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関西電力の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

関西電力は、電気販売量で国内第2位の地位を占める大手電力会社。1951年に関西配電と日本配送電が合併して設立された。水力発電では国内電力会社で最大となる発電能力を有する他、伝統的に原子力発電を重視してきた。関西地域外にも多くの発電所を保有している点も特徴的。海外事業にも長年取り組んでおり、世界11ヵ国で発電・送電プロジェクトに参画してきた。事業多角化にも熱心であり、ガス事業・不動産事業・情報通信事業でも強みを発揮。

POINT

・東日本大震災以降は業績低迷したが、2023年の原発再稼働を経て回復傾向
・業績は原発政策・原油価格に左右されやすい、財務体質は弱い
・平均年収855万円だが年功序列色が強いため、若手層の昇給ペースは遅め

業績動向

✔売上高と営業利益

関西電力の売上高は2.8兆~3.3兆円規模で安定していたが、2021年以降は急激な増加傾向に転換。2023年には売上高4兆円を突破*1。営業利益は2021年まで減少傾向が続いていたが、2023年には7,289億円まで急増*2。
*1:東日本大震災以降は原子力発電利用率が低下、火力発電の増加によって業績低迷が続いていた。が、2023年には原発再稼働が果たされたうえ、燃料費調整制度によるタイムラグ影響で大幅増益を達成。
*2:2023年には極端な利益増加が起こったが、これは燃料費調整制度によるタイムラグ影響。前年度における燃料価格の高騰分の収益がズレ込んだことによる大幅増益である。

✔セグメント別の状況

関西電力は、エネルギー事業(原子力発電・火力発電・水力発電などによる電力供給、ガス供給)、送配電事業(電力系統の運営・送電・変電・配電および工事)、情報通信事業(FTTHによる光インターネット・光電話サービス<eo光>、モバイル通信<mineo>など)、生活・ビジネスソリューション事業(不動産賃貸・ヘルスケア・コールセンター・ホームセキュリティなど)の4事業を有する。
エネルギー事業が売上高・利益の大半を占めてはいるが、他セグメントの貢献も意外と少なくはない。特に、エネルギー事業が業績低迷していた2022年には情報通信事業や生活・ビジネスソリューション事業も全社利益を下支えしていた経緯がある。

✔最終利益と利益率

関西電力の純利益は2022年まで低迷が続いていたが、2023年には純利益4,418億円を確保*3。営業利益率は平常時で4%~7%ほどで推移しており、高くも低くもない水準
*3:2023年の純利益急増は、営業利益の増加と同様の理由。

✔自己資本比率と純資産

関西電力の自己資本比率は長期的に低迷しており、直近で25.2%まで回復したが依然として低め。経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、関西電力の自己資本比率はまだ30%には遠い*4。
*4:東日本大震災以前は自己資本比率27%台であったが、以降の深刻な業績悪化により財務体質が大幅毀損。あれから10年以上をかけて財務体質の回復がようやく進んできた状況。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

関西電力の平均年収は直近で855万円。東日本大震災後には平均年収500万円台まで下落したが、昨今は回復傾向*5。大卒総合職の場合、30歳で年収650万~750万円ほど、40代の課長職レベルで1,100万~1,200万円ほど。年功序列が強いため、若手の給与水準はあまり高くない。
*5:2017年までは平均年収580万~681万円と中堅メーカー並みの給与水準にまで低迷しており、従業員の生活は苦しかった。

✔従業員数と勤続年数

関西電力の単体従業員数は減少傾向、2020年には分社化によって本体の従業員は約1万人も減少した*6。平均勤続年数は20年を上回っており、従業員の定着はよい。
*6:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、2020年に送配電事業を関西電力送配電として分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:A

■業界ポジション
東京電力・中部電力に並ぶ大手電力会社であり、関西圏への電力供給を一手に担う。関西財界の雄としても知られるが、東日本大震災以降は原発問題・相次ぐ不祥事によって企業イメージが低下。大手電力会社の中でも原子力発電への依存度が高かったことが災いして、2011年以降の原子力発電所の長期停止で業績は長く低迷。が、2023年には急激な電力価格の高騰によって、世論が原発容認に変化。悲願であった原発再稼働が果たされ、業績回復の道筋が示された。

■業績動向
世間の安定のイメージとは異なり、不安定。とりわけ原子力政策・原油価格に業績を振り回されてきた過去があり、事業環境次第では赤字転落も。2023年には原子力発電所の再稼働に目途がついたが、将来的な原子力政策は見通しが不明瞭であり、必ずしも事業環境が盤石とまでは言えない。

■財務体質
弱い。東日本大震災以降の原発停止期間において深刻な業績不振に直面したこともあり、最悪期の2014年には自己資本比率13.4%まで低下しており危うい状況であった。2023年には業績回復もあって自己資本比率25.2%まで回復したが、今なお安心圏とは程遠い位置にある。

■原発マネーとの癒着
原発立地町である福井県高浜町における金銭スキャンダルが発覚。当社幹部20人が合計3億円以上の金品を受領していた過去が判明し、現金・金貨・米ドル・スーツ仕立券などを受け取り続けていた。その資金の出所は政府から原発立地町へと支給される交付金であり、税金からの還流マネーである。反社会的行為に大バッシングに至った。

■消費者と同業他社いずれも裏切る
2023年には独占禁止法を踏みにじって同業他社にカルテルを持ちかけて、電力価格を高止まりさせるべく暗躍。そのうえ、その後は首謀者であるにも関わらずカルテルに参加した同業他社を裏切って公正取引委員会に密告することで罰金を免れる信じ難い事件も発生。

就職格付け:A

■給与水準
業績回復に伴って給与水準も回復傾向にあり、直近では平均年収800万円台を回復。年功序列色が強いため、若手のうちは給与水準が低いうえ昇給ペースも遅いため辛抱が必要だが、課長職レベルまで昇進できれば年収1,100万円は超える。世間が思うほど高給取りではないが、関西圏においては今なお優良な給与水準にあるとは評価できる。

■福利厚生
そこそこ。大手電力会社ゆえに独身寮・社宅は充実しており、住宅コストは大幅に抑制することができる。が、築古物件も少なくないため、生活環境が恵まれるかは運次第の側面も。最近は家賃補助制度へのシフトを進めているが、実家が会社から90分以内で通える範囲内にある場合は0円となるため評判はそれほど良くない。

■キャリア
事務系・技術系・技術コンサル系・新ビジネス創造系の4コース。事務系は部門間のローテーションを経験しつつ、幅広い知見と人脈を構築することが求められる。技術系は専門性を高めるため職種間異動は少ないが、各地に所在する発電所の転勤が辛い。現取締役会長は東レ出身だが、代表執行役社長は当社出身。

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