力であろう。