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三菱UFJフィナンシャル・グループの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱UFJフィナンシャル・グループは、国内最大手の金融グループ。2005年に三菱東京フィナンシャルグループとUFJホールディングスの合併で誕生。三菱UFJ銀行・三菱UFJ信託銀行・三菱UFJ証券HD・三菱HCキャピタル・三菱UFJニコスを傘下に持ち、総資産190兆円を超える世界最大級の金融グループである。2011年には経営危機に陥った米モルガンスタンレーに出資、同社の筆頭株主の地位を占めるに至った。

POINT

・総資産190兆円規模の日系首位の金融グループ、海外支店網は邦銀随一
・三菱UFJ銀行単体の業績は振るわないが、グループ全体では純利益1兆円超
・総合職は30歳前後で年収1,000万円に到達するが、50代で転籍出向に

業績動向

✔経常収益と経常利益

三菱UFJフィナンシャル・グループの経常収益は概ね5~6兆円で推移してきたが、2022年には9.28兆円まで急増*1。経常利益は2015年の1.71兆円をピークにやや減少傾向が続く。
*1:2022年の経常収益の急増は、①景気好調による資金需要の急増、②主要各国の利上げによる金融収益の増加、③収益認識の基準の変更による会計変更、など。
*2:2016年に日本銀行による史上初のマイナス金利政策が導入され銀行業の利益を圧迫していた経緯がある。2024年にはマイナス金利も解除が決定され、金融環境は改善に向かいつつある。

✔セグメント別の状況

三菱UFJフィナンシャル・グループはデジタルサービス事業(非対面取引)、法人・リテール事業(個人・法人向け金融サービス)、コーポレートバンキング事業(大企業向け金融サービス)、グローバルコマーシャルバンキング事業(海外出資先商業銀行)、受託財産事業(資産運用・管理サービス)、グローバルCIB(非日系大企業向け金融サービス)、市場事業本部(為替・資金・證券サービス)の7事業を有する。
大手金融グループであるぶん事業内容が複雑多岐に渡っており、売上・利益いずれも特定事業に依存しないバランス型の収益構造となっている。

✔最終利益と利益率

三菱UFJフィナンシャル・グループの純利益は、0.7兆~1.1兆円ほどの水準で安定*3。2019年のみ0.53兆円まで低下したが、これはCOVID-19感染拡大による金融市場の混乱が主要因。自己資本利益率(ROE)は6%を超えて推移しており、銀行業の平均的水準であるROE3~4%を上回っている。
*3:三菱UFJフィナンシャル・グループが最終赤字に転落したのはリーマンショック直後の2008年に純損失2,569億円を計上した時が最後である。

✔自己資本比率と純資産

三菱UFJフィナンシャル・グループの自己資本比率は4.6%と低めだが、銀行業であれば健全な水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は17兆円を超える規模で横ばい。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱UFJフィナンシャル・グループの平均年収は直近で1,041万円だが、これは持株会社の3,117名のみの平均年収。事業会社の三菱UFJ銀行の平均年収は800万~950万円程度と推定される。総合職であれば30歳前後で役がつくと930万~1,050万円に到達し、課長職レベルで1,300万~1,500万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

三菱UFJフィナンシャル・グループの単体従業員数は3,117人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社・関連会社を含めた連結従業員数は12.7万人ほどの大所帯である*4。平均勤続年数は15年前後だが、これは持株会社の3,117名のみの平均勤続年数であるため参考にならない。
*4:長期的な人員削減を模索しており、連結従業員数は減少傾向。2019年には金融デジタル化を掲げて人員6,000人削減の目標を掲げ、2020年には人員8,000人削減に目標を上積み。実店舗の統廃合を進めており、全支店の過半数を窓口なしにする方針。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
日系屈指の巨大金融グループに恥じない業績。純利益は1兆円前後で概ね安定しており、COVID-19感染拡大で金融市場が混乱した2019年にも純利益0.57兆円をしっかり確保。経常収益・純利益いずれもメガバンク他2行を大きく突き放しており、事実上の一強である。規模感・利益体質いずれも申し分ない。

■財務体質
良好。自己資本比率は4.6%と一見すると低いが、銀行業であれば問題ない水準。メガバンク3行のなかでも自己資本比率は他と遜色ない。総資産190兆円規模という圧巻の資産規模に加えて、純資産は18.3兆円レベルと大きい。

■ビジネス動向
業績拡大に意欲的であり、2024年からの3年間を成長フェーズと位置付ける中期経営計画を策定。2026年度に自己資本利益率(ROE)を6%までの底上げする方針を掲げており、①リテール顧客基盤強化、②アジアプラットフォーム強靭化、②資産運用立国化への貢献、③GCIB・市場一体ビジネスモデル進化、などを掲げる。

■海外戦略
伝統的に海外進出に熱心。1980年代から米国で銀行事業を展開してきた歴史があり、2000年代後半のリーマンショックに端を発した金融低迷期には、米モルガンスタンレーを傘下に。現在では邦銀随一の海外ネットワークを手中に収めている。

就職格付け:BB

■給与水準
大卒総合職なら30歳前後で役がつくと年収1,000万円レベルに到達する、早ければ30代中盤から課長クラスへと昇格していき年収1,100万~1,200万円程に。支店長クラスまで昇格すれば年収1,800万~2,000万円程になるが、そこまで出世できるのは大卒総合職の同期の10%ほどである。

■福利厚生
良好。独身寮・家賃補助・社宅制度が整備されており、独身の若手社員は月2万円前後の自己負担で独身寮に入寮できる。総合職は全国転勤が主だが、昇進・待遇はやや悪化するものの、全国転勤なしの選択も可能。2025年から転居がある転勤をした社員には月額3万円の転勤手当てが最長5年まで支給される。

■キャリア
オープン採用・コース別採用の2職種制であり、入行時点でエリート採用が区別されている。オープン採用は特定職種に制約されない配属だが、事実上は支店配属の営業職からのスタートが殆どであり、地方支店を転々としながら適性を見極めていくことになる。オープン採用からもエリートコースへの分岐は可能だが、数年以上のロスがあるため不利。コース別採用はグローバル・トレードビジネス・マーケッツなどのエリートコースへと直行できる。いずれの職種も、50代前半で多くの総合職は本体を離れるため終身雇用が期待しにくい点に注意。

■50代以降の転籍
定年まで本体で勤続できる社員は一握り。役員クラスになれなかった総合職は50代前半で遅かれ早かれ取引先・関係会社へと転籍となる点に注意。転籍後は年収が大幅ダウンとなる他、今まで経験がない他社に中高年から配属されることになるため環境も大きく変わる。人生後半の待遇の悪さから就職格付けは低くなる。

■コース別採用
コース別採用のみ就職格付けはAAAランクとなる。日系トップの大手金融グループの花形部門での勤務が約束される魅力的なキャリアパスであるうえ、オープン採用のようなドサ周り営業・度重なる地方転勤に疲弊する必要がないためである。が、コース別採用であっても初任給は(一部の例外を除き)オープン採用と同額に留まり、証券会社のブレイン採用が初任給600万円オーバーを提示する中では魅力に欠ける部分もなくはない。