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【勝ち組?】凸版印刷の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

TOPPANホールディングスは、印刷・電子部品・包装材・ITソリューションなどを展開する総合印刷会社。1900年に大蔵省印刷局に在籍していた木村延吉と降矢銀次郎が創業。長年のライバルである大日本印刷と共に、戦前から海外の印刷技術を輸入して国内印刷業を牽引。1950年以降は印刷テクノロジーを核とした事業多角化を推進、現在では印刷業以外が売上高の半分以上。印刷会社としての売上高は世界1位、世界最大の印刷会社である。

POINT

・世界最大の総合印刷会社、印刷に依存しない事業多角化に成功
・売上高・利益いずれも微増傾向にあり、過去最高益も更新する好調ぶり
・平均年収706万円だが若手の昇給は遅め、独身寮はあるが家賃補助はない

就職偏差値

62(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

TOPPANホールディングスの売上高は1.5兆円前後で安定的だが、2021年以降は売上高が微増傾向*1。2023年には売上高1.68兆円に到達して過去最高を更新。営業利益は400億~700億円ほどで極めて安定しており、景気後退局面にも底堅い。
*1:2021年以降の売上高の増加は、①DX事業のデジタルマーケティング・セキュアの販売好調、②フォトマスク・FC-BGAなど半導体分野の販売拡大、③買収した米国・タイ・インドの包装材メーカーなどの傘下入り、などが主要因。印刷需要が縮小する中でも事業構造の転換に成功している

✔セグメント別の状況

TOPPANホールディングスは、情報コミュニケーション事業(証券・通帳・カード類・ビジネスフォーム・広告宣伝物&書籍等の印刷・BPO事業)、生活産業事業(軟包材・プラスチック成型品・フィルム・建装材)、エレクトロニクス事業(液晶フィルタ・TFT液晶・フォトマスク・半導体パッケージなど)の3事業を有する。
当社は事業多角化が進んだ企業であり、売上高の約53%を印刷・ICカードの情報コミュニケーション事業に頼りつつも残47%を他事業で支える構造。利益面においては生活産業事業とエレクトロニクス事業が占める割合が既に半分以上を占めている。

✔最終利益と利益率

TOPPANホールディングスの純利益は2019年ごろから600億~1,200億円レベルへと増加。2021年には純利益1,232億円に到達して過去最高を更新*2。営業利益率は緩やかな上昇が続いているが3~4%前後であり、凡庸な水準。
*2:2021年はエレクトロニクス事業における半導体関連の売上高・利益率が急改善、営業利益は前年比2.5倍に急増。更に政策保有株として保有していたリクルート株を売却したことで特別利益434億円も計上したことで、過去最高益を更新。

✔自己資本比率と純資産

TOPPANホールディングスの自己資本率は緩やかな増加傾向が継続しているが、直近では微減して58.2%ほど。かなり良好な自己資本比率にあるうえ、安定した利益体質を加味すれば倒産リスクとはおよそ無縁だろう。純資産も成長基調が継続しており、2020年には1.57兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

TOPPANホールディングスの平均年収は直近で706万円、世界最大の総合印刷会社ではあるが大手メーカーにやや劣る水準。大卒総合職は30歳で500万~590万円ほど、課長職レベルで950万~1,100万円ほど。平均年齢は緩やかな増加傾向にあり42.9歳に到達しているが、大企業としては普通の水準。

✔従業員数と勤続年数

TOPPANホールディングスの単体従業員数は緩やかな増加傾向にあり、直近では1.08万人ほど。平均勤続年数は微減傾向にあり、直近では13.7年に留まる。企業規模を考えると、やや短めの印象である。

総合評価

企業格付け:B

■業界ポジション
世界最大の総合印刷会社にして、印刷・電子部品・ITソリューションなど事業多角化が進んだ大手企業。衰退が進む印刷業に依存しない事業ポートフォリオ構築に成功した企業であり、液晶カラーフィルタでは世界シェア首位。最近では印刷会社でありながらITソリューションにも注力しており、顧客企業へデジタルトランスフォーメーションの積極提案を推進。

■業績動向
良好。脱印刷業への構造転換に成功したことで、印刷業界の衰退に反して業績拡大を果たしている。アメリカ・インド・タイの包装材メーカーを買収することで海外比率を上げつつ、将来性が期待される半導体分野での事業拡大も巧。もはや印刷会社という括りで評価しない方が良いのかもしれない。

■財務体質
良好。安定した利益体質を活かして財務体質をしっかりと強化してきた歴史があり、自己資本比率は直近でも60%弱の高水準を確保。手元の現預金は4,000億円を優に上回っており、資金面にも不安はまったくない。多少の業績悪化に見舞われたとしても、まず耐え凌げるだけの余裕がある。

就職格付け:CC

■給与水準
世界最大の総合印刷会社の割には平均年収706万円どまり。大卒総合職でも30歳で500万~590万円ほどであり、企業規模に対して高いとはいえない。が、2022年には人事制度改革を断行。ジョブ型の人事制度へ移行しつつ、課題であった若手社員の待遇改善にも動き始めた。課長職レベルとなれば年収1,000万円前後にはなるため、長く勤続すれば相応の待遇は与えられる。

■福利厚生
まずまず。30歳までの若手社員には独身寮が与えられ、住宅コストを抑えられる。2020年には最新鋭の若手社員向け独身寮を東京都北区に建設、自社商品のモデルルームとして位置付けた美麗な環境が整備された。ただし、30歳以降には家賃補助制度がないため、住宅コストの負担が必要となる。

■キャリア
採用職種は営業事務職・技術職・企画職に分けられている。営業事務職は営業・人事・総務などに配属され、技術職は研究開発・生産技術・ITなどが活躍フィールド。企画職はマーケティング戦略・企画などのクリエイティブ領域に特化したキャリアを歩めるため、広告業界との併願に向いている。国内拠点は北海道~熊本にまで分散しており、勤務する事業部に応じて生活環境が変わる点には注意しておきたい。

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出典:TOPPANホールディングス株式会社(有価証券報告書)