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【勝ち組?】富士電機の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

富士電機は、パワー半導体・インバータ・変電設備・鉄道車両用駆動システムなどを製造する大手重電メーカー。1921年に独シーメンスと古河電気工業の合弁会社として設立、1935年には電話部門を分社化(現・富士通)して現在に至る。パワー半導体技術・パワーエレクトロニクス技術をコア技術とし、発電設備・鉄道駆動システムなどの高電圧・大電流を扱う製品が得意。地熱発電設備・大容量整流器で世界シェア首位級、自動販売機で国内1位。古河機械金属古河電気工業富士通と共に、古河グループ中核4社を形成。

POINT

・古河グループ中核4社・日系重電8社に列せられる大手重電メーカー
・売上高・利益は成長が続く、財務も自己資本比率43%で良好
・平均年収775万円と普通だが、福利厚生は手厚く平均勤続年数20年以上

就職偏差値

66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

富士電機の売上高は緩やかな成長基調が継続しており、2023年には売上高1.1兆円に達して過去最高を更新。営業利益は2019年から増加傾向が続いており、直近では1,060億円に到達*1。
*1:主力のパワエレエネルギー事業・パワエレインダストリー事業・半導体事業がすべて好調。カーボンニュートラルやデジタル化の加速により、電気自動車・省エネ設備・デジタルインフラの需要高騰により、増収増益。為替レートの円安進行も恩恵。

✔セグメント別の状況

富士電機はパワエレエネルギー事業(変電設備・スマートメータ・電機盤・受配電機器など)、パワエレインダストリー事業(インバータ・センサ・FAシステム・放射線機器・鉄道車両駆動システムなど)、半導体事業(産業用・自動車用パワー半導体)、食品流通事業(飲料自販機・店舗設備など)、その他事業(金融サービス・不動産・保険代理店など)、の5事業を有する。
当社はコア技術であるパワー半導体・パワーエレクトロニクス技術を軸として幅広い事業ポートフォリオを構築しており、特定事業に依存しない事業構造となっている。近年は半導体事業のパワー半導体が電気自動車向けで好調、全社利益の約31%を占めるまで拡大している。

✔最終利益と利益率

富士電機の純利益は2019年から増加傾向にあり、2023年には純利益753億円を計上して過去最高を更新*2。営業利益率は増加傾向にあり、直近では9.61%に到達。電機メーカーとしては利益率が高めである。
*2:最近の富士電機は営業利益率15%以上を誇る半導体事業の成長が利益拡大を後押し。パワエレエネルギー事業も営業利益率10%前後にある。

✔自己資本比率と純資産

富士電機の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近では47.4%とかなり高い水準*3。純資産は右肩上がりの増加傾向が続いており、2023年には6,615億円に到達。
*3:富士電機はリーマンショック前後の2008年に純損失733億円を計上して自己資本比率14%まで低下した過去があり、それから15年近くをかけて財務体質が徐々に改善してきた経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

富士電機の平均年収は長年に渡って微増傾向が続いており、直近では775万円に到達。大卒総合職なら30歳前後で年収550~650万円程度。課長職に昇進すれば年収950万~1,100万円程度。社員の平均年齢は44.9歳とやや高めの水準。

✔従業員数と勤続年数

富士電機の単体従業員数は長年に渡って1万人強の水準で安定的。小会社・関係会社を含めた連結従業員数は2.71万人ほど。平均勤続年数は20.8年と大手メーカーでもトップクラスの勤続年数であり、ホワイト企業である。

総合評価

企業格付け:BB

■業界ポジション
日系大手重電8社の一角であり、売上高では三菱電機に続く第4位。パワーエレクトロニクス技術を得意としており、電気自動車やクリーン発電技術が求められる昨今において世界的ニーズの高い技術を擁する。名門・古河グループの中核企業4社の一角であり、古河三水会理事会社10社にも列せられる。現在の富士通をスピンオフした母体企業でもあり、現在でも同社の上位株主。

■業績動向
成長貴重。2022年には100年以上に渡る同社の歴史上で初めて売上高1兆円を大台を突破、利益も過去最高益を更新。電力の安定供給に長けた電源システムがデータセンター・半導体工場向けに販売好調である他、電気自動車向けのパワー半導体も好調。将来的な需要拡大が期待されるパワーエレクトロニクス分野に強いのも成長性の観点からは好印象。

■財務体質
良い。自己資本比率は直近で47.4%と高めであり、財務基盤は固い。2010年には業績不振で自己資本比率20%を下回る時期もあったが、最近は着実に利益を蓄えているために財務体質は良化している。

就職格付け:CCC

■給与水準
直近の平均年収は775万円。さすがに大手有名電機メーカーには劣るものの、電機メーカーとしては高めの水準である。大卒総合職なら30歳前後で年収550~650万円程度になり、課長職に昇進すれば年収950万~1,100万円程度。ただし年功序列色が強く、若手のうちは昇級ペースが緩慢。。

■福利厚生
大手メーカーなりの水準。20代のうちは家賃補助2万円ないし独身寮に格安で入居するかを選べるが、独身寮に入るほうが可処分所得は大きく伸ばせる。30代以降も社宅・家賃補助のサポートがあり、結婚して借りた新居は家賃の半額までを手当として支給(最大7.5万円)。有給休暇は入社1年目で22日を付与、2年目以降は24日を毎日付与。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。入社後は配属先事業部・職種において専門性を高めていくキャリアが主であり、部門を跨ぐローテーションはそれほど多くはない。事業部ごとに拠点が分かれており、パワエレインダストリー事業は神奈川・三重・東京、半導体事業は山梨・長野、食品流通事業は三重で人生の多くの時間を過ごすことになる可能性が高い。

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出典:富士電機株式会社(有価証券報告書)