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素材メーカー

AGCの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

AGCは、ガラス製品・電子部品・化学品・セラミックス製品などを展開する三菱グループの大手ガラス系素材メーカー。1907年に岩崎俊弥が「旭硝子」として創業、日本板硝子と双璧を為す日系ガラスメーカーとして戦前からガラス産業を牽引。苛性ソーダをはじめとする化学品分野でも大きな存在感を放ち、戦後は電子部品や半導体分野にも積極進出。現在ではガラス・電子・化学品・ライフサイエンス・セラミックスをコア領域とする素材メーカーとして発展している。自動車用ガラス・フッ素樹脂・フロート板ガラスで世界トップシェア、世界30ヵ国以上に進出するグローバル企業でもある。

POINT

1.日系ガラスメーカー断トツ首位、事業多角化でガラス依存度は低い
2.売上高・利益いずれも好調、財務体質も堅実で隙がない
3.平均年収825万円と良好だが超高給ではない、福利厚生は住宅補助が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

AGCの売上高は2021年頃から増加傾向に転換、過去最高を連続更新中*1。営業利益は700億~1,200億円のレンジで推移してきたが、2021年に急増加を遂げた*2。
*1:2021年以降の売上高の増加は、①世界的な物価高騰によるガラス・フッ素・苛性ソーダ・塩化ビニル樹脂などの販売価格上昇、②半導体・バイオ医薬品など戦略事業の業績拡大。
*2:この営業利益の急伸は、①中国の規制強化による塩化ビニル樹脂の販売価格上昇、②赤字転落していたガラス事業の構造改革による黒字回復、が主要因。

✔セグメント別の状況

AGCは、ガラス事業(自動車用ガラス・建築用ガラス・装飾ガラス・板ガラスなど)、電子事業(液晶ガラス基板・有機ELガラス基板・ソーラー用ガラス・半導体プロセス部材など)、化学品事業(塩化ビニル・苛性ソーダ・医農薬原体・バイオテクノロジーなど)、その他事業(セラミックス製品・金融・物流サービスなど)、の4事業を有する。
AGCはガラス事業・化学品事業が売上高を二分するコア事業だが、利益面では化学品事業の貢献が大。2020年以降は化学品事業が急速に利益率を高めたことで、全社利益の約70%を化学品事業が占める。

✔最終利益と利益率

AGCは景気後退局面にも純利益を確保できる安定性に強みがあったが、2022年は純損失に転落*3。営業利益率は2021年を境に増加を示しており、最近では営業利益率9%~12%程度。大手メーカーとしては良好な利益率。
*3:2022年の純損失転落は、同年に減損損失1,284億円を計上したことが理由。本業こそ好調であったが、ディスプレイ・プリント基板材料・ロシア事業などでの損失計上が打撃となった。

✔自己資本比率と純資産

AGCの自己資本比率は概ね50%前後の高水準で長年推移している。利益が安定しているうえ堅牢な財務基盤を有していることが強み。純資産も2021年以降は増加傾向へと転換している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

AGCの平均年収は長年に渡って790万~820万円ほどの水準で極めて安定的。大卒総合職の昇進スピードが速い官僚型組織となっており、30代後半の課長補佐で年収900万~1,000万円ほど。課長職レベルに到達すれば年収1,200万以上となる。

✔従業員数と勤続年数

AGCの単体従業員数は緩やかな増加が続いており、直近では7,400人規模に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.7万人の大所帯である。平均勤続年数は直近で17.6年と大手メーカーでは平均的水準。

総合評価

企業格付け:AA

日本板硝子と双璧を為す日系トップの大手ガラスメーカーだが、AGCは売上高において2倍以上の大差をつけて引き離しており事実上のトップ企業である。最近ではグローバルの競争環境が厳しいガラス事業よりも、電子事業・化学品事業へのテコ入れを加速させており、素材メーカーとしての自負を強めている。売上高・利益いずれも2021年から絶好調、世界的な物価高騰により化学品事業の利益率が急速に高まっている状況。2022年のみ減損損失の計上によって最終赤字に転落したが、あくまで一過性の損失であるため心配には及ばない。財務体質も自己資本比率50%前後の高水準をキープしており、財務体質も手堅い。2016年頃からバイオ医薬品企業を相次いで買収、更なる新領域への事業展開を模索する状況にある。

就職格付け:A

素材メーカーでありながらテレビCM・電車広告に熱心なことで著名。その甲斐もあって一般知名度もかなり高く、就職人気ランキングでも上位常連の企業である。そのため、入社倍率はかなり高く、文系採用枠の倍率は素材メーカーでもトップ級である。が、平均年収は780~820万円ほどで安定的であるため、超高給・・・でもなく難易度に見合った待遇かは微妙。福利厚生かなり優良であり、家賃補助制度によって最大45歳まで7万円~半額が補助されるのは大きい。ただし独身寮は家賃1.5万円とそこまで格安というレベルでもないうえ、事業所からやたら離れているケースもあるため物足りなさはある。製造拠点が「西は福岡・東は茨城」までに分散しているため、転勤あり職種の場合には共働きが難しくなるケースも。総じて優良企業であることは疑いの余地がないが、就職人気ランキング最上位級になる程の超高待遇かと言えばそうでもない。評価が難しい企業のひとつである。

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