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【勝ち組?】三菱重工業の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

三菱重工業は、発電システム・航空機・船舶・防衛用機器・ロケットなどを製造販売する総合重工メーカー。三菱UFJ銀行・三菱商事と並び三菱グループ御三家と称される。1884年に郵便汽船三菱(現・日本郵船)が造船設備を工部省から譲り受けて創業。戦前は日本陸海軍向けの戦艦・航空機・戦車などを製造。戦後には発電機械・輸送用機器・原子力発電など事業領域を拡大、現代においても自衛隊向け防衛機器や宇宙用ロケットなども製造している。1970年には自動車部門を三菱自動車工業として分離。

POINT

・三菱G御三家の一角である総合重工メーカー、売上高の防衛比率は約20%
・売上高・利益はやや好転、財務体質はMRJ失敗で毀損しており弱め
・平均年収913万円だが若手社員の昇給ペースは遅い、福利厚生は良い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:73(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

採用人数は年間300人前後だが、三菱グループにおけるトップ企業の一角だけあって採用倍率はやはり高い。総合職の出身大学は旧帝大・早慶がボリューム層であるが、技術系であれば門戸がやや広がる。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・東京工業大学・大阪大学・名古屋大学・神戸大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・東京理科大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱重工業の売上高は4兆円規模で安定的だが、2023年には売上高4.65兆円に増加。営業利益は右肩下がりで減少しており、2015年の過去最高益3,095億円をピークに低迷*1。
*1:2015年頃の三菱重工業は米シェールガス革命でプラント向け設備の売上高・利益が急伸して好業績を謳歌していた。しかし、同年以降は発電設備・船舶など主力製品の売上が低調で推移した他、三菱スペースジェットの開発遅延により業績下降に転じた。

✔セグメント別の状況

三菱重工業はエナジー事業(火力・風力・原子力発電システム、航空機用エンジン、船舶機械)、プラント・インフラ事業(製鉄機械・商船・環境設備・機械システムなど)、物流・冷熱・ドライブシステム事業(物流機器・エンジン・ターボチャージャ・冷熱製品など)、航空・防衛・宇宙事業(民間航空機・防衛航空機、自衛隊向け艦艇・車両、ミサイル、ロケットなど)、の4事業を有する。
三菱重工業は多種多様な製品を取り扱う重工メーカーだが、コア事業はエナジー事業が扱う発電システム。逆に、三菱重工業の花形イメージが強い防衛機器やロケットなどの構成比は低く、売上高・利益の精々20%程度に過ぎない。

✔最終利益と利益率

三菱重工業の純利益は2020年からやや増加傾向、直近では2,220億円に増加。年度により好不調が分かれており、2017年は純損失に転落した他、営業利益が過去最高を記録した2015年は638億円どまり*2。営業利益率は精々1桁%台で利益率は高くない。
*2:営業利益が過去最高を記録した2015年は造船部門におけるクルーズ船事業の失敗で特別損失を計上したことに起因。当時の三菱重工業は2011年に受注した大型クルーズ船の建造に失敗して多額の純損失を計上していた経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

三菱重工業の自己資本比率は緩やかな増加基調が続いているが、直近の2022年でも自己資本比率35.9%ほど。大手メーカーとしてはやや低めの水準。純資産は2019年に急減してから回復途上*3。
*3:三菱重工業は同年以降に国際会計基準IFRSへ移行。移行にあたり、開発が遅延難航していた三菱スペースジェットに関わる資産額であった約4,000億円分の資産価値がゼロとなり純資産が急減。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱重工業の平均年収は直近で918万円となっている。大卒総合職であれば30歳で750万〜850万円ほど。課長職となれば年収1,100万〜1,300万円になる。平均年齢は2018年以前は30代で若めであったが、同年以降は増加傾向。現在では大手メーカーの標準的水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱重工業の従業員数は概ね8万人レベルで推移しているが、近年はやや減少気味。平均勤続年数は2019年頃から増加して直近では18.5年に到達。大手メーカーの標準的水準である。

総合評価

企業格付け:A

■業界ポジション
川崎重工・IHIと並ぶ日系三大総合重工メーカーの一角、発電・造船・防衛機器・ロケットに至るまで広範な事業ポートフォリオを擁する。防衛産業においては日系首位の事業規模を誇り、戦闘機・戦車・ミサイルなど多種多様な兵器を生産している。

■業績動向
やや好転。業績は成長性があまり見られず、売上高は4兆円レベルで長年に渡って停滞が続いていたが、2023年には売上高4.9兆円にまで伸長。ガスタービンや原子力発電機器が好調な上、世界的な局地紛争増加を受けた政府予算増により防衛機器も販売増加。続々と再稼働した原子力発電所関連ビジネスも今後復調するとみられる。

■財務体質
まずまず。自己資本比率は直近でも35.9%とそれほど高くはない。2019年には三菱リージョナルジェットの失敗による大損失により自己資本比率24.4%まで低迷していたことを思えば回復基調にはある。昨今の利益増加を活かして、どこまで財務基盤を強化できるかが課題。

■ビジネス動向
2026年度までの中期経営計画を策定。事業環境が好転している防衛事業・エネルギー事業に集中投資して収益力を高める戦略を掲げる。防衛事業では次期型戦闘機開発・統合防空ミサイル防衛を重点領域とし、エネルギー事業では原子力発電所への積極投資を進める。いずれも国策に呼応した事業計画となっており、良くも悪くも国策に忠実。

■技術力の低下
2023年には社運を賭けて望んだMRJ(三菱リージョナルジェット)から撤退。6回以上に渡る納期遅延と度重なる設計変更の果てに、製品として納めることすらできなかった(参考リンク)。祖業にあたる造船業においても長崎造船所での客船建造に失敗、何度も火災を発生させたうえに巨額の特別損失を負った(参考リンク)。度重なるトラブルに技術力低下の問題が指摘されている。

就職格付け:AA

■給与水準
平均年収918万円と大手メーカーでも上位級の水準。総合職であれば平均年収は更に高くなり、30歳で750万〜850万円ほど。課長職となれば年収1,100万〜1,300万円に到達する。ただし年功序列色が強く、若手のうちは昇級ペースが緩慢。

■福利厚生
良い。福利厚生はそこそこ充実しており、家賃補助制度では月額家賃の半分が会社補助となる(上限アリ)。独身寮・社宅も工場ごとに整備されている為、住居費をそこそこ浮かせられる点は大手メーカーならではの魅力。有給休暇を最大60日まで積立することができ、長期勤続者ともなれば相当の有給休暇を溜め込むこともできる。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系総合職は配属先が運任せになるが、技術系総合職については内定前に配属先が決定するマッチング採用を導入している。入社後は配属先事業部・職種において専門性を高めていくキャリアが主であるが、事業部によっては入社後早々から子会社・関連会社への出向となる。

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出典:三菱重工業株式会社(有価証券報告書)