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日野自動車の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日野自動車は、トラック・バスなどの商用車およびディーゼルエンジンなどを製造販売する大手自動車メーカー。1942年にヂーゼル自動車工業(現・いすゞ自動車)日野製造所が分離独立、戦後にトラック・バスなどの商用車分野に進出した。現在では小型・中型・大型トラックの他、トヨタ自動車から乗用車・トラック・ディーゼルエンジンを受託生産。2022年にエンジン不正問題が発覚。長年に渡って大型トラックで国内シェア首位を誇ったが、同年にはいすゞ自動車に国内シェア首位を奪われた。

POINT

1.いすゞ自動車と双璧を為す日系商用車メーカーの雄
2.エンジン不正問題で業績・財務が急減速、巨額の特別損失を計上
3.平均年収638万円と企業規模の割にやや物足りない、福利厚生も普通

業績動向

✔売上高と営業利益

日野自動車の売上高は2018年の1.98兆円をピークに減少、2020年以降は売上高1.5兆円規模で低空飛行が続く*1。営業利益は右肩下がり、2014年に記録した営業利益1,121億円から大幅減少。
*1:2020年はCOVID-19による世界的な混乱により販売台数がグローバルで急減。2021年は北米のエンジン認証試験をクリアできず販売台数が79.5%減少する事態に追い込まれ(参考リンク)、2022年には日本でエンジン不正問題が発覚して主力車種が販売停止に陥るなどのトラブルが頻発。

✔セグメント別の状況

日野自動車は日本事業(日本国内における商用車販売、トヨタ自動車からの受託生産、ディーゼルエンジンなど)、アジア事業(タイ・インドネシアなど)、その他事業(アメリカ・オーストラリアなど)、の3事業を有する。
日野自動車は販売台数の約10%を日本国内向け、販売台数の約90%が海外市場向けのグローバルな自動車メーカー。ただし、セグメント別に見ると日本事業の売上高が約60%を占める。これは日本向けトラックが比較的高額であることや、トヨタ自動車からの受託生産などが含まれることに起因。

✔最終利益と利益率

日野自動車の純利益は好調時には500億円を越えるが、直近の2022年には純損失1,177億円を計上*2。営業利益率は右肩下がりで低迷、ここ数年は損益ギリギリの水準で低空飛行。
*2:2021年・2022年の決算には日本国内でのエンジン不正問題に関する特別損失を計上、大幅赤字の要因となっている。2021年は特別損失400億円、2022年は特別損失900億円と巨額損失に苦しむ。

✔自己資本比率と純資産

日野自動車の自己資本比率は2020年の45%をピークに急減少、直近では自己資本比率27%とやや低めの水準に下落。純資産も2020年から減少傾向が続いており、2022年には4,334億円まで下落。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日野自動車の平均年収は650万円前後の水準で極めて安定的に推移しており、業績悪化の局面でも底堅く推移している。大卒総合職の場合は30歳で年収500~700万円程度、課長職に昇進すれば年収900~950万円程度。社員の平均年齢は39.4歳と大手メーカーとしてはやや若め。

✔従業員数と勤続年数

日野自動車の従業員数は2019年までは微増傾向が続いていたが、2020年以降は3.5万人レベルで安定推移。平均勤続年数は17.2年と大手メーカーとしては標準的な勤続年数だが、2019年以降に増加ペースが加速していることから勤続年数が短い若手社員の離職による増加が発生している可能性がある。

総合評価

企業格付け:C

いすゞ自動車と双璧を為す日系商用車メーカーの雄、であったが2019年以降は続々と経営課題に直面して業績悪化が著しい状況。2020年にはアメリカでエンジン認証を取得できず、半年以上に渡って現地工場が車両生産を停止する悲惨な事態に陥り、2022年には日本国内でのエンジン不正問題により主力車種が軒並み販売停止に陥った。業績は特別損失の連続計上で大幅純損失が続き、財務も自己資本比率30%を切る水準へ低落。不正問題が波及していないアジア地域での販売好調と為替レートの円安推移が幸いしてギリギリ営業黒字は保つが、当面は業績の低調な推移が続きそう。今回の不正問題により、いすゞ自動車・三菱ふそう・UDトラックスなどのライバル企業へと切り替えた輸送業者も少なくないと想定され、ブランド価値の立て直しには相当の時間が必要か。

就職格付け:DD

トラック・バスなどの商用車分野に特化した自動車メーカーであり、トヨタ自動車の連結子会社としてトヨタグループの商用車部門を担う企業。給与水準は平均年収650万円レベルと大手メーカーとしては高くもないレベル。今回の不正問題による業績悪化のみならず、独特の企業文化も発覚。開発スケジュールが遅れると、担当社員は大勢が参加する会議でミスを責め立てられた。大勢の前で見せしめにされることから「お立ち台に上がる」との隠語が存在。自分の担当以外の内容には口を挟まず、逆に他部にも協力を求めない縦割り意識も不正の源泉に。福利厚生は家賃補助として1.5万円ほどが支給、条件に合致する方は会社周辺の独身寮に入ることは可能。

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