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日本航空の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本航空は、航空機による旅客・貨物輸送を主力とする大手航空会社。戦後、GHQによる日本国籍航空機の運航解禁をうけて政府主導による半官半民企業として創業。創業直後は国内線の運航に限られたが、1954年には国際線の運航を羽田~サンフランシスコ間でスタート。1980年代にはボーイング747を大量配備、日本人の海外旅行ニーズを支えた。が、その陰では国際線の拡大路線や大型機の維持費により高コスト体質が定着。1990年代と2000年代には経営危機に直面、2010年に経営破綻を迎えた。その後、京セラ会長の稲盛和夫の経営指揮により再建。現在ではANAホールディングスと並ぶ日本を代表する航空会社として復活している。

POINT

1.ANAと双璧を為す大手航空会社、傘下にジェットスターなども
2.売上高・利益いずれも不安定、2020年にはCOVID-19で大打撃
3.平均年収847万円だが、業績悪化時には平均年収678万円まで減少

業績動向

✔売上高と営業利益

日本航空の売上高は2019年までは1.2兆~1.5兆円で安定していたが、2020年に売上高0.48億円へ激減*1。約2年間に渡る低迷を経て、直近の2022年には売上高が2019年の水準まで回復。営業利益は2018年までは1,700億~2,100億円で推移していたが、2019年~2021年に大赤字を経験。
*1:世界的なCOVID-19感染拡大により、国際線・国内線がいずれも劇的に悪化。実質的な鎖国状態となったことで国際線の利用率は極端に落ち込んだうえ、政府からの補助金もなかった。

✔セグメント別の状況

日本航空は、国際線事業(世界50ヶ国以上への国際路線による旅客輸送・貨物輸送)、国内線事業(国内60空港間における旅客輸送・貨物輸送)、LCC事業(ZIPAIR・スプリングジャパン・ジェットスタージャパンなどローコストキャリアの運航)、その他事業(空港施設運営・旅客販売・クレジットカード事業など)、の4事業を有する。
日本航空は売上高の約90%を航空関連の事業で稼いでおり、航空事業に特化した企業。旅客・貨物輸送のニーズが高い好景気・安定期であれば業績好調となる反面、政治・経済の動向によって航空産業が落ち込むと業績が顕著に悪化しやすい。

✔最終利益と利益率

ANAホールディングスの純利益は2019年~2021年にかけて極端な悪化に見舞われ、2020年には純損失4,046億円を計上。直近の2022年には黒字圏へと回復したが全盛期には及ばず。営業利益率は2018年以前には8%レベルで推移しており、そこそこ高めの利益率であった。

✔自己資本比率と純資産

日本航空の自己資本比率は2017年には57.2%と高水準を記録したが、業績悪化により減少。直近の2022年は32.4%に留まっており、大手企業の標準的な水準にまで下落。純資産も2017年のピークから減少しており、直近の2022年の純資産は0.86兆円。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本航空の平均年収は概ね800万~850万円ほどの水準で推移しているが、2020年には平均年収678万円まで急減*2。ただし、直近の2022年には平均年収847万円に回復しており業績悪化前の水準まで戻っている。
*2:同業のANAホールディングスは従業員の賞与0円・基本給&諸手当5%削減などで従業員の年収を大胆にカットしたが、日本航空は従業員の年収削減を抑制。少ないながらも賞与・特別手当を支給して従業員の生活を守った点に両社の相違点があった。

✔従業員数と勤続年数

日本航空の従業員数は概ね1.1万~1.3万人規模で推移しており、直近の2022年は1.29万人ほど。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.6万人人規模。平均勤続年数は直近で15.9年と大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:B

ANAホールディングスと双璧を為す大手航空会社。日本の航空産業の勃興時から歴史を重ねてきた企業であり、日本のフラッググキャリアとして世界的な知名度を誇る。2010年の経営破綻時には給与カット・人員削減に加えて企業ブランドも低落したが、2012年には再上場を早々に果たして業績再建。業績は2018年までは堅調であったが、2019年のCOVID-19感染拡大により業績が劇的に悪化。2020年には売上高が半分以下に落ち込み、純損失3,906億円を計上する事態に。2000年代にも9・11同時多発テロ事件やSARS流行によって業績悪化を経験しており、歴史的にみても定期的にこうした業績悪化に見舞われている点も特徴的。直近の2022年には黒字化を果たしたものの、数年間に及ぶ業績不振で財務体質は悪化。自己資本比率は30%台にまで低迷しており、COVID-19に続く次なる環境悪化が起こる前に財務体質の回復を達成できるかが焦点。

就職格付け:BB

知名度と企業イメージでは群を抜く企業であるが、就職格付けはそこまで高くはない。航空会社は「華やかな安定業界」に思われがちだが、経営危機と統廃合を繰り返してきた不安定な業界である。2000年代には9・11同時多発テロ事件とSARS流行、2020年代にはCOVID-19感染拡大によって、全世界の航空会社が経営危機に陥っている。先進国の大手航空会社も数多の倒産を繰り返しており、過去に倒産した大手航空会社は枚挙に暇がない(参考リンク)。2010年の経営破綻時には人員削減・給与カットが断行された他、2020年の業績悪化時にも人件費カットが実行されており、やはり不安定の感は否めず。煌びやかなイメージから「勝ち組」業界と思われがちだが、実際には極めて不安定な業界であることへの理解は必要。ただし、同業のANAホールディングスと比べると業績悪化時における給与カットは甘い。賞与ゼロなどの極端な給与カットまではされなかった上、賞与削減を補填する為に一律で特別手当を支給する等の温和措置も。

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