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重工メーカー

三菱重工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱重工業は、発電システム・航空機・船舶・防衛用機器・ロケットなどを製造販売する総合重工メーカー。三菱UFJ銀行・三菱商事と並び三菱グループ御三家と称される。1884年に郵便汽船三菱(現・日本郵船)が造船設備を工部省から譲り受けて創業。戦前は日本陸海軍向けの戦艦・航空機・戦車などを製造。戦後には発電機械・輸送用機器・原子力発電など事業領域を拡大、現代においても自衛隊向け防衛機器や宇宙用ロケットなども製造している。1970年には自動車部門を三菱自動車工業として分離。

POINT

1.三菱グループ御三家の一角である総合重工メーカー
2.売上高・利益は長年に渡って横這い、MRJ撤退で傷んだ財務の回復途上
3.大卒総合職なら平均年収800~900万円ほど、福利厚生は普通

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱重工業の売上高は4兆円規模で安定的、増加も減少もない横這いの推移となっている。営業利益は右肩下がりで減少しており、2015年の過去最高益3,095億円をピークに低迷*1。
*1:2015年頃の三菱重工業は米シェールガス革命でプラント向け設備の売上高・利益が急伸して好業績を謳歌していた。しかし、同年以降は発電設備・船舶など主力製品の売上が低調で推移した他、三菱スペースジェットの開発遅延により業績下降に転じた。

✔セグメント別の状況

三菱重工業はエナジー事業(火力・風力・原子力発電システム、航空機用エンジン、船舶機械)、プラント・インフラ事業(製鉄機械・商船・環境設備・機械システムなど)、物流・冷熱・ドライブシステム事業(物流機器・エンジン・ターボチャージャ・冷熱製品など)、航空・防衛・宇宙事業(民間航空機・防衛航空機、自衛隊向け艦艇・車両、ミサイル、ロケットなど)、の4事業を有する。
三菱自動車は多種多様な製品を取り扱う重工メーカーだが、コア事業はエナジー事業が扱う発電システム。逆に、三菱重工業の花形イメージが強い防衛機器やロケットなどの構成比は低く、売上高・利益の精々15%程度に過ぎない。

✔最終利益と利益率

三菱重工業の純利益は営業利益とは比例せず、直近ではやや増加して純利益1,305億円。年度により好不調が分かれており、2017年は純損失に転落した他、営業利益が過去最高を記録した2015年は638億円どまり*2。営業利益率は精々1桁%台で利益率は高くない。
*2:営業利益が過去最高を記録した2015年は造船部門におけるクルーズ船事業の失敗で特別損失を計上したことに起因。当時の三菱重工業は2011年に受注した大型クルーズ船の建造に失敗して多額の純損失を計上していた経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

三菱重工業の自己資本比率は緩やかな増加基調が続いているが、直近の2022年でも自己資本比率31.8%ほど。大手メーカーとしてはやや低めの水準。純資産は2019年に急減してから回復途上*3。
*3:三菱重工業は同年以降に国際会計基準IFRSへ移行。移行にあたり、開発が遅延難航していた三菱スペースジェットに関わる資産額であった約4,000億円分の資産価値がゼロとなり純資産が急減。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱重工業の平均年収は800万円台の水準で推移しており、増加は緩やかである。大卒総合職の平均年収は800~900万円ほどと推定。平均年齢は2018年以前は30代で若めであったが、同年以降は増加傾向。現在では大手メーカーの標準的水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱重工業の従業員数は概ね8万人レベルで推移しているが、近年はやや減少気味。平均勤続年数は2019年頃から増加して直近では18.5年に到達。大手メーカーの標準的水準である。

総合評価

企業格付け:A

川崎重工・IHIと並ぶ日系三大総合重工メーカーの一角、発電・造船・防衛機器・ロケットに至るまで広範な事業ポートフォリオを擁する大手メーカー。業績は成長性があまり見られず、売上高は4兆円レベルで長年に渡り停滞が続いている。営業利益は利益確保こそ堅実なものの年度により好不調が分かれるうえ、営業利益率は1桁%であまり高くない水準での低位推移が続く。2015年頃には大型クルーズ船の建造に失敗して多額の特別損失を計上、2018年頃には三菱リージョナルジェットの開発に失敗して撤退するに至る。国際会計基準IFRSへの移行によって三菱リージョナルジェットの損失計上が表面化していないが、純資産は約4,000億規模の激減となった。展開事業が広範に渡るものの、傑出した稼ぎ頭となる事業がないが故に、大所帯を高利益率で支えることが難しい状況が続く。

就職格付け:A

三菱グループ御三家の一角という立ち位置から血統が良好な名門企業。知名度が抜群に良い点も心強いが、近年は三菱リージョナルジェットの失敗と撤退で企業ブランドは低迷。給与水準は平均年収800万円台と大手メーカー並みの水準。総合職であれば平均年収は更に高くなり、課長職となれば年収1,000万円に到達する。福利厚生はそこそこ充実しており、賃貸物件家賃の半分を会社が補助する家賃補助制度がある(上限アリ)。独身寮・社宅も工場ごとに整備されている為、住居費をそこそこ浮かせられる点は大手メーカーならではの魅力。待遇は大手メーカーの中でも良い水準だが、入社難易度に見合った&世間のイメージする高待遇が得られるかと言われると難しいラインである。

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