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【勝ち組?】大阪ガスの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

大阪ガス(正式表記:大阪瓦斯)は、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県に都市ガス・プロパンガスを供給する大手ガス会社。ガス業界では東京ガスに続く第2位。1897年に大阪舎密工業として創業、戦前は野村財閥の中核企業であり、現存する大阪瓦斯ビルヂングは戦前建築の最高傑作の1つ。1945年に和歌山ガス・神戸ガスなど同業会社13社と合併して関西全域をカバーするガス会社へと躍進。2016年に電力小売全面自由化で電気事業にも参入、関西地方では関西電力と真っ向勝負の関係。

POINT

・関西2府4県を地盤とする大手都市ガス会社、海外事業に強い
・売上高・利益は安定的かつ海外事業の成功で成長、財務体質もかなり優良
・平均年収712万円だが、総合職なら30代・1,000万円を狙える

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:72(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用数は年間70人~90人だが、関西圏におけるトップクラスの人気企業だけあって競争は熾烈。総合職の出身大学もハイレベル大学が多く、入社難易度は非常に高い。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・北海道大学・神戸大学・大阪府立大学・大阪市立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・関西学院大学・立命館大学・近畿大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

大阪ガスの売上高は1.2兆~1.5兆円のレンジで安定推移してきたが、2022年には過去最高となる2.28兆円に急増*1。営業利益は2022年まで600億~1,120億円で推移していたが、同年以降は増加。2023年・2024年は営業利益1,600億~1,720億円となっている*2。
*1:2022年はロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界的な資源価格の高騰により都市ガス販売価格が高騰。原料調達費を販売価格に反映させる原料費調整制度により、資源価格の高騰分が価格転嫁されたことで売上高が急増した経緯がある。
*2:2022年から営業利益が増加した理由は、①フリーポートLNGの運転再開によるLNG調達費用の抑制、②海外事業における米国でのシェールガスの生産拡大やインドでの天然ガス販売事業のエリア拡大、③非ガス事業の好調による増益、など。

✔セグメント別の状況

大阪ガスは、国内エネルギー事業(都市ガス、プロパンガス、電力、産業用ガスなど)、海外エネルギー事業(天然ガス開発投資、エネルギー供給など)、ライフ&ビジネスソリューション事業(不動産賃貸、情報処理サービス、ファイン材料・炭素材料の開発販売など)、の3事業を有する。
当社は国内エネルギー事業で売上高の約80%を稼ぐが、利益面では海外エネルギー事業が約40%を占める。当社は2000年代から海外投資を積極的に遂行、近年ではアメリカのシェールガス開発会社やオーストラリアでのLNG開発に投資(参考リンク)。2018年にはミシガンパワー天然ガス火力発電所を買収するなど攻勢を強める(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

大阪ガスの純利益は2019年まで330億~410億円ほどで推移していたあ、同年以降は1,300億円レベルにまで増加。2022年は571億円に下落しているが、これは一過性の要因*3。営業利益率は平常時で4%~8%ほどで推移しており、インフラ業界としては高めの水準。
*3:2022年に純利益が減少した理由は、米フリーポートLNGが火災による操業停止で約1,477億円の代替調達コストが発生した一過的影響が大(参考リンク)。国内外における好調なガス販売による増益を大きく相殺して減益となった。

✔自己資本比率と純資産

大阪ガスの自己資本比率は46%~53%ほどで横ばいで推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は2020年まで1兆円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。2024年には純資産1.73兆円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

大阪ガスの平均年収は650万~680万円ほどで安定的に推移しており、2023年には712万円に上振れしている。ただし、大卒総合職の給与テーブルはより恵まれており、大卒総合職なら30歳で年収820万~900万円ほど、課長職レベルで1,100万~1,300万円ほどに到達する。

✔従業員数と勤続年数

大阪ガスの単体従業員数は過去8年間で急減が続いており、2023年には1,137人の組織体制にまで縮小している*4。平均勤続年数は16年~18年ほどで推移しており、大手企業の標準的な水準を上回る
*4:2022年に導管インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、ガス導管部門を大阪ガスネットワークとして分社化したことで従業員数が減少した経緯がある(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:AA

東京ガスと対を為す大手ガス会社であり、関西圏におけるインフラ系の名門企業。かつて関西財界のリーダーであった関西電力が原発問題・贈賄問題・カルテル主導などの問題で揺れたこともあって、最近では関西圏インフラ大手の代表格とも評される。業績においては資源価格の高騰・下落による振れ幅こそあるものの、利益確保という観点ではかなり安定的。財務体質も自己資本比率50%前後の良好な水準にあり、倒産リスクとは当面無縁。インフラ企業でありながら海外進出に成功した企業であり、最近では海外事業が国内事業に匹敵する利益を上げている。最近ではアメリカ・オーストラリアでの資源投資にも積極的、人口減少による業績停滞が広がるインフラ業界にあって海外に気を吐く稀有な存在。

就職格付け:AA

かつて野村財閥の中核企業であった名門企業であり、現本社の大阪瓦斯ビルヂングは現存する貴重なモダニズム建築物の傑作として登録有形文化財として保護されている。給与水準においては一見すると平均年収650万円ほどで大手メーカーにかなり劣る水準だが、大卒総合職の給与水準は別。実際には、総合職・30歳前後で年収820万~950万円は手堅く狙うことができ、課長職レベルとなれば年収1,100万~1,300万円に到達する。福利厚生もかなり充実しており、若手社員は7年~10年間に渡って借上げ社宅・独身寮を利用することができる。家賃補助制度がない点は意外かつ惜しいが、入社10年目ともなれば上述した通り年収820万~950万円に到達しているため不満は抱きにくいだろう。社会的名声という点においても、関西圏であれば企業イメージも抜群に良いため、関西出身者であれば目指す価値が大いにある企業と言えるだろう。ちなみに、当社の従業員であってもガスの従業員割引などはない。

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出典:大阪瓦斯株式会社(有価証券報告書)