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【勝ち組?】三菱自動車工業の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

三菱自動車工業は、アジア・北米・欧州などでMitsubishiブランドの自動車を製造・販売する中堅自動車メーカー。戦前から三菱造船(現・三菱重工業)自動車事業部として自動車を製造、1970年に同社から分離独立。アジア地域に早期進出した歴史から、東南アジア地域では高いシェアを有する。現在は同業の仏ルノー・日産自動車とアライアンスを締結、世界第4位の販売台数を誇る巨大グループを形成。四輪駆動技術・軽自動車を得意とし、主力車種はSUV・ピックアップトラック・軽自動車。

POINT

・年産100万台規模の中堅自動車メーカー、日産自動車が筆頭株主
・2020年に業績悪化するも急回復、過去最高益を更新して絶好調
・大卒総合職なら平均年収650~750万円、上級課長で年収1,000万円に

就職偏差値

65(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

三菱自動車工業の売上高は2020年に急減少*1したが、2023年には2.78兆円まで回復。営業利益は2020年に赤字転落したが、2021年以降は回復。2023年には過去最高となる営業利益1,909億円を記録している。
*1:2020年はCOVID-19感染拡大が新興国経済を直撃。当社は新興国市場に売上高・利益を大きく依存しており、新興国における販売急落が打撃となった。COVID-19による経済不安で為替レートが円高に振れたことも痛手になった。

✔セグメント別の状況

三菱自動車工業は日本事業、北米事業(アメリカ・メキシコなど)、欧州事業(オランダ・ロシアなど)、アジア事業(インドネシア・タイ・フィリピン・ベトナムなど)、オセアニア事業(オーストラリア・ニュージーランド)、その他事業(アラブ首長国連邦・ブラジルなど)の5事業を有する。
当社は販売台数の約90%を海外市場で販売しており、日本市場への依存度が低い(売上高では日本事業の占める割合が高いが、これは輸出用車両を含んでいる)。利益面では北米・アジア・オセアニア地域の存在感が強く、海外市場に強いことに特徴がある。

✔最終利益と利益率

三菱自動車工業の純利益は、2016年・2020年は多額の純損失を計上して赤字転落*2したが、2022年は過去最高益となる純利益1,684億円を記録。営業利益率は安定しないが、好調時は5%以上の水準で推移。
*2:2016年は燃費不正問題による特別損失によって赤字転落(参考リンク)。2020年はCOVID-19感染拡大による減損損失・構造改革費用により赤字転落した経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

三菱自動車工業の自己資本比率は2020年まで低下傾向にあったが、同年以降は増加傾向に転換。直近では自己資本比率41.2%と良好な水準まで持ち直した。純資産も2020年から右肩上がりで増加しており、直近では1兆円以上に。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱自動車工業の平均年収は2020年の業績悪化で600万円台に後退したが、2023年には743万円まで回復。大卒総合職であれば、30歳で年収500万~600万円、課長職レベルで850万~950万円ほど。上級課長職になると年収1,000万円を超える。

✔従業員数と勤続年数

三菱自動車工業の単体従業員数は1万人ほどの水準で安定的に推移。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は2.84万人ほど。平均勤続年数は15年前後の水準で推移しており、大手メーカーの標準的水準である。

総合評価

企業格付け:CCC

■業界ポジション
世界シェア1%前後・年産100万台規模の中堅自動車メーカー。2000年代の不祥事を経て国内市場では存在感が薄れたが、海外・新興国市場に注力したことで独特の地位を確立。筆頭株主の日産自動車は東南アジア地域を不得意とするため、同地域で高シェアを握る当社とは共存共栄の関係。歴史的に軽自動車を得意としており、日産自動車に軽自動車を供給する。将来的にインドネシア・フィリピンなどが経済成長すれば、当社にも大きな追い風が期待できるだろう。。

■業績動向
急回復。2020年にはCOVID-19影響で地盤の新興国市場が総崩れとなり業績悪化したが、2021年以降は好転。2022年には過去最高となる純利益1,684億円まで急回復させ、周囲を驚かせる業績回復を示した。2022年以降には為替レートの円安推移により、ますます価格競争力を増しており、世界販売は堅調。足元の日本市場においてもデリカミニがヒットした他、トライトンを新たに導入するなど攻勢を強める。

■財務体質
良好。歴史的に業績不振に苦しむ時期が多かっただけに、財務体質の維持には相当に慎重派。直近の自己資本比率は41.2%まで増加しており、自動車メーカーとしてはやや高めの水準にまで到達。手元の現預金は6,700億円(2023年)にも達しており、実はキャッシュリッチ企業でもある。

就職格付け:CCC

■給与水準
直近の平均年収は743万円と中堅自動車メーカー上位級。大卒総合職であれば、30歳で年収500万~600万円、課長職レベルで850万~950万円ほどにはなる。業績悪化すると賞与が急減するため平均年収も落ち込むが、業績好調時にはしっかりと従業員にも還元する。物価上昇時には全従業員に10万円を配布、期間従業員・アルバイトにも7万円を配布するなど、従業員に優しい。

■福利厚生
良好。主力事業所の周辺には独身寮・社宅がしっかり整備されており、生活コストは格安。自動車メーカーゆえに独身寮・社宅には駐車場も完備しており、月額1,000円レベルで借りられる。自社製品たる新車にも割引が適用され、割安価格で新車購入もできる。残業代は1分単位で支給されるほか、リモートワークも週3回まで可能でありリモートワーク手当も支給される。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系職種は、商品企画・購買・営業・経理・経営企画・総務・人事に配属され、技術系職種は開発・設計・生産技術・生産管理・品質保証などを担当する。基本的には入社時の職種において経験を蓄積して専門性を高めるキャリアが主であるが、海外売上高比率が極めて高いだけに海外赴任のチャンスも多い。キャリアの一貫性を高めつつ海外経験を蓄積できれば、相当に転職価値の高い人材になれるだろう。

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出典:三菱自動車工業株式会社(有価証券報告書)