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重工メーカー

川崎重工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

川崎重工業は、バイク・航空機・鉄道車両・船舶・軍事用航空機などを製造する大手重工メーカー。1878年に川崎正蔵が川崎築地造船所として設立。戦前から現在まで造船・製鉄・鉄道・航空機など幅広い分野に事業展開してきた名門であり、広範な事業展開が特徴。1952年にはエンジン製造技術を活かしてバイク事業に進出、硬派なバイクづくりで熱心なファンを多く抱える。海運大手の川崎汽船、製鉄大手のJFEスチールは当社から分離して設立された企業である。

POINT

1.日系重工メーカー大手3社の一角、バイクやバギーなどBtoC事業も展開
2.売上高・利益は概ね安定的、財務は自己資本比率23%でやや低め
3.平均年収683万円と普通だが総合職年収は別、福利厚生は普通

業績動向

✔売上高と営業利益

川崎重工業の売上高は1.5兆円レベルで安定推移してきたが、2022年は売上高1.73兆円と過去最高を更新*1。営業利益は2020年を除けば営業黒字が定着しているが、2015年の営業利益960億円を更新できない状況が続く。
*1:2022年の川崎重工業はCOVID-19の感染拡大による旅客機需要の低迷に苦しんでいた航空宇宙システム事業が回復。アウトドアブームと為替レートの円安推移も主力製品のバイクを擁するモーターサイクル&エンジン事業の売上高を押し上げた。

✔セグメント別の状況

川崎重工業は航空宇宙システム事業(航空機・航空エンジンなど)、車両事業(鉄道車両・除雪機械など)、エネルギーソリューション&マリン事業(エネルギー関連機器・船舶推進装置・産業機械・環境装置・造船など)、精密機械・ロボット事業(油圧機器・産業用ロボットなど)、モーターサイクル&エンジン事業(バイク・オフロード四輪車・ジェットスキーなど)、その他事業、の6事業を有する。
川崎重工業はバイクから航空機に至るまで幅広い事業ポートフォリオを構築、売上高は特定事業に依存しない構造となっている。ただし、利益についてはモーターサイクル&エンジン事業が単独で約60%を占めており、稼ぎ頭となっている。

✔最終利益と利益率

川崎重工業の純利益は2020年こそ純損失193億円を計上*2したが、直近の2022年に純利益551億円で過去最高を更新。営業利益率は殆どの年度において5%未満で推移しており、そこまで高くない水準。
*2:2020年の川崎重工業は、COVID-19の感染拡大による旅客需要の急減で航空宇宙システム事業が大幅悪化。海運市況の低迷により船舶事業の採算も悪化したことで坂出造船工場を対象に減損損失134億円を計上した経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

川崎重工業の自己資本比率は25%程度の水準での推移が続いており、直近は23.5%と大手メーカーとしては低めの水準*3。純資産は緩やかな増加傾向、2022年には5,989億円に到達。
*3:川崎重工業は純利益が比較的安定しており堅実に純資産を蓄積している反面、純資産の増加に比例して負債額も増やしてきた。そのため、自己資本比率25%前後での推移が続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

川崎重工業の平均年収は緩やかな減少傾向にあり、2017年以降はは700万円前後が定着。2021年からは年功賃金を全廃してジョブ型賃金に移行。大卒総合職なら30歳前後で年収680~850万円程度。課長職に昇進すれば年収950~1,100万円程度。

✔従業員数と勤続年数

川崎重工業の従業員数は3.4~3.6万人ほどの水準で安定的に推移している。平均勤続年数は14.9年と大手メーカーとしては標準的な勤続年数、造船所や工場などの現業職が多い企業であるため平均勤続年数は伸ばしにくい事情もある。

総合評価

企業格付け:BB

日系大手重工メーカー3社の一角、川崎重工業の社名は神奈川県川崎市ではなく創業者の名字であり、地盤は関西・神戸エリアである。バイクから航空機に至るまで幅広い事業ポートフォリオを擁するが、業績は成長性には欠けるが安定的、多種多様な事業を展開することで一部事業の不調は他が補う事業構造。COVID-19による旅客需要の激減で航空宇宙システム事業が大打撃を受けた反面、アウトドアブームでバイクなどのBtoC領域が好調になった直近数年はその好例。財務体質は自己資本比率23.5%とそこまで高くない水準だが、利益体質が安定している点を加味すれば大きな問題にはならない。

就職格付け:BB

関西の名門重工メーカーであり、戦前から日本の造船・航空・鉄道などの産業を牽引してきたリーディングカンパニー。業界首位の三菱重工業とは売上高で倍以上の差を付けられているが、同じ重工業メーカーであっても事業内容は大きく異なっており個性的。給与水準は平均年収700万円前後と大手家電メーカーに劣る水準だが、総合職に限った平均年収では勝るとも劣らない水準。福利厚生は重厚長大メーカーのイメージに反して凡庸であり、独身寮・社宅など一通りはあるが肝心の家賃補助制度はなし。2021年から年功賃金からジョブ型賃金へ移行、職位のグレードを細かく刻むことで職務に応じた給与水準の実現を模索中。

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