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情報通信会社

日本電信電話の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本電信電話(NTT)は、国内最大の電気通信企業グループであるNTTグループの持株会社。1985年にNTT法に基づき旧電電公社が民営化されたことで発足。民営化後も全国一律のサービス性を提供するために発行株式の30%以上を日本国政府(財務大臣)が保有する。連結子会社952社・関連会社141社を擁する国内最大級の巨大グループであり、主要な事業会社にはNTTドコモ・NTT東日本・NTT西日本・NTTデータ・NTTコミュニケーションズなどがある。

POINT

・国内最大の通信インフラ企業、日本国政府が筆頭株主の旧国策会社
・売上高・利益いずれも安定的、IOWN構想の実現を最重要課題とする
・平均年収971万円で福利厚生も良好だが、新卒採用は僅かな研究開発職のみ

業績動向

✔売上高と営業利益

日本電信電話の売上高は11兆~12兆円レベルで安定的であったが、2022年には初の13兆円台まで増加*1。営業利益は1兆円以上を安定的に確保しており、インフラ企業ゆえに景気後退局面にも安定的。
*1:2022年の売上高の増加は、海外事業を所轄するNTT Ltd.の業績好調による。世界的なIT投資ブームによる欧米市場での受注活況に加えて、為替レートの急激な円安推移によって増収効果が大きかった。

✔セグメント別の状況

日本電信電話は、総合ICT事業(県間通信・国際通信、モバイル通信、通信端末販売、システムインテグレーションなど)、地域通信事業(県内通信、自治体・中小企業向けデジタルサービスなど)、グローバルソリューション事業(システム・ソフトウェア開発、クラウド、データセンターなど)、その他事業(不動産事業・エネルギー事業など)の4事業を有する。
総合ICT事業が売上高・利益において最大比率を占めるが、これは同事業が現代社会に必要不可欠な県間通信・国際通信・モバイル通信を展開している点に起因。同事業は競合他社も限られた勢力しか存在せず、安定的に利益を稼ぎ出すコア事業となっている。

✔最終利益と利益率

日本電信電話の純利益は、緩やかな増加傾向が継続。2020年までは8,000億円前後であったが、2021年以降は純利益1兆円以上を確保。営業利益は長期的に10%以上を安定確保しており、企業規模を考えれば十分すぎるほどの高利益体質であろう。

✔自己資本比率と純資産

日本電信電話の自己資本比率は2020年にNTTドコモの非公開化により減少*2、直近で33.8%まで低下している。純資産も2020年に大幅減少しており、直近では純資産9.35兆円ほど。
*2:2020年にNTTドコモの完全子会社化のため総額4.3兆円を投じてTOBを実施。この巨額投資を遂行するために金融機関からの借り入れを進めたことで自己資本比率が低下した経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本電信電話の平均年収は緩やかな増加傾向にあり、直近では971万円に到達。ただし、あくまでも持株会社の従業員2,454人の平均年収であり、事業会社の従業員の給与レベルは別。大卒総合職であれば30歳で700万~780万円に到達。課長職レベルで1,200万~1,500万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

日本電信電話の単体従業員数は減少傾向にあり、直近では2,454人まで減少。NTTグループの子会社・関連会社を含めた連結従業員は32万人以上であり、日系企業トップクラスの大所帯である。平均勤続年数は直近で16.8年であり、社会的名声・待遇の割には大企業の標準的な水準に留まる。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
極めて安定的。現代社会に必要不可欠な通信インフラを掌握しているが故に、売上高・利益いずれも安定。景気後退局面にも売上高・利益の減少は最小限に留めており、たとえ不景気が到来しようとも業績不安とは無縁。鉄道業界がCOVID-19に大打撃を受け、電力業界が東日本大震災で大打撃を受けるなど、「世間が思うほど安定していない」インフラ分野において最も安定的である企業の1つ。

■財務体質
一時的に悪化。2020年にNTTドコモを完全子会社化するため総額4兆円以上を投じてTOBを遂行。必要資金を金融機関からの借り入れで賄ったこともあって自己資本比率が急低下した。が、そもそも利益が高位安定している企業であるため返済計画は立てやすく、それほど問題ではないだろう。

■ビジネス動向
2027年までの中期経営戦略「New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN」を策定。最重要分野として、次世代コミュニケーション基盤IOWN構想の実現を掲げる。既存のインフラ基盤では果しえない伝送能力・処理能力の限界を超越した、ネットワークインフラを実現することで日本国内のデジタル社会の進展を支える意思を示した。

就職格付け:AA

■給与水準
平均年収971万円とNTTグループ全社における最高位の給与水準を提供、情報通信会社としてはKDDIに次ぐ水準の好待遇である。年功序列色が強いために若手社員の昇給ペースは緩慢だが、勤続年数を重ねれば着実に好待遇を享受できるのが強み。大卒総合職であれば30歳で700万~780万円に到達。課長職レベルで1,200万~1,500万円に到達する。

■福利厚生
良好。旧電電公社時代からの独身寮・社宅制度が色濃く残っており、どの勤務地であっても居住コストは格安で済む。情報通信会社だけにリモート勤務にも意欲的であり、柔軟な働き方を提供。2021年には転勤・単身赴任を原則廃止する方針を表明、「大卒総合職なら転勤は当然」という社会的通念を転換する大方針を打ち出した。

■キャリア
持株会社たる当社の入社方法は2つのみ。すなわち、①新卒採用で研究開発職として入社するケース、②事業会社に入社後に転籍・出向により入社するケース、しかない。持株会社としての事務系職種は募集されておらず、事業会社で名を挙げた将来の幹部候補が移籍するケースに限られる。歴代社長は1代目・3代目を除けば東京大学・京都大学・一橋大学の出身者で占められ、主要事業会社の社長職を経験する必要もある。連結従業員数30万人のトップに立つまでの難易度は著しく高い。

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