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自動車部品メーカー

【勝ち組?】住友電気工業の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

住友電気工業は、自動車電装部品・光ファイバ・通信機器・電子ワイヤ・送配電用電線などを手掛ける自動車部品・非鉄金属メーカー。1897年に住友本店が設立した住友伸銅場が源流であり、戦前から銅電線・電線ケーブルを製造。現代においては自動車用ワイヤーハーネス・光ファイバ・電線などが主力製品。自動車用ワイヤーハーネスでは世界シェア首位、光ファイバでは世界上位5社の一角。住友グループでは住友商事に続く売上高を誇り、同グループ中核企業の1社。連結従業員数28万人に及ぶ巨大企業。

POINT

・住友Gの自動車部品・非鉄金属メーカー、ワイヤーハーネス世界首位
・売上高・利益は成長傾向、財務体質もかなり健全な安定企業
・平均年収779万円で在阪上場企業の上位級、家賃補助も手厚い

就職偏差値

68(中堅上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

住友電気工業の売上高は2000年代から売上高1.5~2兆円レベルで推移してきたが、2021年から急増傾向。直近では売上高4.4兆円に達して過去最高を更新*1。営業利益は売上高ほど伸びてはいないが、2023年には営業利益2,266億円まで増加。
*1:売上高が増加している要因は。①世界的な原材料・エネルギー価格の高騰を受けた値上げ措置、②為替レートの円安推移による為替効果、③COVID-19感染終息による世界的な新車生産台数の拡大、が重なったことにある。

✔セグメント別の状況

住友電気工業は自動車関連事業(ワイヤーハーネス・防振ゴム・電装部品)、情報通信関連事業(光ファイバ・通信ケーブル・通信機器・ネットワーク機器)、エレクトロニクス関連事業(電子ワイヤ・フレキシブルプリント基板・フッ素樹脂製品)、環境エネルギー関連事業(送配電用電線・ケーブル・機器、電気・電力エンジニアリング)、産業素材関連事業(スチールコード・超硬工具・光学部品など)の5事業を有する。
住友電気工業の主力事業は売上高の約50%を占める自動車関連事業であり、とりわけ自動車用ワイヤーハーネスが売上高の多くを稼ぐ重要製品。とはいえ、利益面では主要5事業がバランスよく利益を確保、自動車関連事業に依存しすぎない事業運営に成功している。

✔最終利益と利益率

住友電気工業の純利益は2019年・2020年のみ不調であったが*2、2021年以降は増加傾向。直近では純利益1,497億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は3~5%レベルでの推移が続いており、規模で稼ぐ構造となっている。
*2:2019年は世界的な景気後退によりスマートフォン・自動車向けの販売が低迷して減益。2020年はCOVID-19感染拡大による世界的混乱で自動車向け販売が低迷した他、年後半には物流コスト・原材料価格の高騰による減益が直撃。

✔自己資本比率と純資産

住友電気工業の自己資本比率は50%前後の水準で安定的。直近の2023年には自己資本比率50.6%に微増しており、大手メーカーとしては高めの自己資本比率をキッチリ維持*3。純資産は緩やかな増加傾向が継続しており、直近では2.43兆円に到達。
*3:住友電気工業は純利益を安定的に確保し続けており、2007年以降で純損失に転落したことは一度もない。景気後退局面でも純利益を着実に確保し続けたことで健全な財務体質になっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友電気工業の平均年収は平均年収780~810万円前後の水準で安定的。総合職であれば30代後半で750~850万に到達、課長職レベルで950万~1,200万円に達する。年功序列重視であり真面目に勤続すれば主査クラスまでは確実に昇進できる。在阪上場企業では上位級の給与水準である。

✔従業員数と勤続年数

住友電気工業の単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は28.9万人となっており、実は日系企業では上位5社に入る巨大組織*4。平均勤続年数は16.9年と大手メーカーとしては標準的な水準。
*4:連結従業員の多さは日系企業中4位。NTTグループ(34万人)に次ぐ規模であり、取引先である本田技研工業(20万人)や日産自動車(13万人)を凌駕する。

総合評価

企業格付け:A

■業界ポジション
自動車用ワイヤーハーネスで世界首位を誇るリーディングカンパニー、同業には古河電気工業・フジクラなどがある。住友グループでは住友商事・NECと並んで新御三家と称される中核企業、現在では住友商事に続く売上高とグループ屈指の従業員数を誇る。

■業績動向
売上高・利益いずれも2021年から増加傾向。2023年には売上高4兆円を突破し、利益も伸びている。リーマンショックやCOVID-19などの極端な景気後退局面であってもキッチリと純利益を確保できる安定性は美点。利益率は普通の域をでないが、景気動向に業績を左右されやすい自動車・非鉄金属業界の企業としては称賛に値する。

■財務体質
良い。直近の自己資本比率は50%を上回っており、かなりの高水準。長年に渡る利益蓄積によって財務体質を健全化してきた歴史があり、利益剰余金は1.49兆円(2023年)にも達する。有利子負債はやや増加傾向にあるが、資産規模・自己資本比率を踏まえれば問題ない水準である。

■ワイヤーハーネスの将来性
ワイヤハーネスは自動車に搭載されるあらゆる電装品への電源供給・情報伝送を担う部品であり、自動車の血管や神経とも例えられる。電気自動車・ハイブリッド車は使用量がガソリン車以上に増加する重要部品であり、自動車業界の電動化シフトも当社にとっての追い風である。

就職格付け:BBB

■給与水準
直近の平均年収は779万円と、中堅自動車メーカーを凌駕する水準。総合職であれば30代後半で750~850万に到達、課長職レベルで950万~1,200万円に達する。30代中盤までは年功序列だが、優秀であれば30代後半には課長職レベルに登用されて年収1,000万円を超える。

■福利厚生
良い。大手メーカーらしく主力工場の周辺には独身寮・社宅が整備されており、月額1万円前後で居住できる。独身寮を出た後も家賃補助制度により月額家賃の最大50%が最大20年まで補助されるため、住宅コストの負担は軽減される。有給休暇の平均取得日数も18.5日/年と高めであり、休みが取得しやすい。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系総合職は営業・経理・生産管理・企画人事・総務などに配属され、技術系総合職は研究開発・設計・生産技術・ITなどに配属される。基本的には入社時の職種で経験を蓄積しつつ専門性を高めるキャリアが主であるが、適性に応じて技術系総合職が事務系職種に異動することはある。世界40ヵ国以上に事業展開するグローバル企業だけあって、入社4年目までに約40%が海外出張・駐在を経験する。

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出典:住友電気工業株式会社(有価証券報告書)