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ジャストシステムの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ジャストシステムは、個人向け学習ソフト・企業向け業務ソフトを展開するソフトウェア会社。1979年に徳島県徳島市で創業。パソコン黎明期から日本語入力ソフト分野で強みを発揮し、1990年代には「一太郎」や「ATOK」で国内市場を席巻。スペースキーによる変換操作をスタンダード化したのも当社。2000年代からは子供向け教育ソフトにも注力、現在では子供向け通信教育として「スマイルゼミ」を展開。2009年からキーエンスと資本業務提携、現在でも同社が発行済み株式数の約42%を保有する筆頭株主。

POINT

・「一太郎」「ATOK」で著名なソフトウェア会社、子供向け通信教育で躍進
・売上高・利益が右肩上がりで増加、無借金経営かつ手元資金潤沢
・平均年収1,438万円で従業員への還元に積極的、福利厚生も大変良好

業績動向

✔売上高と営業利益

ジャストシステムの売上高は右肩上がりで急成長しており、2022年には過去最高となる売上高420億円に到達*1。営業利益も急激な増加が続いており、2022年は190億円に到達。
*1:業績成長が続いている要因は、①子供向け通信教育「スマイルゼミ」の会員数増加、②企業向けクラウドサービス・ファイルサーバー管理ソフト・BIソリューションの販売好調、に起因。

✔セグメント別の状況

ジャストシステムはソフトウェア関連事業(小中高校生向け通信教育・学校向け授業支援・ワープロソフト、企業向けクラウドサービス・ファイルサーバー管理ソフト・BIソリューションなど)のみの単一事業会社である。
当社はソフトウェア関連事業のみを展開するが、大別すると個人向け事業・法人向け事業に分かれる。主力は個人向け事業であり、代表的製品の「スマイルゼミ」はユーザー数700万人を超えて国内シェア首位を誇る。2014年に業界首位のベネッセHDが個人情報漏洩事故によって大きなイメージダウンを引き起こしたことが間接的な追い風になった側面もある。

✔最終利益と利益率

ジャストシステムの純利益は右肩上がりで増加、2022年には134億円に到達して過去最高を更新*2。営業利益率も急激に増加しており、直近では45.4%と業界トップクラスの高利益率を誇る。
*2:ジャストシステムの全盛期は「一太郎」や「花子」が国内市場を席巻した1990年代と思われがちだが、現在の方が当時を上回る業績で推移している。

✔自己資本比率と純資産

ジャストシステムの自己資本比率は80%前後の高水準で長期的に推移しており、財務健全性は極めて高い。無借金経営を達成しており、有利子負債に依存しない事業運営を志向*3。純資産も右肩上がりで増加しており、2022年には837億円に到達。
*3:当社には2000年代に業績不振に陥った過去からの教訓もあり、財務健全性を高く維持することで企業存続を確保する傾向が強い。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ジャストシステムの平均年収は右肩上がりで増加しており、2022年には平均年収1,438万円という超高水準に到達*4。総合職の場合、30歳で年収1,100〜1,200万円、課長職レベルで年収1,500万~1,800万円が目安。
*4:当社には従業員に利益還元する「利益還元制度」があり、給与+年2回の賞与の他に、業績貢献度に応じて営業利益を年4回社員に分配する。昨今の業績好調によって給与水準が高まっている。

✔従業員数と勤続年数

ジャストシステムの単体従業員数は長年に渡って300人規模で推移しており、少数精鋭の組織体制。平均勤続年数は直近で14.0年となっており、人材の流動性が高いソフトウェア業界としてはトップクラスに従業員の定着が良い。

総合評価

企業格付け:AAA

■業績動向
絶好調。子供向け学習教材でトップシェアを確立したことで業績躍進・ユーザー数700万人とも言われる顧客基盤を獲得しており、月額数千円の会費収入を安定的・継続的に得られる点に強み。強いて言えば、直近では個人向けビジネスの成長がやや鈍化。COVID-19感染拡大時に大きく会員を増やした反動がポストコロナ時代を迎えた今、生じつつあるか。とはいえ超高利益体質に変わりなく、早々に業績が急落するような要素は見当たらない。

■財務体質
極めて良好。2000年代には業績悪化でキーエンスに救済された時期もあったが、現在では極めて良好な財務体質へと変革済。自己資本比率80%以上で無借金経営、そのうえ手元の現預金は730億円にも達する。多少の業績悪化は余裕で耐えられる。

■ビジネス動向
2022年から高校生向け通信教育「スマイルゼミ 高校生コース」を導入。リーズナブルな価格設定とタブレット1台で学習できる効率性を武器に、大学受験業界の大手予備校に挑む。ユーザー毎に学習記録をすべてデジタル化・AI分析してフィードバックすることで高効率な学習を実現。より市場規模が大きい大学受験業界にどれだけ食い込めるかが業績成長の分水嶺となりそう。

就職格付け:SS

■給与水準
増加傾向かつ高水準。もともと給与水準は良好であったが、昨今の業績好調により大化け。営業利益を従業員へ還元する利益還元制度によって平均年収1,400万円以上に到達。良くも悪くも給与水準が業績に連動する点は不安要素だが、現在の利益体質を維持できればソフトウェア業界でもトップクラスの企業であり続けるだろう。

■福利厚生
充実。従業員には借上げ社宅制度が提供されており、家賃の約60%が会社負担で都心物件に住むことができる。高い給与水準に加えて、借上げ社宅制度によって住宅コスト圧縮・節税ができるため、見た目の年収以上の生活水準。年間休日が128日と多めであるうえ、夏季休暇は連続5日を時期ずらしで取得もできる。誕生日や結婚記念日に有給休暇を取得すると、1日あたり3万円のアニバーサリー補助が支給される。

■キャリア
エンジニアが主役の企業だが、営業・企画・デザイナーなども幅広く採用。従業員300人規模の組織であるため、1人あたりの仕事の幅はかなり広め。エンジニアであれば1年目から仕様設計に携わり、営業職であれば1年目から担当エリアを渡される。年功序列はまったくなく、能力次第で役職・給与が決められるため、能力さえあれば若くして早々に昇進することも可能。

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