カテゴリー
金融サービス会社

三菱HCキャピタルの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱HCキャピタルは、ファイナンスリース・オペレーティングリース・割賦販売・不動産リースなど多種多様なファイナンスソリューションを提供する大手総合リース会社。2021年に三菱グループの三菱UFJリースと日立グループの日立キャピタルが経営統合して誕生。リース業界では業界首位のオリックスに続く、業界第2位の座を三井住友ファイナンス&リースと争う。旧三菱UFJリースは航空機・不動産・コンテナなどのアセットリースを得意とし、旧日立キャピタルは機械製品などの販売金融が得意。

POINT

1.三菱G・日立Gの大手総合リース会社、経営統合により業界2位級へ躍進
2.売上高・利益は経営統合で過去最高を更新。財務体質も良好
3.平均年収866万円と良好だが総合職は全国転勤が前提、共働きには逆風

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱HCキャピタルの売上高は2020年まで9,000億円前後で推移してきたが、2021年以降は1.9兆円規模まで急成長*1。営業利益も2021年から急伸、過去最高となる1,387億円に到達。
*1:2020年までは三菱UFJリース単独の売上高であったが、2021年以降は経営統合で日立キャピタルの売上高が加わったことが理由。合併前にあたる2019年の売上高は三菱UFJリース9,237億円に対して日立キャピタル4,640億円であった。

✔セグメント別の状況

三菱HCキャピタルはカスタマービジネス事業(法人向け金融サービス)、アカウントソリューション事業(企業・官公庁向け金融サービス)、ベンダーソリューション事業(販売金融)、ライフ事業(商業施設の開発・運営、損害保険など)、不動産事業(不動産証券化・不動産リース・アセットマネジメントなど)、再生可能エネルギー事業(再エネ発電、環境機器リースなど)、航空事業(航空機・エンジンリース)、ロジスティクス事業(海上コンテナ・鉄道貨車リースなど)、モビリティ事業(自動車リース)、その他事業(債権回収・決済・社会インフラ投資など)、の10事業を有する。
三菱HCキャピタルは旧三菱UFJリース・旧日立キャピタルの事業を承継したことから極めて広範な事業ポートフォリオを有する点が特徴。とはいえ、売上高・利益の約60%以上をカスタマービジネス事業とアカウントソリューション事業によって稼いでいる。

✔最終利益と利益率

三菱HCキャピタルの純利益は2020年までは500億~700億円ほどで推移していたが、経営統合後の2022年には純利益1,162億円に到達。営業利益率は7~9%程度で金融業としてはやや凡庸、業界首位のオリックスが10%以上で安定している点と比べても見劣る。

✔自己資本比率と純資産

三菱HCキャピタルの自己資本比率は13%前後の水準で推移しており低めの水準だが、リース会社としては健全な水準。リース会社は借入などで調達した資金でリース対象の資産を購入、収益を得るビジネスモデルゆえに自己資本比率が低くなりやすい*2。
*2:リース会社は巨額の負債を背負っている場合が常だが、リース対象の機械設備などを顧客に一定期間に渡って貸し出すため、安定的に資金回収できるビジネスモデル。顧客企業が大量倒産などしない限り、自己資本比率の低さは問題にならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱HCキャピタルの平均年収は緩やかな増加傾向にあり、直近の2022年には866万円に到達。大卒総合職なら35歳前後で年収750~850万円ほどが目安であり、課長職に昇進すれば年収1,000万円を超える。

✔従業員数と勤続年数

三菱HCキャピタルの従業員数は緩やかな増加傾向が続いていたが、2021年には経営統合により急増して8,803人に到達。平均勤続年数は15.5年前後、金融業としては比較的長めである。

総合評価

企業格付け:B

業界中位級であった三菱UFJリース・日立キャピタルの経営統合によりリース業界の上位3社に食い込んだ新興勢力。売上高では業界首位のオリックスの背中こそ遠いものの、業界2位の座を占めてきた三井住友ファイナンス&リースと互角級にまで躍進。幸運にも三菱UFJリースと日立キャピタルはそれぞれ得意分野が異なっており、経営統合後にも事業重複する事態には陥らず。2022年にはロシアによるウクライナ侵攻により、同業の三井住友ファイナンス&リースと東京センチュリーがロシア向け航空機リースで巨額の特別損失を計上したが、三菱HCキャピタルはロシア向け航空機リースがなかった為に被害を被らなかった。

就職格付け:B

リース業界大手の一角であり、三菱商事・三菱UFJフィナンシャルグループの持分法適用会社という立ち位置。給与水準は直近で平均年収866万円とメガバンクにこそやや劣るものの、大手地方銀行は凌駕する水準。平均勤続年数は10年以上で安定推移しており、金融業の割には従業員の定着が良い点は見どころ。ただし、メガバンク同様に3年サイクルでの全国転勤があるうえ、北は札幌・南は福岡まで支店があるため転勤エリアは広範。総合職の勤務地条件にも「本人の同意なく、転居を伴う隔地間転勤有り」と明記されており、安定して生活基盤を構えにくい点には覚悟が必要。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!