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化学メーカー

三菱ケミカルグループの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱ケミカルグループは、石油化学製品・フィルム・医薬品・炭素繊維など多種多様な機能性材料や先端・基礎材料を製造する大手化学メーカー。1934年に三菱鉱業と旭硝子(現・AGC)が設立した日本タール工業を源流とし、2005年に三菱化学・三菱ウェルファーマが合併。2007年には三菱樹脂を買収、2010年には三菱レイヨンを買収して傘下に加えた。日系化学メーカーで売上高首位を誇り、世界45ヶ国・関係会社625社で事業を展開する巨大企業。アクリル樹脂の主原料であるMMAにおいて世界シェア首位。

POINT

1.売上高で国内首位の大手化学メーカー、規模と事業領域の広さが強み
2.売上高と利益は横ばい推移で成長性は希薄、石油化学部門は分社化を予定
3.大卒総合職なら平均年収800万円ほど、福利厚生は制度改正で弱体化

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱ケミカルグループの売上高は3兆円規模で推移しており、過去8年間に渡って横ばいでの推移が続いている*1。営業利益は年度によるばらつきが大きいが、リーマンショックやCOVID-19感染拡大の時期も含めては営業黒字をキープしている。
*1:三菱ケミカルグループの主力事業の石化製品は日本の経済成長の鈍化で停滞。そのうえ近年は中国・アメリカの生産能力が拡大して供給過多に近い状況。ヘルスケアや機能性材料などで成長を目論むも、グループ全体の成長に繋がる程の果実は得られていない。

✔セグメント別の状況

三菱ケミカルグループは機能商品事業(ポリマー・添加剤・フィルム・炭素繊維・半導体/電池材料など)、ケミカルズ事業(MMAモノマー・石化基盤・炭素など)、産業ガス事業(産業ガス)、ヘルスケア事業(医薬品・ライフサイエンスなど)、その他事業、の5事業を有する。
三菱ケミカルグループは様々な機能性素材を製造しているが、特定事業に依存しないセグメント構造事業となっている。利益面では、ケミカルズ事業と産業ガス事業が稼ぎ頭となっている状況。

✔最終利益と利益率

三菱ケミカルグループの純利益は年度により好不調が分かれており、2017年の純利益3,557億円が過去最高記録。2020年には純損失に転落*2。営業利益率は1桁%台での低空飛行が常であり、大手化学メーカーの割に利益率は微妙。

✔自己資本比率と純資産

三菱ケミカルグループの自己資本比率は直近で26.2%と低めの水準、景気変動に敏感な業態であることを考慮するとやや不安。純資産も1兆円台で上下変動を繰り返しており、長期的な成長傾向は見られない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱ケミカルグループの平均年収は直近で949万円とかなり高めの水準だが、これは持株会社の223名のみの平均年収。大卒総合職の平均年収は750~850万円程度と推定され、管理職に昇格すれば1,000万円を越える。

✔従業員数と勤続年数

三菱ケミカルグループの従業員数は7万人前後の水準で安定しており、社員規模は一定をキープ。平均勤続年数は18.5年前後と大手メーカーとしては標準的な水準だが、これは持株会社の223名のみの平均勤続年数。

総合評価

企業格付け:A

化学業界において売上高首位の巨人。売上高3兆円規模は他化学メーカーを引き離しているものの、利益面では信越化学工業の後塵を拝する状況。規模の大きさは強みであれども、肝心の石油化学部門の利益率はそこまで高くない為、営業利益率1桁%台どまりで優位性は薄い。財務面も自己資本比率20%台に留まっており、信越化学工業の自己資本比率が80%台であることを思うと財務面でも見劣りしてしまう。長年に渡り化学業界を牽引してきたトップ企業ではあるものの、将来的な成長に向けたビジョンが不透明であり、猛追するライバル企業に追いつかれるリスクが大きくなりつつある状況。

就職格付け:A

大卒総合職であれば平均年収750~850万円前後、メーカーとしては上位級の待遇を得られる。かつては化学業界トップ級の就職先であることに異論はなかったが、昨今では信越化学工業をはじめとする他企業が待遇面で猛追しており相対優位は揺らぐ。2021年に人事制度を大改訂して家族手当・住宅手当を廃止。社員の平等性を考慮しての制度改正としても、実際には年齢や扶養家族の有無によって生活に必要な資金は異なるため、若手や扶養家族の多い社員は相対的に不利な環境に置かれる。将来性の芳しくない石化部門の将来的な分社化を目指している点にも注意。

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