カテゴリー
電力会社

【勝ち組?】東京電力の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東京電力ホールディングスは、関東地方全域において発電事業・電気小売事業を展開する大手電力会社。1883年に渋沢栄一が設立した東京電燈を源流とし、1951年に東京電力として再編。1973年には当時世界最大級の福島第一原子力発電所を開設。過去100年以上に渡って首都圏一円の電力供給を一手に担ってきた。電力業界では中部電力に大差をつけて断トツ首位。2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて、原子力損害賠償支援機構が筆頭株主となり事実上の国有企業に。

POINT

・インフラ業界で断トツ首位の規模を誇る大手電力会社
・売上高は過去最高を記録するも利益率は低迷、巨額の賠償義務を背負う
・平均年収815万円と電力業界では上位級、福利厚生もそこそこ充実

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:70(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

大卒総合職の採用人数は年間300人~350人と門戸はかなり広い。福島第一原子力発電所事故よりも前はトップレベル大学の人材が多かったが、現在では中堅レベル大学からも幅広く採用。
採用大学:【国公立】東北大学・東京工業大学・北海道大学・名古屋大学・九州大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・東京理科大学・東京都市大学・東京電機大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

東京電力の売上高は2021年まで5~6兆円レベルで安定していたが、2022年には8.11兆円に急増して過去最高を更新*1。営業利益は2022年には営業赤字2,290億円を計上*2したが、2023年には2,788億円まで黒字回復。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。
*2:2018年以降の東京電力は利益率は低迷気味。主要因は、①燃料費価格・卸電力価格の上下変動による損失、②卸電力市場における電力価格の高騰、③電力小売全面自由化による競争激化、など。

✔セグメント別の状況

東京電力はホールディングス事業(グループ事業会社への共通サービス提供、原子力発電など)、フュエル&パワー事業(火力発電による電力販売、燃料調達、火力電源開発など)、パワーグリッド事業(送電・変電・配電による電力供給、送配電設備の建設・保守など)、エナジーパートナー事業(顧客向けソリューション提供など)、リニューアブルパワー事業(再生可能エネルギー発電など)の5事業を有する。
東京電力のコア事業は売上高の約80%を占めるエナジーパートナー事業であり、同事業の事業会社である東京電力エナジーパートナーは日本最大の電力小売り会社として約2,945万口もの契約数を誇る。

✔最終利益と利益率

東京電力の純利益は2022年に純損失1,236億円を計上したが、2023年には2,679億円に回復*3。営業利益率も低空飛行が続いていたが、2023年には4%代までの回復。
*3:2023年の黒字回復は燃料費調整制度によるタイムラグ影響。前年度における燃料価格の高騰分の収益がズレ込んだことによる大幅増益である。

✔自己資本比率と純資産

東京電力の自己資本比率は長年に渡って増加傾向が続いていたが、2020年の25.8%をピークに横ばい*4。大手企業としては少なめの自己資本比率にも感じるが大手電力会社としてはそこそこ高めの水準を確保している*5。
*4:2011年の福島第一原子力発電所事故で巨額賠償義務を背負ったことで経営破綻を危ぶまれたが、原子力損害賠償支援機構が公的資金を注入したことで債務超過を回避。事実上の国有企業となったことで現在まで破綻せず存続している。
*5:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、多くの大手電力会社の自己資本比率はこれを下回る推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東京電力の平均年収は2016年頃から810万円前後で横ばいが続いており、直近では814万円となっている*6。大卒総合職であれば30歳で650万~700万円ほど、課長職レベルで1,000万~1,200万円ほど。平均年齢は長年に渡って45歳前後の高水準で安定推移。
*1:2011年には福島第一原子力発電所事故を受けて大幅な年収カットを断行、2012年には平均年収620万円まで暴落する事態となった。そこから長い時間をかけて平均年収は徐々に回復。世間からの目が厳しい為に年棒制を採用することで賞与を廃止しつつ平均年収を回復させた。

✔従業員数と勤続年数

東京電力の単体従業員数は7,000人前後で推移。2016年の会社分割によって急減少した経緯があり、3.24万人(2015年)から0.77万人(2016年)まで縮小*7。平均勤続年数は22年前後と極めて高い水準だが、これは持株会社の7,113名のみの平均勤続年数。
*7:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、2016年に送配電事業を東京電力パワーグリッドとして分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:BBB

■業界ポジション
日本の電力業界を長年に渡って牽引してきたリ企業であり、電気事業連合会の歴代会長も多数輩出。かつては就職人気ランキングでも上位常連であったが、2011年の福島第一原子力発電所事故を機にすべてが一転。巨額の賠償義務を背負ったことで債務超過に陥りかけ、事実上の国営企業となることで生き延びた。現在においても企業として存続するものの、極めて特殊な立場。

■業績動向
拡大。2019年・2020年にはCOVID-19影響で後退したが、同年以降は再び成長基調に回帰。業績の追い風となっているのは、①北米エリアにおける新車販売の好調、②新興国におけるバイク販売の急拡大、③為替レートの円安推移による為替効果、など。2022年には四輪事業が赤字転落していたが、2023年には黒字を回復。2017年以来となる純利益1兆円突破を果たした。

■財務体質
まずまず。直近の自己資本比率は24.1%(2023年)とかなり低めであるが、電力業界においては寧ろ高めの水準にある。ただし有利子負債は5兆円と凄まじい巨額であり、手元資金1.24兆円(2023年)と比べると、有利子負債の大きさが際立つ。

■原子力損害賠償支援機構との関係
これまで原子力損害賠償支援機構から総額10兆円以上の支援を受けており、同機構が筆頭株主として議決権の3分の2以上を握る(すなわち同機構の支配下にある)。良くも悪くも「インフラ企業は潰れない」を体現する企業であるが、国の支援なくして耐えられない賠償義務を背負いながら存続している不名誉な烙印を背負い続けている。福島における廃炉作業は2060年代まで続く予定であり、長期的にも辛いものがある(参考リンク)。

就職格付け:BBB

■給与水準
平均年収814万円とインフラ業界における最優良クラスにあるものの、国から巨額の支援を受けてきたことから賞与はなし。すなわち、年棒制を採用することで賞与を廃止、(国の支援を受けながら大きな賞与額が支給されているとニュースにならないようにして)世論に配慮する涙ぐましい配慮も。大卒総合職であれば30歳で650万~700万円ほど、課長職レベルで1,000万~1,200万円ほど。

■福利厚生
まずまず。そこそこ充実しており、34歳までは独身寮へ入寮できるほか借上げ社宅制度も存在。福島第一原子力発電所事故を契機に福利厚生は大きく削減されたものの、依然として多くの民間企業と比べれば恵まれた環境が整っている。最大の課題は企業ブランドが大きく毀損していることであり、廃炉処理や損賠賠償に関わるニュースが流れるたびに負の歴史が想起される他、福島県をはじめとする被災地エリアでは大きなマイナスイメージが残っている。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。入社後は事業会社にあたるグループ企業への配属が基本であり、配属先は東京電力リニューアブルパワー・東京電力パワーグリッド・東京電力エナジーパートナーなど。入社時の職種で経験を蓄積しながら2年~5年ほどの周期でローテーションするキャリアが主であり、転勤範囲も広い。かつては東京大学の出身者が東大閥を形成して役員ポストの70%を東大出身者が占めていたが、現在では学歴主義は大きく後退している。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:東京電力ホールディングス株式会社(有価証券報告書)