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ヤマトホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ヤマトホールディングスは、個人向け宅配サービス・企業向け物流サービスを主力とする大手物流会社。1919年に貸切トラック会社として創業。1923年には三越百貨店の商品配送業者として小口配送へと進出、1929年には日本初の路線トラック輸送を開始して陸運業界の有力企業へと躍進。1976年に小口貨物宅配『宅急便』を開始、高速・安価・便利な『宅急便』は日本の物流業界に革命を起こした。現在では宅配便市場で断トツ首位のシェアを掌握。物流業界において日本郵便日本通運に続く第3位の規模を誇る。

POINT

・宅配分野で国内断トツ首位の物流会社、法人向け物流サービスにも注力
・売上高は増加傾向だが利益は横這い、実質無借金経営で財務堅実
・総合職は30歳前後で年収700万円は超える、福利厚生は可もなく不可もない

業績動向

✔売上高と営業利益

ヤマトホールディングスの売上高は長期的に増加傾向が続いており、2022年には売上高1.8兆円に到達*1。営業利益は年度により好不調が分かれているが、黒字確保という点では安定的。2020年には営業利益921億円に急増*2したが、同年以降は減少傾向。
*1:業績成長が続いている理由は、宅配便市場の長期的成長が背景。日本国内におけるECサービスの普及、フリマ・オークションアプリによる個人売買の増加により宅配便需要が増加している事情がある。
*2:2020年の利益急増はCOVID-19感染拡大による外出自粛が理由。大手ECサイトでの買い物が急増した恩恵を享受したうえ、景気悪化で燃料価格が低迷したことも輸送コスト低減の追い風に。

✔セグメント別の状況

ヤマトホールディングスは、リテール事業(宅急便などの小口輸送サービス・ダイレクトメール・美術品輸送など)、法人事業(国際フォワーディング・通関・陸上幹線輸送・チャーター便・トラック整備など)、その他事業(情報システム開発・車両管理一括代行サービスなど)、の3事業を有する。
当社はリテール事業が売上高・利益の約半分を占めており、個人向けの小口配送ビジネスが主力事業となっている。法人事業は売上高において約38%を占めるが、利益では約22%に留まっており利益率は高くない。直近では法人ビジネス領域の領域拡大を志向しており、法人サプライチェーンのEnd to Endまでを対応できるサービス提供を目指している。

✔最終利益と利益率

ヤマトホールディングスの純利益は2016年~2019年まで200億円前後で停滞*3していたが、2020年以降は460億~560億円ほどで好調な推移。営業利益率は2%~5%前後で長期的に推移しており、利益率はそれほど高くはない。
*3:2016年から利益停滞していた理由は、同年に発覚した未払い残業代問題が主要因(参考リンク)。従業員4万人以上に残業代を支払わない労働が常態化していたことが社会問題化、未払い分を一時金として支給したことで大きな出費が発生。同年以降も残業代負担が増加した他、働き方改革に向けた投資が増えたことが業績の重荷となった経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

ヤマトホールディングスの自己資本比率は50%前後の水準を長年に渡って継続しており、良好。純資産は過去8年間に渡って微増傾向が続いており、直近は6,164億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ヤマトホールディングスの平均年収は長期的に880万~1,142万円で推移しているが、これは持株会社の社員のみの平均年収であるため参考にならない。総合職は30歳過ぎに課長職へと昇進して年収700万~750万円に到達する。ドライバー職は歩合給により変動するが、年収450万~590万円が相場。

✔従業員数と勤続年数

ヤマトホールディングスは持株会社の従業員は直近で21人と極僅かであり、殆どの従業員は事業会社に属している。事業会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は21万人に達する。平均勤続年数は直近で25.6年と長いが、これは持株会社の21人の平均勤続年数であるため参考にならない。

総合評価

企業格付け:BB

■業績動向
緩やかな成長基調。インターネットを介したECサービス・個人間売買の拡大により主力の宅急便需要は増加が続いており好調。ただし、2021年以降は人件費・燃料費の高騰がコスト増加を招いている状況。2024年末までに配送を委託していた個人事業主3万人と契約を終了、日本郵便と提携して配送効率化を進めることでコスト削減を進める方針。

■財務体質
極めて良い。長年に渡って実質無借金経営を継続しており、自己資本比率50%以上で安定的。有利子負債は100億円に過ぎず、企業規模を考えれば「銀行とのお付き合い」程度のみ。リーマンショック直後やCOVID-19感染拡大期などの景気後退局面でも黒字確保できる底堅さも強み。

■ビジネス動向
法人事業・グローバル展開を加速。国内におけるリテール事業は業界トップシェアを確立しているうえ好調であるため、法人事業・グローバル展開の加速によって更なる成長を目指す方針。特に法人事業では、宅急便顧客として獲得した法人顧客のサプライチェーンに川上~川下まで入り込むことで、強固な取引関係の構築を狙う。環境対応も急いでおり、EVトラック8,500台の導入計画を策定。

就職格付け:CCC

■給与水準
物流業界としては高め。総合職なら30歳前後で年収600万円以上には到達、30代過ぎには課長職へと昇進することで年収700万円前後に達する。景気後退局面にも業績が安定している為、給与水準が安定している点は強味。ドライバー職でも歩合給を含めれば年収450万円〜590万円は得られるため、中小輸送会社と比べれば傑出した水準である。

■福利厚生
可もなく不可もなし。家賃補助制度は地域手当によって代替されるが、支給額は2千円~2万円/月ほど。独身寮・社宅は一応存在しているが、入居できる人数に限りがあるため期待はしにくい。年間休日日数は118日と多くもなければ少なくもない。

■キャリア
総合職は幹部候補としての採用であり、昇進が非常に早いことが特徴。入社5~7年目には営業所長・マネージャーなどに昇格していく。売上高1兆円以上の大企業でスピード昇進できることは大きな魅力だが、年間100人前後の採用枠に留まるため企業規模の割には狭き門。ドライバー職は入社1年目に運転技術を習得して5年目までに独り立ちすることが求められる。以降は優秀なドライバーは営業所長に抜擢され、拠点運営に携わることもできる。

■残業代不払い問題
2016年に残業代不払い問題が発覚。ドライバーの労務管理において配達時間以外の準備作業・報告書作成などの時間を労働時間としてカウントしていなかったことが社会問題化。未払い残業代は従業員4万人以上にあったとされ、サービス残業前提の企業文化が社会的問題化。最終的に未払い残業代を支払うことで決着したが、過去2年分の遡及に留まった。

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