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【勝ち組?】神戸製鋼所の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

神戸製鋼所は、KOBELCOブランドで鉄鋼・素材・機械・建機・電力などを展開する大手鉄鋼メーカー。1905年に当時日本屈指の総合商社であった鈴木商店が創業、民営鉄鋼メーカーとして製鉄業に勤しむ傍らで船舶エンジン・ショベル・ドリルなど民生用機械に注力。業界大手の日本製鉄JFEスチールと並んで、鉄鉱石から銑鉄を生産する高炉設備を保有する高炉メーカーの1社。戦前から注力してきた産業機械・建機の分野でも一流であり、世界的シェアを誇る製品も多数。神戸に本拠地を置く名門企業であり、神戸商工会議所の歴代会頭も多数輩出。

POINT

1.日系高炉メーカー3社の一角、事業多角化に強み
2.売上高・利益いずれも不安定だが直近は業績好調、財務体質は凡庸
3.平均年収605万円だが昇格試験を突破すればそこそこ、福利厚生は凡庸

就職偏差値

65(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

神戸製鋼所の売上高は1.7兆~1.9兆円レベルでの推移が続いてきたが、2023年には売上高2.54億円まで増加*1。営業利益は2019年から増加傾向が続いており、2023年には1,866億円まで増加。
*1:2023年の業績好調の理由は、、①COVID-19感染終息後の景気回復による鋼材需要の高騰、②鋼材市況の高騰による在庫評価益の計上、③原材料価格高騰の価格転嫁、④為替レートの円安推移による為替効果、が主要因。

✔セグメント別の状況

神戸製鋼所は鉄鋼アルミ事業(鋼板・高張力鋼板・アルミパネル材・缶材など)、素形材事業(鋳鍛鋼・アルミ鍛錬・自動車部品・航空機部品など)、溶接事業(ワイヤ・ロボットシステム)、機械事業(樹脂ペレット製造装置・プレス加工装置・真空成膜装置など)、エンジニアリング事業(交通システム・バイオマス発電・溶融炉)、建設機械事業(油圧ショベルなど建設機械)、電力事業(神戸発電所・真岡発電所)、その他事業、の8事業を有する。
神戸製鋼所は事業多角化に特色があり、大手鉄鋼メーカーでありながら鉄鋼系事業(鉄鋼アルミ事業・素形材事業・溶接事業)の売上高は約60%ほどに過ぎない。鉄鋼系事業は鋼材市況に業績を大きく左右されるため、非鉄鋼事業による利益が鉄鋼不況期の業績を下支えしている側面も。

✔最終利益と利益率

神戸製鋼所の純利益は年度によりばらつきがあり不安定。2019年には純損失680億円に沈んだが*2、2020年以降は急回復。営業利益率は0~4%ほどの低空飛行が続いていたが、2023年には7%超まで増加。
*2:2019年の神戸製鋼は世界的な鉄鋼需要現状とCOVID-19感染拡大により固定資産減損損失499億円を計上したうえ、株式市場の急落により投資有価証券評価損150億を計上。

✔自己資本比率と純資産

神戸製鋼所の自己資本比率は30%レベルで長期的に推移しており、大手メーカーとしてはやや低めの水準。が、2023年には36.2%まで持ち直して回復傾向に。純資産は横這い推移が続いてきたが、直近の2022年には1.12兆円まで増加。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

神戸製鋼所の平均年収は520-600万円ほどの水準で推移しており、業績による年収変化が大きい。大卒総合職の平均年収は35歳の主幹級で750~800万円ほど、課長職レベルで850~1,000万円ほどと推定。平均年齢は40歳前後の水準で安定推移。

✔従業員数と勤続年数

神戸製鋼所の従業員数は長期的に1.1万人規模で安定的に推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.8万人ほど。平均勤続年数は減少傾向にあり、直近では15.3年と大手メーカーの標準よりやや低めの水準。

総合評価

企業格付け:BB

■業界ポジション
日本製鉄・JFEスチールと並び、日系高炉メーカー3社の一角を占める大手鉄鋼メーカー。他2社と比較すると規模感は見劣りするが、非鉄鋼分野への事業多角化では当社が傑出。建機・産業機械などの分野でも一流であり、鋼材価格・景気動向に業績を大きく左右される鉄鋼事業のみに依存しない事業ポートフォリオを構築してきた。

■業績動向
好転。2019年には純損失680億円を計上して窮地に陥っていたが、2020年以降は売上高・利益いずれも急回復して好調。世界的な景気回復による鉄鋼市況の急好転に加えて、為替レートの円安推移による為替効果も追い風に。主要取引先に鋼材販売価格の値上げを飲ませたことも、今後の採算改善にプラスか。

■財務体質
回復途上。2020年に業績悪化で自己資本比率が27.3%まで低下したが、同年以降の業績回復により36.2%(2023年)まで回復。有利子負債が8,200億円以上(2023年)となっており、企業規模に対して大きい負債が財務体質の重荷となっている。負債圧縮を進めるにも有利子負債に対しての利益規模が小さいため、相当の時間を要するだろう。

■品質問題
2017年にはアルミ・銅製品の品質データ改ざん事件が発生。品質検査証明書を組織的に改ざんしていた事実が明るみとなり社会問題となった。本問題について当社は、「受注の獲得と納期の達成を至上命題とする生産・納期優先の風土、事業部門を横断した人事交流や人事異動がほとんど存在しない閉鎖的な組織、適切な教育・研修や懲戒処分が行われてこなかった状況、顧客仕様を逸脱しても、一定程度ならば安全性の問題はないため、出荷しても構わないといった誤った考え方」が相まって不正に繋がったと自己分析している(参考リンク)。

就職格付け:CCC

■給与水準
直近の平均年収は605万円となり、大手メーカーの中では下位クラス。が、大卒総合職の平均年収はこれよりも高く、35歳の主幹級で750~800万円ほど、課長職レベルで850~1,000万円ほど。兵庫県においてはトップクラスの給与水準であることは間違いないため、地元志向が強い場合には選択肢に入れておきたい。

■福利厚生
重厚長大な製鉄大手のイメージに反して、それほど恵まれてもいない。独身寮・社宅は充実しているものの家賃補助制度はない。そのため独身寮・社宅を使えない場合には住宅コストの全額自己負担が必要になるのは地味に痛い。独身寮・社宅が1万円/月ほどで利用できるが、大浴場・大食堂での集団生活となるため孤独を好む性格の場合にはやや辛い。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系総合職は営業・経理・財務・生産管理・人事・法務 などに配属され、技術系総合職は研究開発・設計・生産技術などに配属となる。年功序列色が強いものの、大卒総合職かつ優秀であれば最短で入社12年目には課長職レベルへと昇格できる。

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出典:株式会社神戸製鋼所(有価証券報告書)