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日産自動車の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日産自動車は、世界180ヶ国以上でNissan・infinitiブランドの自動車を製造・販売する大手自動車メーカー。1914年に日本で初めて自動車用エンジンを国産化した快進社を源流とし、戦前の1934年に日産自動車に社名変更。戦後早期から自動車の海外輸出を始めたことで世界的な自動車メーカーに。現代においては同業の仏ルノー・三菱自動車工業とアライアンスを形成、世界第4位の販売台数を誇る巨大グループを形成。技術志向の高い自動車開発を得意とし、中~大型サイズのセダン・SUVに強み。

POINT

・世界シェア上位級の大手自動車メーカー、三菱自動車の筆頭株主
・2019年に業績悪化するも再建に成功、売上高・利益いずれもV字回復
・大卒総合職なら30歳で年収850~920万円ほど、課長職で1,200万円以上

業績動向

✔売上高と営業利益

日産自動車の売上高は10兆円規模で安定推移。2019年には業績悪化で落ち込んだが、再建に成功して2023年には過去最高となる12.7兆円に到達。営業利益も2019年に業績悪化したが、こちらも2023年には5,687億円に到達。
*1:日産自動車は2019年頃に主力車種の陳腐化により販売不振に陥り、業績が悪化。カルロス・ゴーンが新興国市場を重視したため、最重要の先進国市場の主力車種が軒並み陳腐化して販売不振に陥った。2020年以降は経営体制が刷新され、先進国市場に新鋭車種を連続投入して業績が再建された。

✔セグメント別の状況

日産自動車は日本事業、北米事業(アメリカ・カナダ・メキシコなど米州全域)、欧州事業(フランス・イギリス・スペインなど欧州全域)、アジア事業(中国・タイ・インドなどアジア全域)、その他事業(中近東・中南米・アフリカほか)の5事業を有する。
日産自動車は世界180カ国以上に進出するグローバル企業であるが、北米事業が売上高・利益に占める割合が高い。ただし、販売台数では北米が90万台/年に対して中国が130万台/年を占めており、中国市場も極めて重要(中国は現地合弁会社を比例連結する関係上、数値に重要性が現れにくい特殊性がある)。

✔最終利益と利益率

日産自動車の純利益は2017年の純利益7,469億円をピークに低迷*2したが、2021年以降は黒字化。営業利益率は2020年にはマイナス圏に沈んだが、同年以降は利益率の増加傾向が続いている。
*2:2019年に巨額の減損損失により純損失6,912億円を計上。カルロス・ゴーンが新興国市場・拡大路線に注力して過度な設備投資を行った負の遺産が元凶。2020年以降は負の遺産が整理され黒字化。

✔自己資本比率と純資産

日産自動車の自己資本比率は30%前後の水準で推移しており一見すると低いが、これは販売金融による負債が計上されている事情があり特段の問題はない。純資産は2020年に4兆円台にやや減少したが、2021年以降は右肩上がりで増加。2023年には6.47兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日産自動車の平均年収は800万円程度の水準で極めて安定的。業績悪化時にも下落が少なく、従業員の給与を守る傾向が強い。大卒総合職の給与水準は、30歳で年収850万~920万円、課長職レベルで1,200~1,300万円ほど*2。海外赴任した場合には給与水準は更に跳ね上がる。
*2:自動車メーカーは製造ラインを担う現業職を大量採用している事情があり、表面上の平均年収は低めになる傾向が強い。そのため、大卒総合職に限った平均年収は、開示されている平均年収を上回る。

✔従業員数と勤続年数

日産自動車の従業員数は13万人~15万人ほどの水準で安定的に推移。平均勤続年数は2017年頃までは20年を上回っており大手メーカー最上位級の定着の良さであったが、最近は採用強化の影響により直近では16.5年まで低下。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
2019年にはカルロス・ゴーンによる新興国市場・規模拡大を重視する経営戦略の失敗によって急激な業績悪化に見舞われたが、経営体制が刷新されて以降は業績回復が大きく進展。事業構造改革計画「Nissan NEXT」によって利益率を重視する方針へと舵を切った。2023年には売上高13兆円に達する見通しであり、過去最高を更新する見込み。

■財務体質
自己資本比率は30%前後の水準で推移しており一見するとそれほど高い水準ではない。が、これはローンやリースによって新車を販売するビジネスモデルゆえに貸借対照表の負債が広がりやすいことが主要因。実際には1兆円を超える手元資金をしっかりと確保しており、財務健全性には相当に保守的な性質であることが垣間見える。

■仏ルノー・三菱自動車との関係
1999年から筆頭株主の仏ルノーと包括的なアライアンス関係を結んできたが、2023年に資本関係の見直しを発表。同社が保有株式数を削減することで、対等関係へと移行。2016年には三菱自動車工業の発行済み株式数の約34%を取得することで筆頭株主になり、親密な関係。

就職格付け:AA

■給与水準
平均年収850万円と自動車業界2位の給与水準。大卒総合職に限れば平均年収は900万円を上回っており、30歳で年収850万~920万円に到達する。課長級で年収1,200万円は超え、部長級で年収1,800万円ほど。年功序列色が薄いために優秀であれば早々に抜擢されて30歳で年収1,000万円を超えるケースも。海外赴任した場合には給与水準は更に跳ね上がる。

■福利厚生
大手メーカーの例に漏れず、各拠点に独身寮・社宅が整備されており格安で生活できる。寮・社宅以外にも家賃補助制度も選択可能であり、他社員との共同生活を避けたい場合にも柔軟(独身寮に入寮しないと家賃補助がゼロという会社は珍しくない)。家賃補助制度では家賃の75%を補助として受給できる制度設計であり、極めて手厚い。主要拠点が関東地域に集結しており、大手メーカーにありながら僻地勤務リスクが少ないことも魅力。

■キャリア
部門別採用を早期から採用した企業であり、本人が望まない限りは入社した部門でキャリアを歩む。大手メーカーでありながら年功序列色は薄く、実力がある社員は30代前半で課長クラスに昇進して年収1,200万円台に到達する。「ハイポテンシャル制度」により、優秀人材は30代から経営人材としての鍛錬を積む。現社長は中途入社組であり、プロパー入社でなくても経営トップに就ける他、創業家が現存しないため血縁縁故による登用が一切ない。

■社会的名声
自動車という商材を扱う関係上、日本人ならば知らない者はいない企業の一社。日本を代表する自動車メーカーの一角として世界170ヵ国以上に進出。インターブランド車による世界ブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2023」では世界63位。

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