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東邦ガスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

東邦ガス(正式表記:東邦瓦斯)は、愛知県・岐阜県・三重県において都市ガス・プロパンガスを供給するガス会社。ガス業界では東京ガス大阪ガスに続く第3位。1922年に東邦電力のガス事業部が分社化されて設立、2003年に岐阜ガス・合同ガス・岡崎ガスと合併して東海三県全域をカバーするガス会社へと成長。戦時中に岡山県・倉敷市に進出、現在も岡山県倉敷市には完全子会社の水島ガス経由でガスを供給。東海地方では電力・ガスの販売において中部電力と真っ向勝負の関係。

POINT

1.東海三県のガス供給を担う都市ガス会社、電力事業にも参入
2.売上高・利益は安定的、財務体質も優良
3.平均年収569万円とイメージに反してかなり低め、福利厚生も微妙

業績動向

✔売上高と営業利益

東邦ガスの売上高は4,000億~5,000億円のレンジで安定推移してきたが、2022年には売上高7,061億円に急増して過去最高を更新*1。営業利益も2022年は増加したが、2015年に記録した607億円は更新できず*2。
*1:2022年は世界的な資源価格の高騰により都市ガス販売単価が上昇。原料調達費を販売価格に反映させる原料費調整制度により、資源価格の高騰分が価格転嫁されたことで売上高が急増。
*2:2022年の営業利益が伸び悩んだのは、上述の原料費調整制度の時期ずれが要因。同制度は平均原料価格を3ヶ月後の検針分に反映するため、顧客への価格転嫁が3ヵ月の時期ずれを起こす事情がある。

✔セグメント別の状況

東邦ガスはガス事業(都市ガスの製造供給、ガス器具販売・配管工事など)、LPG・その他エネルギー事業(プロパンガス、コークス・石油製品など)、電気事業(電力小売全面自由化に基づく電気販売など)、その他事業(LNG受託加工、液化窒素、不動産賃貸、プラントエンジニアリング、情報通信サービス・住宅機器販売など)、の4事業を有する。
東邦ガスは売上高の約80%をガス関連で稼ぐが、2016年に電力小売全面自由化で参入した電気事業も売上高の約13%を支える規模感に成長している。利益面でも電力事業が貢献を果たしているものの、年度によっては電気事業が赤字転落することも。

✔最終利益と利益率

東邦ガスの純利益は資源価格の上下変動に影響されやすく、年度により好不調が分かれる。直近の2022年は純利益337億円を確保。営業利益率は平常時で3~5%程度、東京ガス・大阪ガスと比較すると利益水準はやや劣る。

✔自己資本比率と純資産

東邦ガスの自己資本比率は概ね50%以上の水準で安定推移しており、直近の2022年は自己資本比率58%となっている。純資産は着実な純利益の確保が奏功して増加傾向が続いており、2022年には4,025億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東邦ガスの平均年収は微減傾向が継続しており、直近の2022年の平均年収は569万円。平均年齢が42.3歳とやや高めであることを考えると、給与水準はそこまで高くはない。大卒総合職なら30歳前後で年収600~650万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

東邦ガスの従業員数は6,000人規模で安定的に推移。平均勤続年数は減少傾向が続いており、直近では17.0年まで下落。平均年齢・従業員数は横ばいが続いているため、新規採用の強化などに起因する勤続年数減少ではないと推定。

総合評価

企業格付け:BB

東海地方への都市ガス供給を一手に担うガス会社、ガス業界では業界3位に位置する。とはいえ、東京ガス・大阪ガスがそれぞれ売上高2兆円オーバーの企業規模に対して、東邦ガスの売上高5,000億~7,000億ほど。業績はインフラ企業らしく安定的であるが、資源価格の高騰が起こると売上高・利益が上下変動する特徴がある。財務体質は自己資本比率50%以上をしっかり確保しており、業績が安定的であることを踏まえれば倒産リスクとは無縁。2016年からは電気事業に参入したことで、中部電力と東海エリアで争うライバル関係に発展…するも、2022年にはカルテル疑惑で公正取引委員会の立ち入り調査が発生。更に、2022年には「都市ガスのご契約の件で、ご確認をさせていただきたいことがございます」と書かれたはがきを一般家庭へ大量送付(参考リンク)。経済産業省中部経済産業局に注意を受けるも、プレスリリースでのお詫び文章の掲載もなされなかった。手段を選らばない営業体質にも疑惑の目が向けられる状況。

就職格付け:BB

東海三県における都市ガス供給を一手に担うガス会社であり、愛知・岐阜・三重では名の知れた企業。安定・高給というインフラ企業のイメージに反して給与水準は平均年収569万円と高くはないが、平均年収にはガス会社特有の現業職が多く含まれるためそこまで参考にならない。大卒総合職の昇進・昇給スピードは速く、30代で年収600~650万円には到達するうえ、30代の中盤には管理職へほぼ全員が昇格する。中部地方は物価がそこまで高くない為、これでも首都圏の同年収帯企業と比べれば生活水準は高くなるだろう。ただし、福利厚生は家賃補助制度がないため、実家暮らしの若手社員が多い特徴があるり、ガス契約の社員割引などもない。ガス事業は社会維持に必要不可欠なインフラであるうえ財務体質は良好である為に倒産リスクである点は、就職を考えるうえで良好なポイント。

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