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大阪ガスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

大阪ガス(正式表記:大阪瓦斯)は、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県に都市ガス・プロパンガスを供給する大手ガス会社。ガス業界では東京ガスに続く第2位。1897年に大阪舎密工業として創業、戦前は野村財閥の中核企業であり、現存する大阪瓦斯ビルヂングは戦前建築の最高傑作の1つ。1945年に和歌山ガス・神戸ガスなど同業会社13社と合併して関西全域をカバーするガス会社へと躍進。2016年に電力小売全面自由化で電気事業にも参入、関西地方では関西電力と真っ向勝負の関係。

POINT

1.関西2府4県を地盤とする大手都市ガス会社、海外事業に強い
2.売上高・利益は安定的、財務体質も優良
3.平均年収658万円と低めだが、大卒総合職なら30代で1,000万円を狙える

業績動向

✔売上高と営業利益

大阪ガスの売上高は1.2兆~1.5兆円のレンジで安定推移してきたが、2022年には売上高2.28兆円に急増して過去最高を更新*1。ただし、営業利益は2022年は600億円まで減少*2。
*1:2022年は世界的な資源価格の高騰により都市ガス販売単価が上昇。原料調達費を販売価格に反映させる原料費調整制度により、資源価格の高騰分が価格転嫁されたことで売上高が急増。
*2:2022年は大阪ガスが出資する米フリーポートLNGが火災による操業停止で約1,477億円の代替調達コストが発生(参考リンク)。国内外における好調なガス販売による増益を大きく相殺して減益となった。

✔セグメント別の状況

大阪ガスは国内エネルギー事業(都市ガス、プロパンガス、電力、産業用ガスなど)、海外エネルギー事業(天然ガス開発投資、エネルギー供給など)、ライフ&ビジネスソリューション事業(不動産賃貸、情報処理サービス、ファイン材料・炭素材料の開発販売など)、の3事業を有する。
大阪ガスは売上高の約84%を国内エネルギー事業で稼ぐが、利益面では海外エネルギー事業の貢献も大きい。早期から海外投資に積極的であり、近年ではアメリカのシェールガス開発会社やオーストラリアでのLNG開発に投資。2018年にはミシガンパワー天然ガス火力発電所を買収するなど攻勢を強める。

✔最終利益と利益率

大阪ガスの純利益は資源価格の上下変動に影響されやすく、年度により好不調が分かれる。2021年は純利益1,304億円と好調であったが、2022年は571億円に下落*3。営業利益率は平常時で5~9%程度。*3:2022年の純利益減少は米フリーポートLNGが火災による操業停止で約1,477億円の代替調達コストが発生した一過的影響が大(上述)。

✔自己資本比率と純資産

大阪ガスの自己資本比率は概ね50%前後の水準で安定しており、直近の2022年は自己資本比率49.3%となっている。純資産は着実な純利益の確保が奏功して増加傾向が続いており、2022年には1.42兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

大阪ガスの平均年収は650万円前後で極めて安定的に推移しており、直近の2022年の平均年収は658万円。ただし、大卒総合職の給与テーブルは恵まれており、大卒総合職なら30歳前後で年収800~950万円ほどが目安。順当に昇進を重ねて課長職に昇進すると1,200万円程度。

✔従業員数と勤続年数

大阪ガスの従業員数は2万人規模で安定的に推移。平均勤続年数は減少傾向が続いており、直近では17.5年まで下落。平均年齢・従業員数は横ばいが続いているため、新規採用の強化などに起因する勤続年数減少ではないと推定。

総合評価

企業格付け:AA

東京ガスと対を為す大手ガス会社であり、関西圏におけるインフラ系の名門企業。かつて関西財界のリーダーであった関西電力が原発問題・贈賄問題・カルテル主導などの問題で揺れる最近では、関西圏インフラ大手の代表格とも評される。業績は資源価格の高騰・下落による振れ幅こそあるものの、利益確保という観点ではかなり安定的。財務体質も自己資本比率50%前後の良好な水準にあり、倒産リスクとは当面無縁。インフラ企業でありながら海外進出に成功した企業であり、最近では海外事業が国内事業に匹敵する利益を上げている。最近ではアメリカ・オーストラリアでの資源投資にも積極的、人口減少による業績停滞が広がるインフラ業界にあって海外に気を吐く稀有な存在。

就職格付け:AA

かつて野村財閥の中核企業であった名門企業であり、現本社の大阪瓦斯ビルヂングは現存する貴重なモダニズム建築物の傑作として登録有形文化財として保護されている。給与水準は一見すると平均年収650万円ほどで大手メーカーにかなり劣る水準。ただし、大卒総合職の給与水準は別であり、30歳前後で年収800~950万円は手堅く狙うことができ、40代までには年収1,000万円に到達。福利厚生もそこそこ充実しており、若手社員は7~10年間に渡って借上げ社宅・独身寮に入居できる。家賃補助制度はないものの、入社10年目ともなれば上述した通り年収800~950万円に到達しているため不満は抱きにくい。関西圏では企業イメージも抜群に良いため、関西出身者であれば目指す価値が大いにある企業。

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