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いすゞ自動車の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

いすゞ自動車は、トラック・バスなどの商用車およびディーゼルエンジンを製造販売する大手自動車メーカー。1929年に石川島重工業(現在・IHI)自動車事業部が分離して誕生。戦前からトラックなどの商用車を生産、戦後には乗用車分野にも進出してトヨタ自動車・日産自動車とシェアを争った。が、過度な拡大路線により経営危機に陥ったことで1990年代に乗用車分野から撤退。2000年代以降はトラック・バスを主力とする商用車メーカーとして復活を遂げ、海外向けのみ乗用車分野に再進出。

POINT

1.日野自動車と双璧を為す商用車メーカー、国内シェア首位を奪取
2.売上高・利益は急伸して過去最高を更新。財務体質はかなり優良
3.平均年収753万円と中堅乗用車メーカーを凌駕する待遇、家賃補助制度はない

業績動向

✔売上高と営業利益

いすゞ自動車の売上高は2兆円規模での推移が続いていたが、2021年から成長基調*1。2022年には売上高3.2兆円に急増して過去最高を更新。営業利益も2022年に急伸、過去最高となる2,535億円に到達。
*1:2020年はCOVID-19感染拡大を発端とする世界的なサプライチェーン混乱で新車生産台数が落ち込んだが、2021年は新興国向け出荷を拡大して影響を最小限に留めた。2022年は海外市場での値上げ対応が進み、国内外での販売台数が増加。為替レートの円安推移も追い風として売上高が急伸。

✔セグメント別の状況

いすゞ自動車は車両事業(トラック・バス・海外市場向け乗用車・ピックアップトラックなど)、海外生産用部品事業(現地生産を行っているグループ会社向け部品供給など)、エンジンコンポーネント事業(産業用エンジンなど)、その他事業、の4事業を有する。
いすゞ自動車の売上高の約70%はトラック・バスなどを生産する車両事業が稼得。海外生産用部品事業やエンジンコンポーネント事業などは副次的な事業に過ぎない立ち位置。地域別の売上高という観点では売上高の約65%を海外市場で稼いでいる。

✔最終利益と利益率

いすゞ自動車の純利益は年度により好不調が分かれるが、2008年以降は赤字転落せず純利益を堅実に確保。2022年には過去最高となる1,517億円に到達。営業利益率は7~9%程度で推移しており、自動車メーカーとしてはやや高めの利益率。

✔自己資本比率と純資産

いすゞ自動車の自己資本比率は40%前後の水準で推移しており、自動車メーカーとしてはかなりの高水準。自動車メーカーは販売金融による負債が計上されている事情があるため自己資本比率が低迷しやすい事情があるが、いすゞ自動車はそれでも自己資本比率40%を上回るため優良である。純資産は増加傾向が続いており、2022年には1.51兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

いすゞ自動車の平均年収は概ね750万円前後の水準で推移しており、自動車メーカーとしては中庸の水準。大卒総合職なら35歳前後で年収700~850万円ほどが目安であり、課長職に昇進すれば年収800~1100万円程度。

✔従業員数と勤続年数

いすゞ自動車の従業員数は緩やかな増加傾向が続いていたが、2021年には急増して4.41万人に到達*2。平均勤続年数は18年前後の水準で推移しており、トヨタ自動車や日産自動車を上回る水準にある。
*2:いすゞ自動車は2021年にトラックで国内シェア4位のUDトラックスを株式取得により完全子会社化。同社の従業員数が加わったことで従業員数が急増。

総合評価

企業格付け:B

商用車分野で日野自動車と双璧を為す自動車メーカー、長年に渡ってトラックの国内シェア首位は同業の日野自動車が占有してきたが、2021年にエンジン不正問題で日野自動車が販売台数を大きく落としたことで国内シェア首位に繰り上げ当選。業績・財務は1990年代の熾烈な経営危機の教訓から極めて堅実。営業利益率は7%前後と自動車メーカーとしては高めの水準にあり、自己資本比率も40%以上を維持し続けている。2021年にはトラック国内シェア4位のUDトラックスを完全子会社化、業界首位の奪取に向けた王手を打った状況。

就職格付け:B

商用車メーカーとして事実上の国内首位、海外向けにはSUVや乗用車なども手掛ける大手自動車メーカー。給与水準は平均年収750万円と自動車メーカーとしてはそこそこ高めの水準、SUBARUやマツダなどの中堅乗用車メーカーを凌駕する水準を確保している。福利厚生は凡庸であり家賃補助制度はなし。本社・主力工場は神奈川県に拠点が多いために家賃補助があれば尚よかっただけに悔やまれる。自動車メーカーの特権である新車購入割引も(商用車メーカーであるが故に)享受できないのも惜しい。日本国内では乗用車を販売していないため、自分が携わった製品を自分で所有する醍醐味を味わえない点も残念。

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