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東京ガスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

東京ガス(正式表記:東京瓦斯)は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県において都市ガス・プロパンガスを供給する大手ガス会社。1885年に東京府が東京府瓦斯局を渋沢栄一らに払い下げたことで創業、戦前にはガス器具・ガス灯の開発にも進出してガス普及に尽力。戦後には欧米からLNG(液化天然ガス)技術をいちはやく導入、高度経済成長期のエネルギー需要急増を支えた。現在ではアメリカ・オーストラリアでLNG開発を手掛ける他、東南アジア・アメリカで発電所・LNG基地を展開。

POINT

1.ガス業界の最大手企業として屈指の存在感、最近は海外進出にも注力
2.売上高・利益いずれも絶好調で過去最高を更新、財務体質も優良
3.大卒総合職なら35歳頃に年収1,000万円に到達、住宅補助も手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

東京ガスの売上高は1.5兆~1.9兆円のレンジで安定推移してきたが、2022年には売上高3.29兆円に急増して過去最高を更新*1。営業利益は500億~1,900億円ほどで安定的であったが、2022年には営業利益4,215億円へと急増*2。
*1:2022年は世界的な資源価格の高騰により都市ガス販売単価が上昇。原料調達費を販売価格に反映させる原料費調整制度により、資源価格の高騰分が価格転嫁されたことで売上高が急増。
*2:2022年の営業利益の急増は、①都市ガス事業において原料調達費の上昇分の価格転嫁が進んだこと、②価格転嫁がガス料金に反映されるまでのタイムラグによる増益影響、③資源価格が急騰する前にLNG購入価格を長期契約したことで割安な原料調達ができたこと、が主要因。

✔セグメント別の状況

東京ガスはガス事業(都市ガス・液化石油ガス・産業ガス・LNGなど)、電力事業(電力小売全面自由化に基づく電気販売などなど)、海外事業(海外資源開発・投資、エネルギー供給など)、エネルギー関連事業(エンジニアリング・ガス器具・ガス工事・建設など)、不動産事業(土地建物の貸借・管理など)、その他事業の6事業を有する。
東京ガスは売上高・利益いずれもガス事業が主力を占めており最重要事業となっている。ただし、2016年の電力小売自由化を受けて電力事業へも進出しており、現在では電力事業が売上高の約26%を占める規模にまで成長。電力事業がガス事業に続く重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

東京ガスの純利益は2021年までは400億~1,100億円レベルで安定していたが、2022年には純利益2,809億円に到達して過去最高益を更新*3。営業利益率は3~7%ほどの水準を安定的に確保しており、好調時には10%を超える水準に達する。
*3:2022年に莫大な純利益を計上できたのは、ガス小売り価格が高騰する環境下において割安なLNG購入価格での原料調達ができたことが主要因。資源価格が急騰する前に割安価格での長期契約での契約を済ませていた先見性の賜物。

✔自己資本比率と純資産

東京ガスの自己資本比率は長年に渡って45%前後の高水準で推移しており、財務体質は健全。利益体質の安定性を加味すれば、財務体質はまず盤石であろう。純資産は2020年頃まで横這いが続いていたが、2021年以降は増加傾向へと転換。直近の2022年には純資産1.59兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東京ガスの平均年収は650~720万円前後で極めて安定的に推移しており、直近の2022年の平均年収は718万円。ただし、大卒総合職の給与テーブルは恵まれており、大卒総合職なら30歳前後で年収750~900万円ほどが目安。35歳頃には年収1,000万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

東京ガスの単体従業員数は減少傾向が続いており、2021年には3,060人まで減少*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8.12万人ほど。平均勤続年数は直近で16.1年とそこそこ長め。
*3:2022年に東京ガスは導管部門法的分離規制に基づき導管部門を東京ガスネットワークに分社化。都市ガス業界への新規参入を促しつつ導管部門の中立化を強化するためことを目的としている。

総合評価

企業格付け:AA

ガス業界において最大手の企業であり、首都圏・関東一円への都市ガス供給を担うインフラ企業の雄。同業の大阪ガス・東邦ガスと並び、日系三大ガス会社と称されるが規模的には断トツ首位であり、ガス業界のリーディングカンパニーである。業績は最近絶好調であり、2022年には売上高・利益いずれも大躍進を果たして過去最高を更新。ロシアによるウクライナ侵攻から世界的な資源価格の高騰に見舞われる中において、資源価格の高騰以前に割安な長期契約での手配をかけていたことが奏功して莫大な利益を計上することに成功した。財務体質も極めて堅実であり、自己資本比率は45%前後と非常に優良。安定的な利益体質を加味すれば倒産リスクとはまったく無縁と言えるレベルにある。最近は電力大手の財務体質が劣化してきているため、この水準の財務体質をしっかりと確保したインフラ企業は希少である。インフラ企業でありながら海外展開にも力を入れており、アメリカ・オーストラリアなどで資源開発にも進出。

就職格付け:AA

かつては東京電力が企業ブランドにおいて有力なライバルであったが東日本大震災における福島第一原子力発電所事故を経て、東京電力のブランドイメージが急激に悪化。現在においては首都圏インフラ企業においてトップクラスのブランドイメージを獲得している企業である。給与水準は直近の平均年収が718万円ほどに留まっており、見かけ上は大手メーカーにも劣るレベルに留まっているが、大卒総合職の給与水準はこの程度では全くない(東京ガスに限らず、公益企業においては世間体への配慮から算出母体を工夫して平均年収を下げているケースが散見される)。大卒総合職の給与水準は30歳前後で750~900万円ほどの水準に到達するうえ、35歳頃には1,000万円の大台に到達する。まさしく「総合商社と大手メーカーの中間レベルの待遇」である。福利厚生は家賃補助制度こそないものの社宅制度が極めて充実しており、独身であれば首都圏のワンルームに1万円/月レベル、既婚者であれば2万円/月レベルで住むことができる。高所得かつ住宅コストを抑制できることから、相当にリッチな生活を送れるであろう。

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