本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
川崎汽船は、日本郵船・商船三井に次いで国内3位の規模を持つ大手海運会社。1919年に川崎造船所(現・川崎重工業)船舶部が分離して設立され、戦前から日本の海運業を支え続けてきた企業。1970年には日本初の自動車輸送船を投入、日本の自動車輸出の規模拡大を支えた。2017年には日本郵船・商船三井とコンテナ船部門と合併させて新会社ONEを発足。同社はコンテナ船において世界第6位の運航規模を誇るまでに規模を拡大している。
・日系3大海運会社の一角、他大手2社より事業規模はかなり小さめ
・海運市況に業績が振り回されるため、経営状況は歴史的にも安定しない
・直近は平均年収1,300万円以上だが、海運不況時には770万円まで後退
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:73(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
海運・物流業界におけるトップ企業の一角だが、総合職の採用数は年間30人~50人と狭き門。総合職の出身大学もハイレベル大学が多く、入社難易度は非常に高い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・東北大学・神戸大学・東北大学・名古屋大学・九州大学・広島大学・横浜国立大学・滋賀大学・東京海洋大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・同志社大学・学習院大学・国際基督教大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
川崎汽船の売上高は2020年まで減少傾向*1が続いていたが、同年以降は海運市況の急回復によって増加傾向に転換。2024年には売上高1.04兆円に到達している。営業利益は2021年まで損益ギリギリの低空飛行が続いていたが、2024年には1,028億円まで増加している。
*1:2017年にコンテナ船部門がONEに移管されたことで、同年以降は川崎汽船本体の売上高から同部門が離脱したことで売上高が減少。同社の利益・損失のみ営業外収益として反映される形態になっている。
✔セグメント別の状況
川崎汽船は、製品輸送(コンテナ船・自動車輸送船による製品輸送、近海内航船など)、ドライバルク(ばら積み船による石炭・鉄鉱石・穀物などの輸送など)、エネルギー資源(タンカーによる石油輸送、LPG船による液化天然ガス輸送など)、その他事業(旅行代理店・不動産賃貸など)、の4事業を有する。
当社は多種多様な船舶を保有しているが、売上高と利益を支えるコア事業は製品輸送セグメントである。かつてコンテナ船部門は不採算事業として分社化されてONEに移管されたが、2020年以降には海運市況の好転によって稼ぎ頭の事業へと変貌を遂げている。
✔最終利益と利益率
川崎汽船の純利益は2020年から6,000億円を優に上回る水準まで急騰*2したが、同年以降は一服して下落傾向*2。が、それでも2019年以前と比べれば大幅な増益を果たしている。営業利益率は9.81%(2024年)となっているが、これはONEの利益が営業外収益としてカウントされることに起因。
*2:当社に限らず、海運会社は業績を海運市況に大きく左右される。海運市況は10年~20年ほどのサイクルで乱高下を繰り返す歴史的特徴があり、2020年・2021年は好調期に該当している。
*3:2023年に純利益が急減した理由は、COVID-19起因のコンテナ運賃の上昇が一服したことによるONEの減益。コンテナ運賃の下落は、北米における在庫積み上がりや欧米におけるインフレによる貨物需要の低迷が引き金となっている(参考リンク)。
✔自己資本比率と純資産
川崎汽船の自己資本比率は、2019年までは10%前後にまで低下しており財務危機が懸念された*4が、2020年以降の業績好転によって急回復。2024年には自己資本比率74.6%と著しく健全な水準にまで上昇。純資産も業績好転を追い風に急増しており、2024年には1.67兆円にまで急伸している。
*4:2019年には自己資本の毀損を埋めるため、①劣後ローンの借り入れ、②逆ザヤ運航を強いられていた船舶の売却、③不動産・制作保有株の売却、などによって凌ぐ状況にあった(参考リンク)。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
川崎汽船の平均年収は2019年まで770万円ほどで推移していたが、2022年からは業績好調による賞与増加で1,200万〜1,390万円に上振れ。総合職の場合、30歳で年収850万〜1,100万円、課長職レベルで年収1,500万〜1,700万円ほど。業績によって賞与が激しく増減するため、良くも悪くも安定性には乏しい。
✔従業員数と勤続年数
川崎汽船の単体従業員数は緩やかな増加傾向にあるが、2024年においても900人と少数精鋭の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,170人ほど。平均勤続年数は14.0年(2024年)と、大手企業の標準的な水準をやや下回る*5。
*5:2009年は平均勤続年数16.5年ほどであったが、2010年以降の大規模リストラとその後の業績不振によって下降した経緯がある。
総合評価
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