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神戸製鋼所の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

神戸製鋼所は、KOBELCOブランドで鉄鋼・素材・機械・建機・電力などを展開する大手鉄鋼メーカー。1905年に当時日本屈指の総合商社であった鈴木商店が創業、民営鉄鋼メーカーとして製鉄業に勤しむ傍らで船舶エンジン・ショベル・ドリルなど民生用機械に注力。業界大手の日本製鉄・JFEスチールと並んで、鉄鉱石から銑鉄を生産する高炉設備を保有する高炉メーカーの1社。戦前から注力してきた産業機械・建機の分野でも一流であり、世界的シェアを誇る製品も多数。神戸に本拠地を置く名門企業であり、神戸商工会議所の歴代会頭も多数輩出。

POINT

1.日系高炉メーカー3社の一角、事業多角化に強み
2.売上高・利益いずれも不安定だが直近は業績好調、財務体質は凡庸
3.平均年収605万円だが昇格試験を突破すればそこそこ、福利厚生は凡庸

業績動向

✔売上高と営業利益

神戸製鋼所の売上高は1.7兆~1.9兆円レベルでの推移が続いてきたが、2022年には売上高2.47億円まで増加*1。営業利益は年度により明暗と分かれており、100億~800億円のレンジで上下変動を繰り返している
*1:2021年の売上高の急増は、①COVID-19感染拡大の一服による景気の持ち直しで鋼材需要の高騰、②鋼材市況の高騰による在庫評価益の計上、③原材料価格高騰の価格転嫁、が主要因。

✔セグメント別の状況

神戸製鋼所は鉄鋼アルミ事業(鋼板・高張力鋼板・アルミパネル材・缶材など)、素形材事業(鋳鍛鋼・アルミ鍛錬・自動車部品・航空機部品など)、溶接事業(ワイヤ・ロボットシステム)、機械事業(樹脂ペレット製造装置・プレス加工装置・真空成膜装置など)、エンジニアリング事業(交通システム・バイオマス発電・溶融炉)、建設機械事業(油圧ショベルなど建設機械)、電力事業(神戸発電所・真岡発電所)、その他事業、の8事業を有する。
神戸製鋼所は事業多角化に特色があり、大手鉄鋼メーカーでありながら鉄鋼系事業(鉄鋼アルミ事業・素形材事業・溶接事業)の売上高は約60%ほどに過ぎない。鉄鋼系事業は鋼材市況に業績を大きく左右されるため、非鉄鋼事業による利益が鉄鋼不況期の業績を下支えしている側面も。

✔最終利益と利益率

神戸製鋼所の純利益は年度によりばらつきがあり不安定。2019年には純損失680億円に沈んだが*2、2020年以降は純利益が回復基調。営業利益率は0~4%ほどでの推移が定着しており、大手メーカーとしては利益率が低め。
*2:2019年の神戸製鋼は世界的な鉄鋼需要現状とCOVID-19感染拡大により固定資産減損損失499億円を計上したうえ、株式市場の急落により投資有価証券評価損150億を計上。

✔自己資本比率と純資産

神戸製鋼所の自己資本比率は30%レベルで長期的に推移しており、大手メーカーとしてはやや低めだが問題はない水準。純資産は横這い推移が続いてきたが、直近の2022年には純資産9,777億円まで増加。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

神戸製鋼所の平均年収は520-600万円ほどの水準で推移しており、業績による年収変化が大きい。大卒総合職の平均年収は35歳の主幹級で750~800万円ほど、課長職レベルで850~1,000万円ほどと推定。平均年齢は40歳前後の水準で安定推移。

✔従業員数と勤続年数

神戸製鋼所の従業員数は長期的に1.1万人規模で安定的に推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.8万人ほど。平均勤続年数は減少傾向にあり、直近では15.3年と大手メーカーの標準よりやや低めの水準。

総合評価

企業格付け:BBB

日本製鉄・JFEホールディングスと並び、日系高炉メーカー3社の一角を占める大手鉄鋼メーカー。売上高6兆円規模の日本製鉄、売上高4兆円規模のJFEホールディングスと比較すると規模感は見劣りするが、非鉄鋼事業における強さは唯一無二。建機・産業機械などの分野でも一流であり、鋼材価格・景気動向に業績を大きく左右される鉄鋼事業のみに依存しない事業ポートフォリオを構築してきた。業績は年度により好不調が分かれる。2019年には純損失680億円を計上して窮地に陥ったが、2020年以降は売上高・利益いずれも急回復して好調。財務体質は悪くはないが褒める程でもなく自己資本比率は30%台とやや低めの水準。2017年にはアルミ・銅製品の品質データ改ざん事件が発生。品質検査証明書を組織的に改ざんしていた事実が明るみとなり社会問題となった(参考リンク)。

就職格付け:BBB

戦前から神戸に根を下ろしてきた名門企業であり、川崎重工業と並び同地域を代表する大手メーカー。安倍晋三元首相が新卒就職して社会人としての基礎を学んだ企業でもある。給与水準は平均年収520-600万円ほどと低めだが、これは現業職を大量採用している事情が大きい。大卒総合職の平均年収は35歳の主幹級で750~800万円ほどであり、大手メーカーと互角級。ただし、昇給スピードは緩慢であるため、主査・主幹への昇格試験を突破する20代~30代前半まではそこまでリッチな生活はできない。業績によって賞与が大きく変動する為、業績悪化すると平均年収が落ちる点にも要警戒。福利厚生は大手メーカー並みだが家賃補助制度はない。代わりに独身寮・社宅が1万円/月ほどで利用できるが、大浴場・大食堂での集団生活となるため孤独を好む性格の場合にはやや辛いか。

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