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三菱自動車工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱自動車工業は、アジア・北米・欧州などでMitsubishiブランドの自動車を製造・販売する中堅自動車メーカー。戦前から三菱造船(現・三菱重工業)自動車事業部として自動車を製造、1970年に同社から分離独立。アジア地域に早期進出した歴史から、東南アジア地域では高いシェアを有する。現在は同業の仏ルノー・日産自動車とアライアンスを締結、世界第4位の販売台数を誇る巨大グループを形成。四輪駆動技術・軽自動車を得意とし、主力車種はSUV・ピックアップトラック・軽自動車。

POINT

1.年産100万台規模の中堅自動車メーカー、日産自動車が筆頭株主
2.売上高2兆円規模、2020年に業績悪化するも再建に成功
3.大卒総合職なら平均年収650~750万円、上級課長で年収1000万円に到達

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱自動車工業の売上高は年度ごとに好不調が分かれるが、概ね1~2兆円規模で推移。2020年に業績悪化*1したが、2022年には2兆円規模へ早々に回復。営業利益は好不調が極端に分かれるが、2022年には過去最高となる営業利益1905億円を記録。
*1:三菱自動車工業は新興国市場に売上高・利益を大きく依存するが、2020年度はCOVID-19感染拡大が新興国経済を直撃。新興国は経済・金融が先進国と比べて脆弱であるため販売台数が急落、更に為替レートが円高に振れたことで大赤字を計上。

✔セグメント別の状況

三菱自動車工業は日本事業、北米事業(アメリカ・メキシコなど)、欧州事業(オランダ・ロシアなど)、アジア事業(インドネシア・タイ・フィリピン・ベトナムなど)、オセアニア事業(オーストラリア・ニュージーランド)その他事業(アラブ首長国連邦など)の5事業を有する。
三菱自動車は販売台数の約90%を海外市場で販売しており、日本市場への依存度が低いことが特徴(売上高では日本事業の占める割合が高いが、これは輸出用車両を含んでいる)。利益面ではアジア・オセアニア地域の存在感が特に強く、新興国市場で稼ぐ事業構造となっている。

✔最終利益と利益率

三菱自動車工業の純利益は年度により好不調が極端に分かれる。2019年は純損失3,123億円を計上*2したが、2022年は過去最高益となる純利益1,684億円を記録。営業利益率は年度によりまちまち、好調時は5%以上の水準で推移。
*2:2020年はCOVID-19感染拡大による業績悪化を踏まえ、減損損失・構造改革費用を計上。これらの費用が営業損失953億円に加えて派生したことで、純損失3,123億円という巨額赤字を計上するに至った。

✔自己資本比率と純資産

三菱自動車工業の自己資本比率は40%前後の水準で推移してきたが2020年以降は30%台へ後退。自動車メーカーは販売金融による負債が計上されている事情があり、この程度の水準であれば特段の問題はない。純資産は5,000億~8,000億円規模で安定的に推移。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱自動車工業の平均年収は700万円程度の水準で推移してきたが、2020年の業績悪化以降は600万円台に後退。自動車メーカーは現業職を大量採用しているため大卒総合職の平均年収は650~750万円ほどと推定。平均年齢は40歳前後の水準で安定、社員の年齢構成は大手メーカーの標準的水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱自動車工業の従業員数は3万人ほどの水準で安定的に推移。平均勤続年数は15年前後の水準で推移しており、大手メーカーの標準的水準である。

総合評価

企業格付け:CCC

世界シェア1%前後・年産100万台規模の中堅自動車メーカー。2000年代の不祥事を経て国内市場では存在感が薄れたが、海外・新興国市場に注力したことで独特の地位を確立。売上高こそ全盛期の3兆円レベルに届かないものの、2022年には過去最高益を更新して業績は好調。新興国市場の新車需要・為替レートの変化に業績を振り回されやすく、2020年には大赤字を計上した2年後に過去最高益を更新するなど業績変動はダイナミック。筆頭株主の日産自動車は東南アジア地域を不得意とするため、同地域で高シェアを握る三菱自動車工業とは共存共栄の関係。歴史的に軽自動車を得意としており、日産自動車に軽自動車を供給する関係でもある。将来的にインドネシア・フィリピンなどが経済成長すれば、同社にも大きな追い風が期待できるだろう。

就職格付け:CC

自動車業界においては中堅の立ち位置ではあるが、売上高は2兆円規模を誇る大手メーカーである。給与水準は悪くなく、平均年収650~750万円のレンジで推移。自動車メーカーは現業職を正社員として大量採用する事情があるため見かけ上の平均年収は低くなりやすい。三菱自動車工業の大卒総合職の年収は650~750万円ほど、上級課長級で年収1000万円に到達する。大手自動車部品メーカーと比べると待遇面で劣る部分はあるが、自社ブランドの完成車を扱える精神的充足感は得難いものがある。海外売上高比率90%程度のグローバル企業であるため、海外経験を活かしたい場合には優良企業ともなりうる。過去のリコール問題などの不祥事で世間体は必ずしも良いとは言えないが、一定のリテラシーがある知識人であれば海外・新興国市場における存在感を理解しているため、割り切りも重要。

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