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京成電鉄の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

京成電鉄は、千葉県・東京都において鉄道事業・バス事業・百貨店行・不動産業などを展開する大手鉄道会社。1909年に東京~成田間を結ぶ鉄道会社として創業、創業直後から電力・食品・薬品など事業多角化。戦後には新京成電鉄を創立して松戸~津田沼間を接続、千葉県周辺の開発事業への積極投資を進めた。1980年代には業績不振に陥ったが、グループ会社のオリエンタルランドによる東京ディズニーランド開園などを経て復活。現在では千葉県を代表する大手私鉄として鉄道・不動産・百貨店など多種多様な事業を展開。

POINT

・千葉県・東京都が地盤の大手私鉄、オリエンタルランドの筆頭株主でもある
・売上高はCOVID-19影響から回復するも利益低迷、直近は不動産が利益の柱
・平均年収721万円で総合職は昇給も早い、年間休日104日と少ない

業績動向

✔売上高と営業利益

京成電鉄の売上高は長期的に2,500億〜2,700億円前後で推移してきたが、2020年に売上高2,078億円まで激減*1。同年以降は回復途上にあり、2022年には2,523億円まで増加。営業利益も2019年まで300億円前後で推移していたが、こちらも2020年に激減。同年以降の回復は緩慢。
*1:京成電鉄はCOVID-19感染拡大により大打撃を被った1社。外出自粛により鉄道需要が激減したうえ、グループ会社のタクシー・バス・ホテルなども大打撃を受けた。

✔セグメント別の状況

京成電鉄は、交通事業(鉄道・バス・タクシーなど)、不動産事業(不動産分譲・賃貸など)、レジャー事業(ホテル・レストラン・ゴルフ場運営・レジャー施設など)、流通事業(百貨店・ストアなど)その他事業(鉄道車両整備・建設・ビル管理など)、の5事業を有する。
京成電鉄は鉄道などの交通事業が売上高の約58%を占めており、大手私鉄としては鉄道事業の占める割合が高い。直近の2022年はCOVID-19影響で交通事業の利益率は低迷しており、不動産事業が全社利益の約84%を占めている。

✔最終利益と利益率

京成電鉄の純利益は2019年まで300億円ほどで推移していたが、2020年に▲302億円の大赤字に陥った。2022年には純利益269億円まで回復しているが、これは子会社のオリエンタルランドの増益が主要因*2。営業利益率は2019年まで10%以上の高水準で推移してきたが、同年以降は振るわない。
*2:京成電鉄はオリエンタルランドを持分法適用会社としており、同社の最終利益について出資比率に応じた金額を持分法投資損益として計上できる。2022年は同社がCOVID-19影響を脱して業績回復したことで、持分法投資利益が急増。

✔自己資本比率と純資産

京成電鉄の自己資本比率は2016年から40%台で推移している。鉄道会社は自己資本比率が高まりにくい傾向*3があるが、同業他社と比べるとやや高めの水準。純資産は2019年まで安定増加していたが、同年以降は横ばいで伸び悩む。
*3:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

京成電鉄の平均年収は2019年まで740万~750万円ほどの水準で推移していたが、同年以降は720万円前後まで後退。総合職の場合、35歳の課長補佐職で年収750万〜800万円、課長職レベルで年収1,050万~1,200万円が目安。運転士採用でも30代で600万円は超え、40代で700万円前後に到達する。

✔従業員数と勤続年数

京成電鉄の単体従業員数は長期的に1,600人~1,800人ほどの水準で推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.2万人規模。平均勤続年数はやや低下傾向にあるが、直近でも17.7年と長め。

総合評価

企業格付け:BB

■業績動向
COVID-19の大打撃から回復途上。売上高こそCOVID-19以前の水準まで回復を果たしており、同業他社と比べると回復ペースは速い。しかし、営業利益は2019年以前の300億円前後に対して、2022年でも102億円どまりで停滞。オリエンタルランドが持分法投資利益が全社利益を大きく底支えする状況。リモートワークが一気に普及したことで相当の通勤需要を失った点は将来的にも尾を引く。

■財務体質
やや良好。有利子負債は3,348億円と巨額であるが、自己資本比率は40%前後とそこそこの水準であり、大手鉄道会社の中では上位級の高さを確保している。虎の子の資産はオリエンタルランド株であり、これだけでも総額1.6兆円にも達する資産価値。保有しているだけで持分法投資利益として150億~200億円が毎年計上されるため、業績貢献も大きい。

■ビジネス動向
2022年に前長期経営計画「Eプラン」から現長期経営計画「Dプラン」へと転換。「Eプラン」では成田空港への輸送能力向上に経営資源を優先投下してきたが、COVID-19の経験を経た「Dプラン」ではサステナビリティ向上を重視。沿線に保有する不動産の再開発を通して街づくり推進によって不動産事業・小売事業などを拡大、事業環境の急変にも耐える事業ポートフォリオ構築を目指す方針。

就職格付け:BB

■給与水準
業界上位級。総合職は若手のうちこそ給与水準は低めだが、30歳過ぎに課長補佐へと昇進して年収700万円以上へと跳ね上がる。課長へ昇進すれば年収1,000万円は優に超えるため、千葉県なら良い生活ができるだろう。年功序列色が強いため、同職種の同期入社組と概ね横並びで昇進していく。COVID-19以降には給与水準が減少したが、特殊要因がなければ給与水準も安定している。

■福利厚生
期待よりは低め。住宅手当は全員に9,100円/月が支給されるが、企業規模の割には金額些少の感。鉄道会社にしては珍しく独身寮もないため、若手社員であっても住宅コストの負担が必要。総合職・鉄道現業職いずれも年間休日104日と休日が少ないことは理解しておきたい(日系大手メーカーは120日前後が相場である)。

■キャリア
総合職・鉄道現業職の2職種制。総合職は将来の京成グループ幹部候補として育成されるため、30歳過ぎで課長代理・30代後半には課長へと昇進するスピード感で出世していく。総合職は5年間隔で部門を跨いだ大きな異動があり、ジョブローテーションにより大局観・人脈・経験値を身に着けることが要求される。

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