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電機メーカー

オリンパスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

オリンパスは、内視鏡・顕微鏡などの医療製品を製造販売する光学機器メーカー。1919年に顕微鏡を主力製品として創業、1936年にはカメラ用レンズの開発に成功して1949年にオリンパス光学に社名変更。戦後長らくカメラを主力製品とする光学機器メーカーであったが、2011年には粉飾決算で上場廃止の危機に陥った。事件以降は医療分野に経営資源を集中して再建、消化器内視鏡シェアでは世界シェア70%で断トツ首位。2020年にはカメラ事業を分社化して医療機器メーカーへの転向を図っている。

POINT

1.カメラから医療機器へ転向した光学機器メーカー、世界シェア首位級
2.売上高は横這いだが利益は急伸、営業利益率20%以上
3.平均年収900万円以上、社宅が充実しており無料ガン検診も

業績動向

✔売上高と営業利益

オリンパスの売上高は8,000億円レベルで安定的、直近の2022年は業績好調により8,819億円に到達。営業利益は年度により好不調が分かれるが、2022年には過去最高の営業利益1,866億円に到達*1。
*1:2022年は欧米でCOVID-19感染拡大防止の行動制限が緩和われたことで健康診断需要が回復。オリンパスの主力製品である内視鏡・医療機器の販売が伸長したことで業績好調に転換。

✔セグメント別の状況

オリンパスは内視鏡事業(消化器内視鏡・外科内視鏡・医療サービス)、治療機器事業(消化器科処置具・泌尿器科製品・呼吸器科製品・耳鼻咽喉科製品など)、科学事業(生物顕微鏡・工業用顕微鏡・非破壊検査装置・蛍光X線分析計など)、その他事業(生体材料・整形外科用器具など)、の4事業を有する。
オリンパスの主力事業は内視鏡事業であり、売上高・利益に占める割合はいずれも50%以上。オリンパスの代名詞であったカメラ事業は2020年に分社化、撤退済。2023年には第3位の事業である科学事業を米ベインキャピタルに売却、医療分野への選択と集中を加速させようとしている。

✔最終利益と利益率

オリンパスの純利益は年度により好不調が分かれるが、直近の2022年は過去最高となる純利益1,434億円を記録。2018年のみ急激に悪化したが一過性*2。営業利益率は2021年以降は20%近くで推移しており、大手メーカーとしては極めて高水準。
*2:2018年のオリンパスは一過性の特別損失として約400億円を計上。過去の粉飾決算に関わる訴訟和解金、中国での訴訟における引当金、中国での生産停止に関わる一時費用など。

✔自己資本比率と純資産

オリンパスの自己資本比率は30~40%の範囲で推移しており、直近では42.4%となっている。大手メーカーとしてはやや高めの水準*3。純資産は2020年から急増して純資産6,412億円に到達。
*3:2011年に粉飾決算が判明したオリンパスは自己資本比率4.6%という危機的水準にまで低下して経営危機に陥ったが、業績再建により現在の水準にまで立ち直った経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

オリンパスの平均年収は800万円台で推移しており、直近では業績好調により922万円に到達。平均年齢は40歳前後の水準で推移しており、大手メーカーの標準的水準。

✔従業員数と勤続年数

オリンパスの従業員数は概ね3万人レベルで推移しているが、近年はカメラ事業からの撤退によりやや減少気味。平均勤続年数は14年前後の水準で推移しており、大手メーカーの標準的水準

総合評価

企業格付け:A

かつてオリンパス事件と呼ばれる粉飾決算で社会を揺るがした大手メーカーだが、同事件以降は事業転換に成功して今では世界的な医療機器メーカーとして開花。消化器内視鏡シェアでは世界シェア70%と圧倒的地位を占め、業界の巨人。業績は売上高こそ横這いで推移しているが、これはカメラ事業などから撤退を進めている影響。利益は2018年から右肩上がりで推移しており、直近では営業利益率20%以上の高収益体質となっている。2023年には顕微鏡事業を約4,200億円で売却、医療機器メーカーとして更に成長するための軍資金を得ることに成功。

就職格付け:AA

かつてカメラで親しまれた有名企業であり、現在ではグローバルな医療機器メーカーとして著名。給与水準は平均年収800万円以上で安定的、直近では業績好調により平均年収900万円を超える待遇に。福利厚生も恵まれており、入社5年間は独身寮もしくは借上げ社宅(事業所まで片道1時間以内)に入居できる。特筆すべきは新婚社員向け社宅制度であり、結婚後5年間は2LDK+バルコニーの新婚者用社宅に5年間に渡って入居できる。医療機器メーカーらしく、毎年ガン検診を無料で受診でき、女性社員は乳がん・子宮がん検診までもが付帯している。世間体と企業イメージは2011年のオリンパス事件の記憶から良いとは言えないものの、既に10年以上が経過して記憶は薄れつつある。一定のリテラシーがある人間であれば、医療機器メーカーとして生まれ変わった現状を高く評価している筈。

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