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【勝ち組?】いすゞ自動車の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

いすゞ自動車は、トラック・バスなどの商用車およびディーゼルエンジンを製造販売する大手自動車メーカー。1929年に石川島重工業(現在・IHI)自動車事業部が分離して誕生。戦前からトラックなどの商用車を生産、戦後には乗用車分野にも進出してトヨタ自動車・日産自動車とシェアを争った。が、過度な拡大路線により経営危機に陥ったことで1990年代に乗用車分野から撤退。2000年代以降はトラック・バスを主力とする商用車メーカーとして復活を遂げ、海外向けのみ乗用車分野に再進出。

POINT

・商用車メーカーとして国内首位、業界4位のUDトラックスを傘下に
・売上高・利益は急伸して過去最高を更新。財務体質はかなり優良
・平均年収777万円と中堅乗用車メーカーを凌駕、家賃補助制度はない

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中堅上位級

総合職の採用数は年間100人~150人規模とそれなりに採用数は多い。技術系採用は大学名よりも専門性を重視しており学歴フィルターはないが、事務系採用は一定レベル以上の大学からの採用が主力となっている。
採用大学:【国公立】東北大学・横浜国立大学・群馬大学・新潟大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・同志社大学・東京都市大学・工学院大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

いすゞ自動車の売上高は2兆円規模での推移が続いていたが、2021年から成長基調*1。2022年には売上高3.2兆円に急増して過去最高を更新。営業利益も2021年から増加傾向にあり、2023年には過去最高となる2,930億円に到達。
*1:2020年はCOVID-19感染拡大を発端とする世界的なサプライチェーン混乱で新車生産台数が落ち込んだが、2021年は新興国向け出荷を拡大して影響を最小限に留めた。2022年は海外市場での値上げ対応が進み、国内外での販売台数が増加。為替レートの円安推移も追い風として売上高が急伸。

✔セグメント別の状況

いすゞ自動車は車両事業(トラック・バス・海外市場向け乗用車・ピックアップトラックなど)、海外生産用部品事業(現地生産を行っているグループ会社向け部品供給など)、エンジンコンポーネント事業(産業用エンジンなど)、その他事業、の4事業を有する。
いすゞ自動車の売上高の約70%はトラック・バスなどを生産する車両事業が稼得。海外生産用部品事業やエンジンコンポーネント事業などは副次的な事業に過ぎない立ち位置。地域別の売上高という観点では売上高の約65%を海外市場で稼いでいる。

✔最終利益と利益率

いすゞ自動車の純利益は年度により好不調が分かれるが、2008年以降は赤字転落せず純利益を堅実に確保。2023年には過去最高となる1,764億円に到達。営業利益率は7~8%程度で推移しており、自動車メーカーとしてはやや高めの利益率。

✔自己資本比率と純資産

いすゞ自動車の自己資本比率は45%前後の水準で推移しており、自動車メーカーとしてはかなりの高水準。自動車メーカーは販売金融による負債が計上されている事情があるため自己資本比率が低迷しやすい事情があるが、いすゞ自動車はそれでも自己資本比率40%を上回るため優良である。純資産は増加傾向が続いており、2023年には1.66兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

いすゞ自動車の平均年収は概ね750万〜770万円前後の水準で推移しており、自動車メーカーとしては中庸の水準。大卒総合職なら35歳前後で年収600万~680万円ほどが目安であり、課長職に昇進すれば年収900万~1,100万円程度。

✔従業員数と勤続年数

いすゞ自動車の単体従業員数は8,000人ほどで横ばい。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は2022年に4.41万人を突破*2。平均勤続年数は18年前後の水準で推移しており、トヨタ自動車や日産自動車を上回る。
*2:いすゞ自動車は2021年にトラックで国内シェア4位のUDトラックスを株式取得により完全子会社化。同社の従業員数が加わったことで従業員数が急増。

総合評価

企業格付け:B

■業界ポジション
商用車分野で日野自動車と双璧を為す自動車メーカー。長年に渡ってトラックの国内シェア2位であったが、2021年に日野自動車がエンジン不正問題で販売台数を大きく落としたことで国内シェア首位に繰り上げ当選。 2023年には売上高で2倍以上の差をつけており、大差をつけて引き離す状態に。

■業績動向
好調。2020年にはCOVID-19影響でやや売上高・利益を落としたが、同年以降は急回復。売上高・利益いずれも過去最高圏にまで浮上しており、業績は好調そのもの。原材料高や人件費高騰も値上げ対応による価格転嫁を進めており、利益をしっかりと確保している。2021年に買収したUDトラックスとのシナジー創出も進んでおり、物流拠点や販売金融の一本化による利益拡大が進捗。

■財務体質
良い。1990年代の熾烈な経営危機の教訓から極めて堅実な財務規律を維持しており、自己資本比率は45%前後の水準を維持。手元の現預金は4,000億円(2023年)を突破しており、流動性の確保にも余念がない。

就職格付け:B

■給与水準
直近の平均年収は777万円と中堅自動車メーカーを上回る水準。大卒総合職なら35歳前後で年収600万~680万円ほどが目安であり、課長職に昇進すれば年収900万~1,100万円程度。年功序列色が強いため、非管理職のうちは社歴を重ねることが給与の伸びに直結。最近は業績も安定しているため賞与支給も良好。

■福利厚生
まずまず。自動車メーカーの例に漏れず、独身寮は整備されており、30歳になるまでは格安で生活できる。既婚者には社宅が用意されており最大15年まで入居可能(最近は一部抽選制に移行)。ただし家賃補助制度がないため、自由な場所に住みたい場合には全額自己負担が原則となる。2022年に本社を横浜駅至近の新鋭オフィスビルへと移転、極めて美麗なオフィス環境が整備された。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系総合職は営業・生産管理・経理・調達・法務・総務などに配属され、技術系総合職は研究開発・生産技術・品質保証・ITなどに配属される。総合職であっても定期的ローテーションなどは義務付けられておらず、会社側のニーズと本人の適性に応じた人員配置が基本。一般職・上級職・管理職の順に昇格していくが上級職以降は昇格スピードに個人差が出る。

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出典:いすゞ自動車株式会社(有価証券報告書)