本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
東邦ガス(正式表記:東邦瓦斯)は、愛知県・岐阜県・三重県において都市ガス・プロパンガスを供給するガス会社。1922年に名古屋瓦斯・岡崎瓦斯・豊橋瓦斯の経営統合によって設立。1927年には西部瓦斯を合併して九州地域へと進出したが、1930年代には撤退。1950年代には高度経済成長期の都市ガス需要拡大を追い風に事業規模を拡大し、LPガス事業にも進出した。1970年代には知多LNG共同基地を稼働させ、インドネシアからのLNG輸入を開始した。1993年には天然ガス転換を完了させ、中京圏における都市ガスの天然ガス化を達成。2003年に岐阜ガス・合同ガス・岡崎ガスと合併し、中部地方を代表するガス会社となった。現在ではガス業界において東京ガス・大阪ガスに続く業界3位の地位を有する。東海地方における電力・ガスの販売において中部電力と真っ向勝負の関係。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:64(中堅上位)
中部地方における名門企業の1社であり、中部地方においては高い知名度と社会的信用を誇る。給与水準では業界上位2社に及ばないが、名古屋圏においては高水準の待遇を得られる。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用人数は年間40人~60人ほど、中部地方の有力インフラ企業だけあって倍率は高い。総合職の出身大学は中部地方の著名大学が多いが、関東・関西の名門大学からのUターン就職も多い。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・名古屋大学・神戸大学・筑波大学・金沢大学・三重大学・富山大学・名古屋市立大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・法政大学・関西学院大学・南山大学・名城大学・中京大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
東邦ガスの売上高は2022年まで4,200億~5,150億円のレンジで推移していたが、2023年には過去最高となる7,060億円に急増*1。営業利益は2022年まで130億~240億円ほどで推移していたが、2023年に437億円まで急伸。同年以降は営業利益300億円以上で推移している。
*1:2023年は世界的な資源価格の高騰により都市ガス販売単価が上昇。原料調達費を販売価格に反映させる原料費調整制度により、資源価格の高騰分が価格転嫁されたことで売上高が急増。
✔セグメント別の状況
東邦ガスは、ガス事業(都市ガスの製造供給、ガス器具販売・配管工事など)、LPG・その他エネルギー事業(プロパンガス、コークス・石油製品など)、電気事業(電力小売全面自由化に基づく電気販売など)、その他事業(LNG受託加工、液化窒素、不動産賃貸、プラントエンジニアリング、情報通信サービス・住宅機器販売など)、の4事業を有する。
当社の事業構造は、中京圏における都市ガス供給を中核として、LPガス・電力・海外エネルギー事業などを展開することで成立している。最大の収益基盤は愛知県・岐阜県・三重県に約300万件の顧客基盤を持つ都市ガス事業であり、導管網という巨大インフラを長年かけて構築してきたことが最大の参入障壁となっている。また、ガス自由化以降は電力販売にも本格参入し、都市ガスと電力をセットで提供することで顧客囲い込みを進めている。最近では北米・東南アジア・豪州など海外エネルギー事業への投資も拡大しており、国内需要減少への備えも進めている。一方で、人口減少や省エネ機器の普及によって国内ガス需要の大幅な成長は期待しにくく、中部電力をはじめとする電力会社との競争も激化している。2016年の電力小売全面自由化で参入した電気事業も売上高の約14%を占めるまでに成長しているが、年度によっては電気事業が赤字転落することもあり安定性には欠ける。
✔最終利益と利益率
東邦ガスの純利益は2023年に337億円まで急伸したが、同年以降は微減傾向がみられる。景気後退局面にも黒字を着実に確保しており、利益体質の安定性は高い。営業利益率は3%〜6%ほどで推移しており、東京ガス・大阪ガスと比較すると利益水準はやや劣る。
✔自己資本比率と純資産
東邦ガスの自己資本比率は55%〜62%のレンジで安定推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。安定的な利益体質を加味すれば、財務基盤は大いに健全と評価できる。純資産は2021年から緩やかな増加傾向が続いており、2024年には4,568億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
東邦ガスの平均年収は2024年まで560万〜600万円での横ばいが続いていたが、2025年には676万円に上振れしている*2。総合職の場合、30歳で年収600万〜680万円ほど、課長職レベルで年収950万〜1,050万円が目安となる。平均年齢は41.4歳(2025年)と大手企業の標準的な水準を僅かに下回る。
*2:当社は2022年から現業部門の社員をグループ会社へ順次移管しており、現在の単体従業員は総合職が中心となっている。2023年以前の平均年収と比べると上昇が続いているが、これは給与水準の低い現業職が平均年収の集計対象から外れ、給与水準の高い総合職の割合が増えたことによる影響が大きい。
✔従業員数と勤続年数
東邦ガスの従業員数は2023年から急減*3しており、2025年は934人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6,000人ほど。平均勤続年数は緩やかな減少傾向が続いており、2025年には15.2年まで下落している。
*3:2022年に導管インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、ガス導管部門を東邦ガスネットワークとして分社化したことで単体従業員数が減少した経緯がある(参考リンク)。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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