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機械メーカー

古河機械金属の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

古河機械金属は、鉱山機械・ユニック・銅精錬を主力とする古河グループの機械メーカー。1875年に古河市兵衛が朝倉銅山の開発を目指して創業。1910年代から金融・電機・電線事業など事業多角化を急速に進め、戦前日本において古河財閥として君臨。戦後は財閥解体を受けたが、鉱山経営を軸に再建。1970年代には石炭・鉱山事業から撤退、鉱山機械と銅精錬を主力事業とした。現在ではトンネルドリル・油圧クローラードリル・ユニッククレーンで国内シェア首位級、高純度金属ヒ素では世界シェア約60%を誇る。富士通富士電機ファナック古河電気工業横浜ゴムなどの名だたる企業を生み出した名門企業。

POINT

・旧古河財閥の始祖となった名門企業、現在は機械事業と金属事業が柱
・売上高・利益いずれも安定的、財務体質と健全化が進む
・平均年収797万円と機械メーカー上位級、平均勤続年数は19.1年と大いに良好

業績動向

✔売上高と営業利益

古河機械金属の売上高は、長期的に1,500億~1,700億円ほどで安定していたが、2021年以降は増加傾向*1。営業利益は機械メーカーの割には安定的であり、60億〜90億円ほどでの安定的推移。
*1:2021年から売上高が伸びた理由は、①世界的な資源価格高騰による金属事業の売上高・利益の増加、②ロックドリル事業における主力製品の値上げ措置、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

古河機械金属は、産業機械事業(ポンプ・破砕機・ベルトコンベアなど)、ロックドリル事業(クローラドリル・油圧ブレーカ・油圧圧砕機など)、ユニック事業(トラック・船舶用クレーンなど)、金属事業(電気銅・電気金・硫酸など)、電子事業(高純度金属ヒ素・窒化アルミセラミックス・コイルなど)、化成品事業(硫酸・亜酸化銅など)、不動産事業(不動産賃貸など)、その他事業(金属粉体・物流事業など)、の8事業を有する。
当社は機械事業・金属事業を柱とするが、売上高・利益の構成比はそれぞれ大きく異なる。売上高においては金属事業が約50%を占めるが、利益においては産業機械・ロックドリル・ユニックで約65%を稼いでいる。即ち、金属事業で規模を稼ぎつつ、機械事業で利益を稼ぐ構造。ただし、新たな中期経営計画では機械事業を主力事業に位置付け、機械メーカーへの転身を図っている。

✔最終利益と利益率

古河機械金属の純利益は長期的に40億〜60億円ほどで安定しており、景気後退局面にも利益は変動しにくい。営業利益率は長期的に3%〜6%ほどで推移しており、利益率はさして高くはないが安定感がある。

✔自己資本比率と純資産

古河機械金属の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には44.2%まで増加。純資産も長期的な増加傾向が続いており、2022年に純資産1,061億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

古河機械金属の平均年収は740万~790万円ほどで長期的に安定している。賞与比率が高いものの、大手メーカーなりの給与水準を実現できている。総合職の場合、30歳で600万〜650万円、課長職レベルで年収930万~1,050万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

古河機械金属の単体従業員数は200人〜210人ほどの水準で安定。事業会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,830人規模であり、事業会社に所属している従業員が多め。平均勤続年数は19年以上の水準で安定しており、従業員の定着は大いに良好。

総合評価

企業格付け:B

■業績動向
安定的。実質的な主力事業である機械事業と金属事業が2大柱として売上高・利益を支えており、景気後退局面も含めて相互補完することで業績安定化を果たしている。2020年にはCOVID-19影響で機械事業が売上低迷したが金属事業が伸びて影響を緩和、2022年には機械事業が利益を伸ばして金属事業の現役を補った。

■財務体質
良い。安定した利益により着実に財務基盤を強化しており、2022年には自己資本比率40%を超えた。かつて2000年代は自己資本比率20%台が定着していた為、過去10年強で財務健全性は大きく改善されたと評価できる。有利子負債による借入額も減らし続けており、924億円(2008年)から628億円(2022年)まで削減。

■ビジネス動向
2025年度を最終年度とする中期経営計画を策定。競争力・独自性が高い機械事業をコアビジネスに位置づけ、更なるテコ入れを目指す。2025年までには機械事業で「売上高の50%以上・営業利益の80%以上」を稼ぐ目標。今までは企業規模の割には多種多様な事業を展開していたが、今後は資本コスト・収益性を重視。機械事業を優先することでの業績成長を目指す。

就職格付け:B

■給与水準
平均年収797万円と大手メーカーなりの水準。老舗企業であるうえ業績も安定しており、伝統的な日本企業らしい年功序列制度がベース。実力があっても昇進ペースは遅いが、課長職レベルまで昇格すれば年収900万は超えるため、機械メーカーとしては大いに恵まれている。

■福利厚生
良い。各拠点に独身寮・社宅が整備されており、家賃も月額1万円以下であるため住宅コストを大幅削減できる。各事業所での部活動・クラブ活動も活発であり、古き良き日本企業的な家族主義が根強い。平均残業時間も15時間/月ほどであり、年間休日日数も121日ある。

■キャリア
研究開発職・生産技術職・サービス職・営業職・管理部門職の5職種制。基本的に入社職種での専門性を高めていくキャリアが主であり、職種間を跨ぐローテーションは少ない。年功序列色が強いため、若手社員で管理職に抜擢されることは滅多にない。メーカーであるが人事・財務部門が出世ルートであり、現会長・現社長が人事畑出身、現副社長が財務畑出身。

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