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NIPPON EXPRESSホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

NIPPON EXPRESSホールディングスは、陸運・海運・空運をはじめとするロジスティクス全般を主力とする総合物流会社。1937年に戦時下の国策会社として設立、1950年には民営化を果たして総合物流会社として発展。物流業界最大手の一角であり、陸運・海運・空運あらゆる輸送に対応。現在では世界49ヶ国312都市に拠点を置き、グローバル物流ネットワークを構築。2021年に持株会社体制へ移行、NIPPON EXPRESSホールディングスを新設。NX商事・NX情報システムをはじめとする中核企業を傘下に収めた。

POINT

1.物流業界の最大手の一角、世界シェア上位10社に数えられる元国策企業
2.売上高・利益いずれも安定的、財務体質は凡庸な水準だが問題はない
3.平均年収820万円だが、大卒総合職の平均年収は650~700万円ほど

業績動向

✔売上高と営業利益

NIPPON EXPRESSホールディングスの売上高は長年に渡って1.8兆~2.1兆円レベルで安定的であったが、2022年には売上高2.62兆円まで急増*1。営業利益は500億∼700億円レベで安定的であったが、2022年には1,555億円まで急増*2。
*1:2021年までは日本通運の売上高のみであったが、2022年からは持株会社制への移行によりグループ会社の売上高が加わった影響が大。
*2:2022年は国際貨物輸送が堅調に推移したことで増収増益となった。日本国内における取扱い数量が堅調に推移した他、米州・欧州地域における運賃単価が高い水準を維持したことが貢献。

✔セグメント別の状況

NIPPON EXPRESSホールディングスは日本事業(ロジスティクス全般:鉄道・自動車・船舶輸送、倉庫・流通加工、引越・移転など)、米州事業(米州におけるロジスティクス全般)、欧州事業(欧州におけるロジスティクス全般)、東アジア事業(東アジアにおけるロジスティクス全般)、オセアニア事業(オセアニアにおけるロジスティクス全般)、警備輸送事業、重量品建設事業、物流サポート事業(石油販売・不動産・梱包資材・保険代理店など)の8事業を有する。
NIPPON EXPRESSホールディングスは世界49ヶ国312都市に拠点を置くグローバル総合物流会社ではあるが、売上高の約60%は日本国内に依存。エリア別にみるとアジア・オセアニア地域の占める割合が大きく、米州・欧州地域は少なめ。利益の観点でも日本国内の構成比率が過半数を占めており、同様である。

✔最終利益と利益率

NIPPON EXPRESSホールディングスの純利益は2017年・2019年を除けば増加傾向にあり、2022年に純利益1,083億円に到達。営業利益率は2.5~5%ほどで推移しており、物流業としては標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

NIPPON EXPRESSホールディングスの自己資本比率は長年に渡って30%レベルでの推移が定着。大手企業としては高くも低くもない水準。純資産は2020年から増加傾向にあり、直近では純資産7,792億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NIPPON EXPRESSホールディングスの平均年収は600万円台での推移が続いている。平均年齢は43歳前後で安定的に推移。いずれも2022年に持株会社への移行に伴い、従業員297人のみの平均値へと変わったことで大きく変化したことに注意*3。
*3:2022年は持株会社の従業員297人のみで算出されたことで平均年収・平均年齢がいずれも上昇。持株会社には現業職の社員が含まれず、本社勤務クラスの総合職がメインとなるため平均年収が上がりやすくなる。

✔従業員数と勤続年数

NIPPON EXPRESSホールディングスの従業員数は3万人規模で推移してきたが、2022年には持株会社制への移行により急減少。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7.34万人の巨大組織である。平均勤続年数は16~18年前後で推移していたが、2022年には持株会社制への移行により急増。

総合評価

企業格付け:BBB

物流業界における最大手の一角であり、日系物流会社としては日本郵船グループと並び最大規模を誇る。世界的でも上位10社に数えられる物流会社、さすがに世界大手3社(UPS・DHL・Fedex)には遠く及ばないものの、それなりに名の知れた存在である。陸運・海運・空運あらゆる輸送モードでの輸送ができる総合物流会社であり、あらゆる顧客の輸送ニーズを満たすことができる稀有な企業。業績は売上高・利益いずれも安定的。物流は人類の経済活動にとって不可欠のインフラである為、景気動向に関わらず一定の需要はあることが強み。財務体質は自己資本比率30%台と高くも低くもない水準だが、安定的な利益創出力を考えれば特段の問題はない水準。最大の課題はグローバルを標榜しながら依然として海外売上高比率が半分にも及ばないドメスティック企業であること。将来的な人口減少を見据えた海外展開の加速を急いでおり、2021年には持株会社制への移行と”NIPPON EXPRESS”ブランドへ移行。2023年には豪カーゴ・パートナーの買収交渉を進め、海外展開の加速に不退転の決意を示す。

就職格付け:BB

■総合職
元国策企業にして物流業界における最大手の一角。連結従業員数が7万人を超える巨大組織であり、国内47都道府県に約2,300拠点を張り巡らせている。給与水準は持株会社制への移行により平均年収820万円に到達したが、これは本社勤務のエリート総合職レベルから算出された平均年収。中核企業である日本通運が公開していた平均年収は600万円前後の水準であった。そのため、持株会社の傘下企業における総合職の平均年収は650~700万円ほど、課長クラスで700~850万円ほどと推定される。福利厚生は大手企業なりの制度が整っているが、目を引く制度はない。全国転勤ありの総合職の場合は家賃補助・借上げ社宅制度で自己負担2~3割程度で済むのはありがたい。

■エリア事務職
各地方支店で転勤なしを前提に採用されるエリア事務職は特筆に値する存在。日本通運は全都道府県に拠点を有しており、過疎地域においても採用活動を実施している。有力企業がない地方社会においては、事務職の求人を探しても無名企業・不安定企業ばかりといった状況に陥りやすい。その点、日本通運のエリア事務職は、”日本を代表する企業の事務職”という卓越したステータスを転勤なしで手に入れられる採用枠。是非着目して欲しい。

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