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物流会社

日本郵政の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本郵政は、郵便・物流・銀行・生命保険を主力とする郵便企業体。2007年の郵政民営化によって発足した持株会社であり、傘下には日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命などがある。郵便企業体としての規模は世界トップクラスであり、売上高においては米UPS・独ドイツポストに続く世界第3位。総資産は290兆円とメガバンク大手3社に匹敵し、土地保有額でも日系企業上位10社に数えられる資産規模を誇る。2015年には豪トールロジスティクスを約6,000億円で買収、国際物流へとテコ入れ。

POINT

1.総資産290兆円を超える巨大グループ、ゆうちょ銀行・かんぽ生命が稼ぎ頭
2.業績はやや衰退気味だが利益安定、財務体質も問題ない水準
3.総合職は平均年収840万円と大手メーカー同格、社宅が極めて充実

業績動向

✔経常収益と経常利益

日本郵政の経常収益は過去8年間に渡って緩やかな減少傾向が続いている*1。経常利益は長年に渡って7,900億〜9,900億円で推移してきたが、直近の2022年には経常利益6,500億円まで急落。
*1:経常収益の減少傾向は、日本郵便・かんぽ生命の不振が主要因。日本郵便は郵便物引受数の減少が続いていることで収益を落としており、かんぽ生命保険は2019年の不正契約問題により業績頭打ちに。

✔セグメント別の状況

日本郵政は、郵便・物流事業(日本郵便・JP楽天ロジスティクスなど)、郵便局窓口事業(切手・印紙・カタログギフト販売、金融商品窓口販売など)、国際物流事業(豪トール社、JPトールロジスティクスなど)、銀行業事業(ゆうちょ銀行)、生命保険事業(かんぽ生命保険)、その他事業(宿泊事業・病院事業、関係会社受取配当金)、の7事業を有する。
日本郵政は利益の約70%以上を銀行事業(ゆうちょ銀行)と保険事業(かんぽ生命保険)に依存している。公益性に縛られる日本郵便は利益率が低いために金融部門で利益を確保しなければならない。金融部門の利益にグループが依存する体制が、2019年のかんぽ生命不正契約問題の遠因となったともされる。

✔最終利益と利益率

日本郵便の純利益は2016年を除けば*2、4,300億~5,000億円ほどの水準で安定的。経常収益は右肩下がりであるものの、純利益については横ばいを保っている。自己資本利益率は概ね3%~4%ほどで推移。
*2:2016年の純損失転落は、豪トール・ロジスティクスで4,000億円もの巨額の減損損失を計上したことが要因。杜撰な買収計画によって2015年の買収から僅か数年で特別損失を計上。再建にも至らず、2022年には同社のBtoBを売却。買収失敗の余波は現在まで尾を引いている。

✔自己資本比率と純資産

日本郵政の自己資本比率は3%~4%ほどの低水準で推移しているが、これは傘下にゆうちょ銀行・かんぽ生命保険があることが要因*3。純資産は2018年頃から微増傾向にあり、直近では純資産18.2兆円に達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本郵政の平均年収は長年に渡って760万円~790万円で安定していたが、2022年には平均年収840万円に増加。総合職であれば30歳で650万円~750万円ほど、課長職レベルで年収880万~1,050万円。あくまでも持株会社の平均年収であるため、日本郵便などの事業会社における平均年収は異なる。

✔従業員数と勤続年数

日本郵政の単体従業員数は長年に渡って減少が続いており、直近では1,800人ほどまで縮小。連結従業員数は22万人にも及ぶが、ほとんどの従業員は持株会社に所属している。平均勤続年数は直近で18.2年にも及び、大手企業の標準的水準をやや上回る。

総合評価

企業格付け:BBB

日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険という著名企業3社を傘下に擁する日本最大級の巨大グループ。国内2,300店舗・従業員数22万人を擁する巨大組織であり、総資産は296兆円にも及び、三菱UFJフィナンシャルグループに続いて日系企業2位。が、コア事業の郵便事業は長期的な衰退が続いており、ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の金融事業による利益に大きく依存している。2015年には豪トール・ロジスティクスを買収して国際物流企業への躍進を画策するも、早々に巨額の減損損失を計上して失敗。2019年には稼ぎ頭のかんぽ生命保険で不正契約問題が勃発して社会問題化。他に代替がない巨大グループであるとはいえ、次の成長に向けた一手がない苦しい状況が続く。業績は経常収益の長期的な減少が頭痛の種であり、歯止めが効かない。意外にも利益面では検討しており、景気交代局面も含めて安定的に利益を稼ぎ続けられている。良くも悪くも代替が効かない唯一無二の郵便企業体である点は強いが、明るい将来ビジョンが見えないのが辛いところである。巨大すぎる企業グループ故にそうそう解決の糸口は見えないだろうが、なんとか将来に向けた明るいビジョンを示せるとよいが。

就職格付け:BB

2007年の郵政民営化によって発足した郵便企業体。2001年までは郵政省として行政機関の一角であったが、日本郵政公社を経て、現在の民間企業への移行を果たした。2015年からは政府保有株の放出が進められており、現時点では日本国政府の保有株比率は33%まで低下している。日系企業トップクラスの企業グループではあるが、給与水準はかつての公務員時代の名残が残っており控えめ。持株会社の日本郵政の1,485人に限っても平均年収は840万円ほど。が、日本郵政の総合職はかつての郵政省キャリア官僚に相当する地位であり、従業員数22万人の巨大組織を背負って立つリーダーとしての役割を期待される。出世スピードは極めて速い。入社1年目こそ郵便局窓口での下積みであるが、早々に本社部門へと引き戻されて経営企画・事業開発・商品開発・プロジェクト業務などに携わる他、海外派遣などを通した能力開発のチャンスも豊富。福利厚生においては、公務員・日本郵政公社時代からの社宅が極めて充実しており、地方都市から都心超一等地まで物件が揃う。既婚者であれば最大55歳まで入居できる物件も存在しており、多くの都心サラリーマンが苦しむ住宅問題に頭に悩ませずに済むのは大きい。見かけ上の平均年収は日系大手企業なりだが社宅による住宅コスト節約分を思えば、実質的な生活水準は更に上振れるか。

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