カテゴリー
自動車メーカー

【勝ち組?】SUBARUの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

SUBARUは、世界90ヶ国以上でSUBARUブランドの自動車を製造・販売する中堅自動車メーカー。1917年に飛行機研究所として創業、戦前・戦中には日本を代表する航空機メーカーとして軍用機を多数生産。1950年代に富士重工業として再編、自動車メーカーとして再出発。4輪独立懸架や水平対向エンジンなど独特の自動車づくりで定評、北米市場では高いブランド力を誇る。創業以来の名残で航空機・宇宙機器でも有力、米ボーイングに主翼を卸す大手航空部品メーカーでもある。

POINT

・北米市場で高いブランド力を誇る年産100万台規模の中堅自動車メーカー
・売上高・利益は急増傾向で絶好調、円安が最大の追い風
・平均年収658万円と自動車メーカー中堅下位級、業績好調だが給与が伸びない

就職偏差値

65(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

全業界・就職偏差値ランキングはこちら

業績動向

✔売上高と営業利益

SUBARUの売上高は2020年まで微減傾向が続いていたが、2021年以降は急増*1。2023年には売上高4.7兆円に到達して過去最高を更新。営業利益は2021年まで低迷していたが、同年以降は急増。
*1:2021年以降の売上高・利益の好調は、①為替レートの円安推移による為替効果。②当社の主力市場であるアメリカ・カナダにおけるセダン・SUVの販売好調、が主要因。当社は年間生産台数の約60%強を日本国内で生産しており、円安による為替効果を大きく享受できる特徴がある(ただし、円高局面では大きな逆風を受ける)。

✔セグメント別の状況

SUBARUは自動車事業(自動車ならびに関連製品の製造・販売など)、航空宇宙事業(航空機・宇宙関連機器など)、その他事業(不動産賃貸事業など)の3事業を有する。
当社は売上高の約97%を自動車事業で稼いでおり、航空宇宙事業は売上高の5%にも満たない。地域別にみると売上高の77%を北米地域で稼いでおり、アメリカ・カナダに大きく依存する。北米地域に偏重する事業構造ゆえ、同地域において景気後退・販売不振に陥ると業績が急落するリスクはある。

✔最終利益と利益率

SUBARUの純利益は2020年まで減少傾向が続いていたが*2、同年以降は急増傾向に転換。営業利益率は3~17%ほどの水準で推移、全盛期には日系自動車メーカー屈指の高利益率を誇っていた。
*2:2020年まで減益が続いていた理由は、①金利上昇による販売コスト増加、②原材料価格の高騰によるコスト増、③日本国内における完成検査問題への対応費用、④電動化シフトに向けた先行投資の増加、など。

✔自己資本比率と純資産

SUBARUの自己資本比率は長期的に50%レベルでの推移が続いており、十分な健全性を維持できている。純資産は長期的な増加傾向が続いており、2023年には純資産2.57兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

SUBARUの平均年収は640~670万円ほどの水準が長年に渡って継続。大卒総合職であれば30歳で480万~580万円ほど、課長職レベルで900万~1,000万円ほど。平均年齢は38歳前後で安定的に推移しており、自動車メーカーとしてはやや若めの組織体制。

✔従業員数と勤続年数

SUBARUの単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2020年には1.72万人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.75万人ほど。平均勤続年数は16年前後で安定的だが、大手メーカーとしては普通の水準。

総合評価

企業格付け:B

■業界ポジション
日系自動車メーカーにおいて売上高で6位に位置する中堅自動車メーカー。北米市場に極端なまでに依存した事業構造が特徴であり、売上高の約70%以上をアメリカ・カナダの2カ国で稼ぐ。北米市場では高所得・高教養なアッパーマス層に根強い人気を誇るブランドとなっており、高価格・高付加価値な自動車づくりを支えている。他方で、日本・北米以外の地域ではサッパリ存在感がない点は弱点。

■業績動向
急回復。2020年まで売上高・利益の減少が続いていたが、2021年以降は急増傾向に転換。とりわけ2022年から為替レートが対ドルで円安に振れたことは大きく、為替効果で売上高・利益いずれも急伸。堅調なアメリカ経済にも販売台数を支えられ、目先の業績は好調そのものである。

■財務体質
良好。過去8年間に渡って自己資本比率50%強の水準を頑なに維持し続けており、自動車メーカーとしてはやや高めの水準を確保。手元の現預金は1兆円以上(2023年)にも達しており、実はキャッシュリッチ企業でもある。北米市場に業績を過度に依存するため、アメリカ経済が景気悪化に見舞われた場合にも耐え凌げるだけの財務基盤を確保しているようだ。

就職格付け:CC

■給与水準
直近の平均年収は658万円と中堅自動車メーカー下位級。大卒総合職でも、30歳で480万~580万円ほど、課長職レベルで900万~1,000万円ほど。業績絶好調でも平均年収はまったく横ばいであり、業績が従業員に還元されにくい。地盤の群馬県では十分な給与水準であるためか、企業規模・業績の割には低めの感は否めない。

■福利厚生
企業規模なり。家賃補助制度は家賃額15%(最大3万円まで)と絶対額は少なめ。独身寮は月額1万円強で利用できるため、家賃補助で暮らすよりも独身寮で生活する方がお得。働き方改革を推進するため、夜22時にはオフィスを施錠して従業員を強制退社させる取り組みを導入中。自動車部門の拠点は群馬・栃木に集積しており、北関東出身者であれば生活拠点を固定できる絶大なメリットがある。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系職種は、商品企画・購買・営業・経理・経営企画・総務・人事に配属され、技術系職種は開発・設計・生産技術・生産管理・品質保証などを担当する。基本的には入社時の職種において経験を蓄積して専門性を高めるキャリアが主である。海外売上高比率は極めて高いが、年間生産台数の半分以上は日本国内の生産であり、意外と海外赴任のチャンスはそれほど多くない。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:株式会社SUBARU(有価証券報告書)