企業概要
TOYO TIREは、自動車用タイヤ・自動車ゴム部品などを製造販売する大手自動車部品メーカー。1943年に東洋紡がタイヤ製造を目的に設立した東洋ゴム化工を源流とし、1945年に平野護謨製造所と合併して東洋ゴム工業となった。近年はSUV・ピックアップトラック向けの大径タイヤに特化。オフロード走行に耐える頑丈でデザイン性にも優れたタイヤを投入、高利益率分野で高シェアを抑える。2015年には免振ゴムなどで品質不正が発覚して非自動車分野からは撤退、2019年に現社名のTOYO TIREに社名変更。
・日系タイヤメーカーの4番手、アメリカ市場でブランドを確立
・売上高・利益は概ね堅調、財務は自己資本比率50%超に改善済
・平均年収633万円と企業規模の割にやや物足りない、福利厚生も普通
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:61(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用実績は年間25名~35名ほど、うち事務系採用枠は10名ほどに留まる。タイヤ業界トップ企業と比べると人気度は下がるが、採用枠が少ないために難易度は決して低くない。
採用大学:【国公立】東北大学・筑波大学・新潟大学・信州大学・岩手大学・東京外国語大学・東京農工大学・総合研究大学院大学など、【私立】慶応義塾大学・中央大学・関西大学・立命館大学・東京理科大学・芝浦工業大学・大阪工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
TOYO TIREの売上高は3,500億∼4,100億円ほどのレンジで安定的に推移してきたが、2022年には売上高4,972億円に躍進*1。営業利益は緩やかな減少傾向が続いていたが、2020年を底にやや回復傾向。
*1:2022年はTOYO TIREの得意分野であるライトトラック・SUV用タイヤなどの重点商品の販売に注力したことで販売本数が増加、さらに販売価格の値上げによって売上高が急増。
✔セグメント別の状況
TOYO TIREはタイヤ事業(乗用車用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤなど)、自動車部品事業(エンジンマウント・ブッシュ・カップリングなど)、その他事業の3事業を有する。
TOYO TIREの主力は売上高の90%以上を占めるタイヤ事業であり、とりわけアメリカでの販売が売上高の半分以上を占める。かつて不祥事が発覚した非自動車分野からはすべて撤退を完了済。自動車部品事業としてタイヤ以外の部品も手掛けるが売上高に占める割合が低い上、利益貢献も薄いノンコア事業。
✔最終利益と利益率
TOYO TIREの純利益は緩やかな増加傾向にあり、直近では純利益480億円で過去最高益を記録。2016年のみ純損失に転落している*2。営業利益率は概ね10%以上を維持しており、利益率はメーカーとしては高めの水準。
*2:2016年のTOYO TIREは非自動車分野の品質不正問題により特別損失668億円を計上したことで純損失に転落。前年にも同じ理由で特別損失509億円を計上しており、本業のタイヤ関連の業績好調を吹き飛ばして純利益が低調推移していた。
✔自己資本比率と純資産
TOYO TIREの自己資本比率は回復傾向が継続しており、直近では53.5%と大手メーカーとしてはかなり優良な水準。純資産は2018年から増加傾向*3が続いており、2021年には3,209億円まで回復。
*3:TOYO TIREは2019年に三菱商事と資本業務提携。第三者割当増資により三菱商事から509億円を資金調達したことで純資産が急増した。現在も三菱商事はTOYO TIREの発行済株式の約20%を所有、TOYO TIREを持分法適用会社としている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
TOYO TIREの平均年収は600万円レベルで極めて安定的に推移している。大卒総合職の場合は30歳で年収450~550万円程度、課長職に昇進すれば年収800~900万円程度。社員の平均年齢は40.3歳と大手メーカーの標準的水準。
✔従業員数と勤続年数
TOYO TIREの従業員数は概ね1万人レベルで推移、2020年以降はやや微減している。平均勤続年数は15.1年と大手メーカーとしては標準的な勤続年数。
総合評価
企業格付け:C
日本国内では日系タイヤメーカーの中で4番手の位置が定着しており、ブリジストンや横浜タイヤの陰に隠れてパッとしない。が、TOYO TIREの主戦場はアメリカ市場、同国ににおいては日本市場の3倍に迫る売上高を確保。日本国内で軽自動車・乗用車用タイヤを低価格で販売する地位に甘んじず、アメリカでSUV・ピックアップトラック用の大径タイヤを販売することで高利益率を確保した手腕はタイヤ業界でも一目置かれる。業績はアメリカ市場での成功により好調、営業利益率はブリジストンと並ぶ水準にある。2015年に非自動車分野で品質不正が発覚、特別損失を重ねたものの同事件の影響は解消済。2019年には非自動車分野から撤退完了、イメージが悪化した東洋ゴム工業の社名をTOYO TIREに改めて再出発。
就職格付け:DD
兵庫県伊丹市に本社を置く関西圏の大手メーカーの一角。業績は概ね好調であり、売上高・純利益は増加傾向が続く。アメリカ市場では頑丈かつデザインの良いタイヤメーカーとして浸透しており、多少の強気な値付けでも指名買いを得られるブランドを確立しており当面は安泰か。給与水準は平均年収600万円程度であり、大手メーカーとしてはやや低めに感じる水準。独身者の借上げ社宅はあるが、自分で選んだ物件への家賃補助は少なめ。結婚後は特段の補助が得られないケースもある。兵庫県伊丹市の本社ビルは2017年に竣工した自己物件で新しいが、主力工場は三重県・宮城県に立地しているため遠方への転勤リスクには注意。