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石油資源会社

ENEOSホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ENEOSホールディングスは、石油・天然ガス・石油化学製品・非鉄金属などの製造・販売を手掛ける日本最大手の石油元売企業。2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが合併して誕生。2017年には東燃ゼネラル石油を完全子会社化し、売上高10兆円を超える世界最大手の石油会社の一角となった。ENEOSブランドでガソリンスタンドを展開しており、国内シェア約45%で首位。傘下企業にはJX金属があり金属事業がエネルギーに次ぐ事業の柱、銅・レアメタル・貴金属などの非鉄金属領域でも存在感。

POINT

・国内で圧倒的首位の石油元売企業、ENEOS・JX金属を擁する
・売上高の上下変動が激しい、利益は年度によりまちまち
・大卒総合職は年収30歳で年収750~850万円ほど、住宅補助が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

ENEOSホールディングスの年度毎の好不調が激しく、売上高7兆~15兆円レベルで上下変動を繰り返している*1。営業利益は売上高とあまり連動せず、大幅な営業赤字を計上することもあれば大幅な営業黒字を計上することも。
*1:ENEOSホールディングスの売上高は原油価格によって大きく左右される。2021年・2022年は急激な売上高の増加となったが、これは世界的な原油価格の高騰が主要因。

✔セグメント別の状況

ENEOSホールディングスはエネルギー事業(石油精製・販売、基礎化学品、潤滑油、ガス、機能材など)、石油・天然ガス開発事業(石油・天然ガスの探鉱・開発・生産など)、金属事業(銅箔・精密加工品・非鉄金属・薄膜材料など)、その他事業(工事・陸上輸送・不動産賃貸など)の4事業を有する。
ENEOSホールディングスはエネルギー事業を担うENEOSと金属事業を担うJX金属の2社が中核会社となっている。とはいえ、売上高の約80%はエネルギー事業であり、実質的な主力は石油・ガス関連である。

✔最終利益と利益率

ENEOSホールディングスの純利益は営業利益と同じく上下変動が激しい*2。営業利益率も安定しておらず、マイナス圏から7.2%までまちまち。過去最高の売上高を記録した2022年も営業利益率は前年比で減少している。
*2:石油元売会社には石油備蓄法により70日間分の石油を備蓄する義務があり、原油価格の大幅変動が起こった場合には備蓄による在庫が損益に大きく影響を及ぼす。この点についてはENEOSが詳細を解説しているため参考にしたい(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

ENEOSホールディングスの自己資本比率は直近で29.7%とやや低め。差しあたっての問題はないが、売上高・利益いずれも安定しない事業構造であるため、もう少し欲しいところ。純資産は2017年に東燃ゼネラル石油の子会社化で3兆円以上に切りあがった。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ENEOSホールディングスの平均年収は直近で992万円と高水準だが、これは持株会社の873名のみの平均年収。事業会社の大卒総合職であれば、30歳で年収750~850万円程度、課長職レベルで1,100万~1,200万円ほど。平均年齢は45歳前後で横ばいだが、こちらも持株会社の873名のみの平均年齢。

✔従業員数と勤続年数

ENEOSホールディングスの単体従業員数は直近でも873人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社・関連会社を含めた連結従業員数は4.46万人ほどの大所帯である。平均勤続年数は19.3年とかなり長めの水準だが、これは持株会社の873名のみの平均年収。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
石油元売トップ企業。しかしながら、業界柄として年度ごとの好不調が大きく分かれる。グローバル市場での原油価格の動向に業績を左右されやすく、売上高・利益いずれも不安定。原油価格が低迷すると売上高7兆円規模に後退する一方、原油価格が高騰すると売上高15兆円にも到達するなど、かなり極端である。利益は必ずしも売上高とは連動せず、過去最高の売上高15兆円を記録した2022年は減益に沈んだ。

■財務体質
普通。自己資本比率は30%前後の水準で推移しており、大手企業としてはやや低めの水準。直近では純資産3.29兆円に対して有利子負債が3.56兆円と、有利子負債比率は100%を上回っている。過去の企業買収において有利子負債を拡大した経緯もあり、財務健全性を高めていく必要性があるだろう。

■事業構造
石油業界は景気動向や石油市況などに業績を左右されやすいため業績不安定、莫大な利益を上げる時もあれば甚大な損失を計上する時もある。ENEOSホールディングスは金属事業を第二の柱とすることで石油のみに依存しない事業ポートフォリオを志向。将来的には金属事業を担うJX金属の上場も目指す方針。

■ビジネス動向
最新の中期経営計画・長期ビジョンにおいては、①エネルギーの安定供給の維持、②カーボンニュートラルへの対応、を2大テーマとする。化石燃料分野は2030年頃を分岐点に縮小を図っていく方針であり、再生可能エネルギー・水素・バイオ燃料などの次世代エネルギーへの業態転換に向け、新規事業育成に注力。

就職格付け:AA

■給与水準
平均年収は直近で992万円と高水準だが、世間がイメージする程の圧倒的高給ではない。事業会社の大卒総合職の場合で30歳で年収750~850万円程度、課長職レベルで1,250万~1,400万円ほど。年功序列色が強いため20代のうちは昇進差も1年~2年ほどしかないため、本人の能力・努力に応じた給与水準になるまで時間はかかる。

■福利厚生
良好。独身寮・家賃補助・借上げ社宅制度が整備されており、配偶者有無・勤務地に応じて月額3万~9万円の範囲で補助される。家賃補助制度は35歳以降にも継続するため、住宅コストの負担が生涯軽減されるのは強味。製油所・支店が日本全国に散在しているため、総合職の場合には僻地勤務・転勤リスクへの覚悟が必要。

■キャリア
事業会社が採用活動を個別に展開しており、事務系・技術系の2職種制。事務系総合職はローテーションが多めであり、企画・営業・総務・法務などを横断的に経験するケースが主。よく言えば様々な経験が蓄積できるが、悪く言えば特定分野のプロフェッショナルにはなりにくい育成。技術系職種はやや部門間異動は減るものの、開発・製造・技術営業・ITをローテーションする可能性がある。

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